ボールエンドのクラシックギター弦 交換が簡単で安いナイロン弦

マーティンのボールエンドのクラシックギター用ナイロン弦
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クラシックギターの弦は普通はブリッジ側は結び付けて固定します。これに対してアコースティックギターやエレキギターはボールエンドと呼ばれる差し込むだけの方式が主流です。クラシックギターにも実はボールエンド方式の弦が存在します。

ボールエンドの弦とは

クラシックギターしか弾かない人にとってはそもそもボールエンドって?となるかと思います。

クラシックギターの弦は通常両端に何もついておらずまっすぐですが、アコギやエレキの弦には下の写真のような輪っかがついています:

100524string
うたものギタリストの器用貧乏な日々つれづれ のHPより

これを使ってブリッジから弦が抜けないようにします。クラシックギターのようにブリッジに結びつけるタイプよりも簡単で抜けづらいです。

簡単に言うと以下の記事で紹介している弦留めチップが弦メーカーが出荷するときについているようなものです:

ある意味合理的です。

ちなみに、アコギのようなタイプをボールエンド(ball end)と呼ぶのに対し、クラシックギターのようなブリッジに結び付けるタイプはタイエンド(tie end)と呼びます

ボールエンドのクラシックギター用弦も存在する

そんな便利なボールエンド弦ですが、実はクラシックギター用のナイロン弦のものも存在します

Strings by mailのHPより

上の写真はマーティンのクラシックギター用ボールエンド弦です。

見づらいですが、低音弦はアコギ用と同じ輪っかがついています。これがブリッジの穴に引っかかり抜けない仕組みです。一方、高音弦にはプラスチック製の部品がついており、これが引っかかります。

ボールエンドのクラシックギター用弦には以下のような特徴があります:

  • 音作りが異なる
  • 価格が安い
  • 弦留めチップと同じ効果があってお買い得

音作りが異なる

このナイロン弦のボールエンド弦は普段クラシックギターを弾かないアコギ弾きやエレキ弾きが、エレアコやナイロン弦のギターに弦をつけやすいように売られています

が、別にクラシックギター弾きが使っても問題ありません。

テンションが気になるかもしれませんが、実はそれほど普通のクラシックギター弦と変わりません。

プロアルテ ノーマル (EJ45)フォーク ナイロン (EJ32C)
1弦7.35 kg7.35 kg
2弦5.46 kg5.35 kg
3弦5.39 kg5.35 kg
4弦7.08 kg6.87 kg
5弦7.21 kg7.35 kg
6弦6.44 kg7.13 kg
合計38.92 kg38.39 kg

上は普通のナイロン弦であるダダリオのプロアルテ ノーマルとボールエンドのフォーク ナイロンのテンションを比べた結果です。見ての通り、合計は大きく違いません。

各弦ごとのテンションが異なるのは音作りの差なのでしょう。フォークナイロンはアコギ弾きやエレキ弾きも視野に入れているので、純粋なクラシックギター弾きをターゲットにした製品とは違う音作りをしていると思われます。単純にプロアルテの弦にボールエンドの部品をつけただけではありません。

もしかするとこれまでどのクラシックギター用の弦を使ってもしっくりこなかった人もボールエンド弦を使うと新たな世界が見えるかもしれません。

価格が安い

アコギやエレキ用の弦はピンからキリまでありますが、安いものはクラシックギターよりもずっと安いです。

楽器人口の数の違いのためだと思われますが、ボールエンドの弦も希少なので高いかと思いきや、このアコギやエレキ弦のトレンドに乗っかって安いです。

ダダリオの公式HPの価格によると、

  • プロアルテノーマル (EJ45) : $8.99
  • フォークナイロン (EJ32C) : $7.99

となっており、普通のプロアルテよりも安い値付けとなっています。ただし、この価格が日本に来た時にどうなるかはまた別問題です。。。

弦留めチップと同じ効果があってお買い得

上でも紹介しましたが、クラシックギターには弦とブリッジの角度を変えてクリアな音にする弦留めチップと呼ばれるアクセサリがあります:

