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クラシックギター演奏に欠かせないものといえば足台をはじめとする支持具です。決定版といえるものがないなかでいろいろなものが発売されています。いろいろ使ったり調べたりしてきたので製品のまとめと、使ったことがあるものはレビューを紹介したいと思います。
ギター支持具を大きく分類
まず、現在売られているギター支持具をその特徴ごとに分類したいと思います。評価は私の主観です。
タイプ | 製品名 | 価格 | 角度等の調整 | 安定性 | 持ち運びやすさ | 塗装への影響 | その他 |
足台 | 足台 | ◎ | 〇 | △ | 〇 | ◎ | デファクト、安くてどこでも買える |
側面に取り付けるタイプ | ギターレスト(万力) | △ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | 分解/組み立てが意外と面倒 |
ギターレスト(吸盤) | △ | 〇 | 〇 | ◎ | △ | 分解/組み立てが意外と面倒 | |
Aria ギターサポート | 〇 | △ | △ | ◎ | △ | 安い、小さい | |
テヌートギターサポート | △ | △ | △ | ◎ | △ | Ariaより調整幅が大きい | |
エルゴプレイ | △ | △ | 〇 | × | △ | 容積は小さいが荷物としては場所を取る | |
SageWorkギターサポート | × | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ | 磁石で取り付けるタイプ | |
HBギターサポート | △ | △ | △ | x? | 〇 | 万力で側面に取り付けるギターサポート | |
HBギターサポート ライト | △ | △ | △ | ◎ | 〇 | 万力で側面に取り付けるギターサポート(小型版) | |
Woodside Guitars ギターサポート | △ | 〇 | 〇 | ◎ | 〇 | ギターレストの進化版 | |
De Oroギターサポート | △ | △ | 〇 | 〇 | △ | ストラップに革、フレームに金属を使い長寿命 | |
Z-SKINNY | × | 〇 | ◎ | ◎ | × | 両面テープで固定する薄型の支持具 | |
サポートフレーム | 〇 | △ | △ | ◎ | △ | 細いフレームで支えるギター支持具 | |
TENOR TPGS-3 | △ | △ | △ | ◎ | △ | 異なる大きさの吸盤を使用 | |
背面に取り付けるタイプ | ギターリフト | × | ◎ | ◎ | × | △ | 高価だが使い心地は良い |
ギターフォーク | △ | 〇 | 〇~◎ | △ | △ | ギターリフトよりも安価だがその分調整幅も狭い | |
Koyunbaba(コユンババ) | △ | ◎ | 〇~◎ | × | △ | 廉価版ギターリフト | |
エルゴノミック・サポート | × | ◎ | ◎ | × | △ | ギターが完全に宙に浮く | |
側面に置くタイプ | ダイナレット | △ | × | △ | × | ◎ | 塗装への影響は一番安心 |
オアシスギターサポート | △ | × | △ | × | ◎ | ダイナレットの廉価版 | |
G.Prop | × | △ | × | 〇 | ◎ | V字型の本体に乗せるタイプ | |
Flatsons FA-80A | 〇 | × | △ | 〇 | ◎ | ダイナレットの空気で膨らませる版 |
こう見ると様々な製品がありますね。新しいのを見つけたら追加したいと思います。
ちなみに、足台も支持具も使わない方法もあります:
個々の製品を紹介
ここからは個々の製品についてその特徴を紹介したいと思います。私が使ったことがあるものはレビューもつけています。
足台
伝統的なギター支持具です。ギターのヘッド側を高く上げるため、左足を上げるために台の上に足を置きます。
長所はとにかく安いという点です。安いものでは1000円以下で入手可能です。しかも、クラシックギター専門店でなくてもギターが置いてある楽器店であればどこでも手に入ります。
素材も様々で木で出てきているものから鉄やアルミのものもあります。アルミのものは軽くて持ち運びもしやすいです。
短所は腰に悪いという点です。私もこれで腰を痛めて腰痛とぎっくり腰になりました。
