気が付けばこのサイトで紹介してきたクラシックギター弦のレビューに関する記事が70以上に。これを記念して、これまで私が使ってきた中でおすすめの弦を紹介したいと思います。これまであまりクラシックギターの弦にこだわったことがない人はぜひ試してみてください。良い弦が見つかったら適宜更新していきます。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています
https://cooksealphoto.com/%E5%BC%A6%E3%81%AE%E6%84%9F%E6%83%B3%E3%80%81%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/
クラシックギター弦の基礎知識と選び方
まずはクラシックギター用の弦の基礎知識についてです。
昔は羊腸でできていた高音弦
高音弦とは6本ある弦のうち、高いほうの3つの弦のことを指します。
この高音弦、その昔は羊の腸(ガット)でできていました。しかしながら、天然のものなので高価なうえに品質が安定しないという問題が。
そこに登場したのがナイロンです。化学的に作られるナイロンは安価なうえに品質も安定しているということで一気に主流に。今では羊腸の弦は特殊な場合を除いてほぼ使われません。
ナイロンには音が特に3弦でこもりがちになるという問題があるため、さらに新しく出てきたのがカーボン弦やチタニウム弦といった新素材。逆にキンキンしすぎるという意見もありますが、音量も大きいため多くのプロのギタリストに受け入れられています。
高音弦の詳細についてはこちらの記事も参照ください:
芯線を金属で巻いてある低音弦
一方、低音弦は芯線と呼ばれる細い繊維を束ねたものを、金属の線で巻いた構造をしています。
昔は芯線は絹糸で作られていたそうですが、これもやはり天然ものなので高価なうえに安定しません。そこで現在ではナイロンなどの化学繊維を束ねたものが使用されています。
金属線は銅の合金に銀のメッキを施したものが主流です。
低音弦についてはこちらの記事も参照ください:
張りの強さは様々
弦を押さえたり弾いたりしたときの張りの強さは様々です。
イメージと同じく、張りの弱い弦は押さえやすくて弾きやすいですが音量が出ず、張りの強い弦はその逆です。
また、張りの弱いほうが柔らかい音が出て、張りの強いほうがしっかりとした音が出る傾向にあります。
アマチュアのギタリストであれば、一般的にはノーマルテンションからライトテンションの張りの弱い弦の方が扱いやすいと思います。
しかしながら、楽器や演奏者との相性もあるので、一度両方を試してみることをお勧めします。
価格は1,000円~2,000円くらいが相場
クラシックギター本体と同じく、弦の価格も色々です。
必ずしも高い弦の方が良い音が出るというわけではありませんが、高いほうがやはり材料や製法にこだわっている分、特徴ある音が出ます。また、弦の寿命にもこだわっている場合が多いです。
一般的には1セット(1~6弦)で1,000円~2,000円といったところが普通の弦の相場です。
ですが、これよりも高い弦もあれば安い弦もあります。
安いほうが良いか高いほうが良いかは、それぞれの価値観や財力にも依存するので何とも言えません。ただ、一度安いものや高いものを試してみるのも面白いのは確実です。
おすすめのクラシックギター弦 4選
それでは具体的なおすすめのクラシックギター弦を紹介していきます。それぞれに個性と特徴があって、交換すると今までとの違いに驚くこと間違いなしです。
サバレス クリエイションカンティーガ プレミアム ノーマルテンション
最初に紹介するのがフランスの弦メーカーであるサバレスの、クリエイションカンティーガ プレミアム ノーマルテンションです。
やたらと長い名前で憶えづらいのが難点です。
この弦は低音弦の持ちが良くて音もいいのが特徴。長持ちするので結果的にコストパフォーマンスが高いです。
「プレミアム」とついていないバージョンもあるのですが、それと比べると低音の重厚さが違います。特に6弦の音がしっかり出て、音楽を下から支えてくれる印象。
高音弦はこういったセット弦には珍しく、1,2弦はナイロン弦なのに対して3弦はカーボン弦を使用。3弦の音がぼやけるのを回避しつつ、ナイロン弦の甘い音も楽しめます。こういった使い方はプロのギタリストはやっていたりするのですが、メーカーが出しているセットとして販売するのは珍しいです
本サイトのレビューはこちらを参照ください:
フィガロブルー+クリア
日本が誇る、国産弦メーカーの弦です。
価格はお高めですが、それだけ材料にも製法にもこだわっています。寿命も長いので、それほどコストパフォーマンスも悪くありません。
低音弦は芯線を松脂でコーティングしています。派手な音ではないのですが、しっかりと芯があり、味わい深い音です。
高音弦は1,2弦がナイロンで3弦がカーボンのプロ仕様。3弦のカーボン弦は全然キンキンした音が出ず、4弦、3弦、2弦の音のつながりも良好です。
また、全弦トータルで、音楽を弾いていて楽しいという印象を受けました。自分が出したい音、弾きたい音楽にしっかりよりそってくれる弦です。
本サイトのレビューは以下の記事を参照ください:
ドーガル ディアマンテ エクストラソフト
イタリアの弦メーカーであるドーガルのクラシックギター用弦です。
ドーガルはクラシックギターではそれほどメジャーではありませんが、バイオリンやマンドリンでは有名な弦メーカーです。
この弦はとにかくテンションが低くて弾きやすいのが特徴。「エクストラソフト」の名前が示す通り、私が使ってきた数々の弦の中で一番テンションが低い弦です。
それでいながら音がしっかりしているところがおすすめのポイント。特殊な素材を使っており、高音弦はカーボンを加えたナイロン、低音弦の芯線にケブラーというスピーカーにも使われる繊維を使うなど、独特です。
惜しむらくは日本ではこのエクストラソフトは販売されていない点。Strings by Mailなどの海外通販サイトから個人輸入する必要があります。
本サイトのレビュー記事は以下の記事を参照ください:
ハナバッハ エクスクルーシヴ ミディアムテンション
ドイツの弦メーカーであるハナバッハの高級弦です。
価格はかなり高いのですが、それだけに銀の含有率の高いメッキが低音弦に使われていたり、芯線も新素材だったりとこだわっています。また、1,2弦はナイロンですが3弦にはチタニウム弦を使っておとのぼやけ対策をしています。
音はとにかく「クラシックギターらしい」音を素直に進化させたという印象。横綱相撲で押し切ってきます。弦がきれいに振動している、という印象です。
ちょっと価格が高いのが難点ですが、ここぞという時に使いたくなる、そんな弦です。
本サイトのレビュー記事はこちらの記事を参照ください:
どれも一度は使ってみてほしい弦ばかり
クラシックギターが好きな人でも、弦はいつも昔ながらのプロアルテかオーガスチンばかりという人がいます。確かにプロアルテやオーガスチンも良い弦ですが、各社切磋琢磨して次々と新しい弦をリリースしている時代です。
ここで紹介した弦はどれも、70種類以上の弦を使ってきた私が自信を持ってお勧めする弦ばかりです。一度試していただければクラシックギターの世界が変わるかもしれません。
ただ、正直言って70種類以上の弦の中から絞るのはなかなか難しい作業でした。他にも紹介したい弦がいろいろ…。こちらでまとめてあるので、要チェックです。