結びつけてしまうと結び目に弦が上に引っ張られてしまうのですが、弦留めチップを使うと結び目がないので角度が大きくなります。

ボールエンドはいわば弦留めチップがついている弦なので同じ効果が得られます。

弦留めチップは別で買わなくてはいけない上に毎回自分でつけないといけませんが、ボールエンドなら最初からついているうえに価格も織り込まれています

その意味ではお買い得といえます。

ボールエンドのクラシックギター弦紹介

それでは実際、どのような製品があるのでしょうか?

ダダリオ フォークナイロン ボールエンドシリーズ (D’Addario Folk Nylon Ball End)

世界的な弦メーカーであるダダリオはボールエンドのナイロン弦をしっかりと用意しています。

全部で4種類です。

型番内容
EJ32C透明なナイロン弦の高音弦、銀メッキの低音弦
EJ32ブラックナイロンの高音弦、銀メッキの低音弦
EJ33透明なナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦
EJ34ブラックナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦

相変わらず型番のつけ方が謎ですが、要は高音弦2種類と低音弦2種類の組み合わせです。EJ32Cが一番クラシックギター弦に近いです。ブラックナイロンは透明なナイロン弦よりもはっきりした音といわれています。80/20ブロンズはアコギの低音弦によく使われる素材です。

アーニーボール (Ernie Ball)

アコギやエレキの弦では有名なアーニーボールもボールエンドのナイロン弦を出しています。面白いことにこちらもダダリオと同じく高音2種と低音2種の組み合わせです。

型番内容
Ernesto Palla 2403 透明なナイロン弦の高音弦、銀メッキの低音弦
Ernesto Palla 2406 ブラックナイロンの高音弦、銀メッキの低音弦
Earthwood 透明なナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦
Ernesto Palla 2409 ブラックナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦

なんでEarthwoodだけ違う名前なんだろう?という疑問はあります。

アーニーボールのボールエンドナイロン弦はダダリオよりも安いです。

マーティン (Martin)

アコギで有名なマーティンもボールエンドのナイロン弦を出しています。こちらは高音1種類、低音2種類のバリエーションです。

型番内容
Martin M160透明なナイロン弦の高音弦、銀メッキの低音弦
Martin M260透明なナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦

さすがマーティンだけあって日本でも手に入りやすいです。

また、実はマーティンはタイエンドの普通のクラシックギター用弦を出しています。こちらは高音がMagnificoと呼ばれる独自の弦だそうです。かなり変わった弦を作っているアクイーラから供給されているのだとか。ナイルガットとかでしょうか?低音弦は銀メッキです。

型番内容
Martin M165ミディアムテンション
Martin M265ハイテンション

ラベラ (La Bella)

クラシックギター用弦としてアンドリュー・ヨークが使っていることで有名なラベラもボールエンドの弦を出しています。

型番内容
Folk Singer 830 ブラックナイロンの高音弦、金色の合金の低音弦
Folk Singer 840 透明なナイロンの高音弦、金色の合金の低音弦

GHS

エレキギターで有名なGHSもクラシックギター用のボールエンド弦を出しています。

型番内容
2050W高音が普通のナイロン弦、低音が銀メッキの銅
2000高音が普通のナイロン弦、低音がフォスファーブロンズ

実は好みの音の弦が見つかるかも?

ボールエンドのクラシックギター用弦は普段アコギを弾いている人にもターゲットを向けているだけあって、音作りは普通のクラシックギター用弦とは異なります。

このため、どうもどのクラシックギター用弦を使ってもしっくりこないという人は一度ボールエンドの弦を使ってみるといいかもしれません。ボールエンドが気に入らないなら切り落としてしまえばいいですし。

特に普段アコギを弾いていて、アコギの音が好きな人には合うかもしれません。

あまりメジャーではないですが、選択肢の1つとしていかがでしょうか。

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