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今まで使った中で最も変わった弦かもしれません。アクイーラから最近発売されたシュガーという弦です。その名の通り、なんとサトウキビからできた素材を使った弦です。見た目にも音にもかなりのインパクトがある弦です。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています
また、アクイーラの弦についてはこちらの記事を参照ください:
サトウキビから作られたプラスチックでできた高音弦
このシュガーの特徴は、まず、高音弦がナイロンやフロロカーボンではなく、サトウキビから作られたプラスチックからできているという点です。
いわゆるバイオプラスチックといわれるもので、石油から作られるものに比べてエコであるといわれています。
さらに、クラシックギターにとってもメリットがあり、アクイーラ社の測定ではフロロカーボンに比べて遠達性が24%、サステインが18%向上したとか。
フロロカーボンもナイロンに比べると遠達性とサステインがあるといわれていますのでその上をいく素材であるということです。
実はサトウキビ由来の素材を使うのはシュガーが初めてではなく、アルケミア(Alchemia)という弦でも使われていました。こちらはサトウキビ由来のプラスチックにアクイーラのナイルガットといわれる独自の素材を混ぜたものになっています(少なくとも最新のものは。アクイーラはしょっちゅう同じ名前で素材を変えるので…)。
サトウキビ100%だとクラシックギターの音っぽくなさ過ぎてやめたのだそうですが、ユーザーからの期待に応えてサトウキビ由来100%のシュガーを発売したそうです。
金属メッキではなく樹脂のようなコーティングをした低音弦
サトウキビ由来100%だけでも変わっているのですが、さらにこのアクイーラは低音弦も変わっています。
通常のギターの低音弦は銅の巻線を銀などでメッキして作られています。アクイーラ社はこの方法は相当昔からやられている方法で、今はもっといい方法がある、ということで樹脂のようなものでコーティングするという手法を取りました。
この方法、アクイーラが初めてというわけではなく、ダダリオのプロアルテEXPシリーズも同じ方法をとっています。
メリットは、金属メッキだと錆びてくるところを、コーティングだと錆びないので長持ちという点だそうです。
また、プロアルテEXPのコーティングはわりと地味でしたが、シュガーの低音弦は見た目にもかなりインパクトがありました。それは後の写真で…。
今までにない見た目のパッケージ
上の写真がパッケージです。新しい素材の弦ということでもあってか、パッケージも今までにないようなおしゃれなデザインになっています。できる限り使用する紙やプラスチックを減らしたエコなパッケージになっているそうです。
裏はこんな感じです。おや、弦の色が…と思った方は鋭い。
なんと低音弦がレッドメタリックな色になっています。見た目にはまったくクラシックギターとは思えない色です。
普通の弦と比べてみました。比べるまでもありませんが、低音弦の赤色のインパクトがすごすぎます。
本来は高音弦のサトウキビ由来プラスチックがメインのはずですが、こちらは見た目にはそれほど違和感はありません。
ギターに張ったあとの写真がこちら。うーん、クラックギターとは思えない見た目になりました。
アコースティックギターのような音色とサステインの高音弦
いや、ギターの本分は見た目ではなく音だ、ということで音のレビューです。
高音弦は確かにフロロカーボンをこえる音量とサステインがあります。
そして、非常に明るい音色です。明るすぎて金属的でもあり、まるでアコギを弾いているような音がします。
一方、その音量や金属的な音とは裏腹に、意外とテンションは低いです。少なくともカーボン弦のような張りの強さを感じません。
弦の表面は表面も少し抵抗感のある触り心地で、押さえやすいです。
一方、この抵抗感のせいで1つ問題があります。これは公式にも認められているのですが、指の皮膚にあたった時にキーキーという音がします。実際に出して録音してみました:
なんというか、発泡スチロールが擦れ合う音のような気に障る音です。
私の場合はわざと出さないとこの音は出ませんが、人によっては普通に弾いてもこんな音が出てしまうそうです。
(追記): 上の動画ほどあからさまな音は出ませんが、右手の指の当たり具合によっては少しキーキーなります。特に親指の肉で弾いた時にこの音が出て、たとえばアルハンブラの思い出のように親指で高音弦を弾くような曲は時々気になります。また、左手の押さえ方によっては少しキーキー音が鳴ります。
アクイーラ社はこの場合はハンドローション等を指先に塗って弾くことを推奨しています。また、弾いているうちにそのうちでなくなってくるそうです。
(追記): 1週間ほど弾いていますが相変わらず鳴ります。。。
この高音弦、とにかくよく伸びます。張ってからしばらくは伸びる、というのはよくありますが、張っている最中にこれだけ伸びるのは初めてです。張ってからチューニングを合わせるまでに以下の写真のように糸巻に4巻ほど弦が巻かれるほど伸びました:
この後弾く分にはそれほど伸びないのですが、最初の伸びは過去最高かと。
(追記): 音程の安定は結構よく、たとえば6弦をDに落とすと普通の弦では弾いているうちに結構ずれますが、このずれが小さいです。
見た目とは違い意外とおとなしい低音弦
低音弦はレッドメタリック色ということでさぞ派手な音が出るだろう、と思いきや意外とおとなしい音がします。
金属的な音がじゃりじゃりいうのかと思いましたが、それは抑えめで、太い音が鳴ります。
もちろん音量は高音に負けない大音量で鳴りますし、音の分離も良いのですが、見た目に比べるとかなり正統派な音がします。
あとは寿命でしょうか。私の場合はほぼ毎日弾くので錆による劣化を抑えるというメリットは享受できなさそうですが、せめて普通の低音弦よりも持ってほしいものです。
音にも見た目にもかなりインパクトの強い弦、はまる人にははまるかも
このようにアクイーラのシュガーは私が今まで使ってきた中でも最高クラスの特徴のある弦でした。
音にも見た目にもインパクトがあるのではまる人にははまるのでは?と思います。
特にアコギのような音を目指している人や、現代的な曲を好んで弾く人には合っている気がします。
一方、丸くやわらかで少しくすんだような伝統的なクラシックギターの音を好む人にはまったくお勧めできません。
見た目重視の人にはこの低音弦とドーガルのマエストラーレの高音弦を張ると最高かもしれません(笑)
残念ながら日本ではまだ正式には売られていないようですが、興味のある方は海外通販で購入してみてはどうでしょうか。私はStrings by Mailで購入しました:
次もこの弦を買うか?といわれると今のところは疑問ですが、また使っているうちに感想も変わるかもしれないので、このブログに追記したいと思います。
(追記): 最終的に低音弦の赤色はやっぱりはがれてきました。特に銀メッキよりも強いというものではないようです。