左足を上げることで体がひねられた状態になり、それを長時間継続することで腰痛になります。しかしながら、腰痛になる人とならない人がいるので、価格と入手性から初めての人はまずは足台から試すのがいいかと思います。
側面に取り付けるタイプ
足台に代わる支持具の中ではギターの側面に取り付けるタイプが一番多いです。様々な商品が売られています。
ギターレスト
昔からある足台に代わるギター支持具です。万力あるいは吸盤でギターの側面にギターレストを取り付けます。棒の先に腿の側面にあった形の部分があり、これでギターを支えます。
足をあげなくてもギターのヘッドが上がるので腰にやさしいです。
私も以前使っていました:
確かに腰には優しいのでいい感じです。また、分解できるので持ち運びも楽です。
しかしながら、万力にせよ吸盤にせよ塗装面には気を付ける必要があります。私は万力タイプのものをセラック塗装の楽器に使っていましたが、しばらく使っていると挟んだ後が残ってしまいました(小さくて目立たないですが)。
また、分解したり組み立てる作業が地味に面倒です。組み立てたままだと意外と場所を取ります。ギターの高さは棒の部品の長さを変えることで変えられるのですが、この棒が地味に高いのも不満でした。
しかしながら、長年売られている商品だけあってプロの人でも使っている人もいる評判のいい商品ではあります。
Aria ギターサポート
とにかく持ち運び性を重視した商品です。折りたたむと一枚板のようになり場所を取りません。価格もリーズナブルです。
しかしながら、調整幅は狭いです。また、吸盤タイプなので弱い塗装のギターにも注意です。
とにかく荷物の少なさを重視する人にお勧めです。
テヌート ギターサポート
Ariaのギターサポートの進化版といった商品です。
Ariaのものに比べて、吸盤が4つになることで安定性が増し、調整できる個所が増えたことで色んな人に合います。小ささは同等です。
私も使っていましたが、腿にあたる部分が滑るということ以外はいい感じでした:
ちなみに、海外ではTenuto Proという上位版も売られていますが、日本では手に入らないようです。
エルゴプレイ
ギター側面の二つの山にそれぞれ吸盤を貼り付けるタイプの支持具です。
ギターの狭い範囲につけるのではなく、二つの山に取り付けることで安定性が高いです。高さも調整できます。
欠点は折りたためないという点です。写真を見ると一枚板になりそうに見えますが、なりません。なので、持ち運びは面倒です。
上位版のトレスターモデルもあり、こちらはさらに調整できる個所が多いです。
詳細はこちらの記事も参照ください:
SageWork ギターサポート
変わり種のギター支持具です。吸盤や万力でギター側面に取り付けるのではなく、磁石でギターに固定します。ギターの内側にギターをあらかじめ取り付けます。本体にも磁石があり、ギター側面を磁石で挟み込むことで固定します。
以前はBarnettギターサポートと呼ばれていました。
本体のギターと接する部分は塗装にやさしい素材なので、弱い塗装のギターにも安心です。調整できる個所も多く、折りたたむことで小さくなります。
日本では以前はギターショップカリスで購入可能だったのですが、カリスの閉店に伴い現状は公式サイトからの購入かStrings by Mailからの購入が必要です。
実際に購入したレビューはこちらです:
HBギターサポート
吸盤ではなく万力タイプのギターサポートです。2種類あり、アリアギターサポートに近いHBLightと、エルゴプレイに近いHBがあります。
どちらも日本では未発売ですが、ebayから買えそうです。
Woodside Guitars ギターサポート
万力タイプのギターレストの進化版ともいえる支持具です。
クランプ部分が斜めになりレイズドフィンガーのギターでも使えたり、棒部分の角度の調節幅より広かったりします。
詳細はこちらの記事を参照ください:
De Oroギターサポート
プラスチックを一切使用せず、ストラップが革、フレームが金属でできた支持具です。
これにより寿命が長く、長く愛用できるでしょう。
デザインの豊富さも魅力的です。
詳細は以下の記事を参照ください。
Z-SKINNY
薄型の支持具を両面テープでギターの側面に取り付けるという新しいタイプのものです。
薄くてギターの側面に沿った形なので、付けたままケースに入れられます。
メーカーによると吸盤やクランプといった従来の取り付け方法よりも音への影響が少ないのだとか。
詳細はこちらの記事を参照ください:
サポートフレーム
Z型のフレームでギターを持ち上げる支持具です。
見た目がシンプルで折りたたむと小さくなり、何よりも安いのがうれしいところ。
詳細はこちらの記事を参照ください:
TENOR TPGS-3
TENOR TPGS-3は、異なる大きさの吸盤を使用したギターサポートです。
これにより高い安定性を狙っているのだと思います。
交換用の吸盤が用意されているため、長く使えるでしょう。
詳細は以下の記事を参照ください:
背面に取り付けるタイプ
最近出てきたタイプのギター支持具です。目からうろこ、コロンブスの卵的な発想で、ギターの背面にとりつけます。
ギターリフト(GuitarLift)
背面に取り付けるギター支持具第一弾です。曲面を描いているうえに幅が狭く、取り付ける個所が限られる側面に比べ、平らで面積の大きい背面に取り付けます。
これにより、安定性も高く、調整幅も広い支持具となりました。
私も現在使っているのですが、あまりにも調整幅が広くて、まだ調整しきれていません(笑):
安定性と調整幅は良いのですが、本体が大きな板なので持ち運び性はあまりよくありません。とはいえ、薄い板なので楽譜を入れられれば何とかなります。
(追記) 吸盤がリニューアルされて少し持ち運びが楽になりました
また、吸盤で取り付けるタイプなので弱い塗装には気を使います。
ギターフォーク(Guitar Fork)
ギターリフトに触発されて開発されたと思われるギター支持具です。
ギターリフトはギターに取り付ける4か所すべて吸盤でしたが、ギターフォークは下の二か所が棒+3つの吸盤になっています。ギターリフトは吸盤の位置を変えますが、ギターフォークは棒の方のみを変えます。
ギターリフトに比べると価格が安く、サイズが小さいのが特徴です。
Koyunbaba(コユンババ)ギター支持具
廉価版ギターリフトとでもいうべきギター支持具です。価格は半額以下と、かなりお求め安くなっています。
詳細はこちらを参照ください:
ギターリフトとの比較レビューはこちら:
エルゴノミック・サポート
これまでの支持具と異なり、左足だけでなく右足をカバーしてギターを完全に宙に浮かせられる支持具です。
ギターの構え方の自由度が格段に上がり、これまでになかった構え方ができるかもしれません。
詳細はこちらの記事を参照ください:
側面に置くタイプ
ギターに固定するのではなく、ギターの側面において使うタイプです。塗装への影響がないものが多いです。
ダイナレット
ギターと腿の間において使うクッションです。
ギターと接する部分は皮、足と接する部分は滑り止め付きの布で、ギターの塗装にも安心です。
しかしながら、調整する部分がないので、体に合うかどうかは人それぞれです。足台を併用するという人もいます。また、小さくならないので持ち運びも不便です。
私も以前使っていました:
オアシス ギターサポート
ダイナレットの廉価版といった商品です。
違いは…よく分かりません。ダイナレットの特許が切れたとかでしょうか?
G.Prop
最近発売されたギター支持具です。
V字に開くギター支持具で、片方をギターに、片方を腿に乗せます。折りたためるので持ち運びやすく、吸盤等でギターに取り付けるタイプではないので塗装にも優しいです。
しかしながら、乗せているだけなので、メーカーのHPによると力を入れすぎると形状変化してしまうのだとか。これにより脱力ができるといっていますが、逆に安定性が低いということなのかも知れません。
価格が1万円以上と地味に高いところも気になりますが、一度使ってみたい気もします。
Flatsons FA-80A
持ち運びに不便なダイナレットに対し、空気で膨らませる方式にしたことで、持ち運びを楽にした支持具です。
詳細はこちらの記事を参照ください。
おすすめクラシックギター用支持具は?
以下の記事で目的別のおすすめクラシックギター用支持具を紹介しています。
足台や支持具の高さと角度はどう決めたら良い?
これもなかなか難しい問題です。ぜひ以下の記事を参考にしてください:
安く支持具を買いたければジェネリック版という選択肢も
薬にジェネリック版があるのと同じように、ギター用支持具にも機能や構造が同じような支持具が存在します。
薬と同じく本家よりも安いのが特徴で、できるだけ安く買いたい方におすすめです。
詳細はこちらの記事で解説しています:
選択肢は色々、好みも色々
これだけたくさんの選択肢がありますが、決定版といえるものはまだないです。
それだけ人によって演奏姿勢や体格が違うということなのでしょう。
自分のあった1つを見つけられると良いですね。