プロアルテの弦もこれでメジャーどころはほぼ制覇したことになりそうです。今回レビューするのは比較的最近発売されたダイナコアです。なかなか仰々しい名前の弦です。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています
低音弦がダイナコア、高音弦がチタニウム弦のセット
まず名前としてややこしいのが、「ダイナコア」というのは低音弦の名前という点です。
実はダイナコアの低音弦を使用している弦はもう1つあり、以前感想を書いたプロアルテカーボンも低音弦はダイナコアになっています。
違いは、プロアルテカーボン(EJ45FF)が高音弦がカーボン弦なのに対して、ダイナコア(EJ45TT)は高音弦がチタニウム弦であるという点です。
ちょっとシリーズ名と中身がややこしいですが、どちらを買っても低音弦は同じということです。プロアルテの型番やシリーズ名と中身については以下の記事も参照ください:
弦を触るとナイロン弦よりも弾力があるように思います。曲げた時の反発力が強いです。
テンションはノーマルとあまり変わらない
ナイロンのプロアルテ、コンポジット、ダイナコア、カーボンのテンションを比べると以下のようになります(すべてノーマル、単位kg):
プロアルテ | コンポジット | ダイナコア | カーボン | |
1弦 | 7.3035 | 7.3035 | 7.398 | 9.5805 |
2弦 | 5.418 | 5.418 | 5.508 | 6.9075 |
3弦 | 5.346 | 5.517 | 5.427 | 6.444 |
4弦 | 7.029 | 6.138 | 6.138 | 6.138 |
5弦 | 7.1505 | 6.615 | 6.615 | 6.615 |
6弦 | 6.3855 | 6.8625 | 6.8625 | 6.8625 |
合計 | 38.6325 | 37.854 | 37.9485 | 42.5475 |
カーボンをのぞくとテンションはそれほど変わりません。カーボン弦はさすがにテンションが高いです。
これくらいのテンションの差なら普通のぷらアルテを使っていた人でも違和感なく使えそうです。
高音弦は薄紫色のチタニウム弦が特徴的
この弦は見た目的には高音弦がチタニウム弦であるところが特徴的です。
上の写真の左側がプロアルテのナイロン弦の3弦、右側がチタニウム弦の3弦です。チタニウム弦はうす紫がかっています。こう見ると結構違いがありますが、黒色の指板の上になるとそれほど違和感はありません。
チタニウム弦はナイロンに添加物を加えることではっきりと下ぼやけない音にした弦です。詳細は以下の記事を参照ください:
チタニウム弦はダダリオの専売特許というわけではなく、私の記憶ではロイヤルクラシックスが最初に発売したように思います。その後、ダダリオやハナバッハも追従して一時期流行りましたが、その後カーボンの方に人気が移ったような印象があります。
以下の裏話の記事にもありますが、実は高音弦は供給元が限られているという話もありますので、どのメーカーも同じなのかもしれません。。。
低音弦は新しい芯線を使用
一方、製品名にもなっている低音弦のダイナコアは、新しい素材の細い芯線を束ねたものを使っているそうです。
そのおかげで、寿命が長くなり輝かしい音が出るのだとか。ダダリオは現代的な音を目指したとしています。
張ってある弦はプロアルテコンポジット、上に置いてある弦がダイナコアです。見た目としてはあまり変わりません。
高音弦はナイロン弦に近い音色だけど鳴りが良い
実際に張った感想ですが、高音弦のチタニウム弦はナイロン弦に近い音色や弾き心地でありながら、ナイロン弦にありがちな音のこもりが改善されています。
最近ではドーガルのカーボンとナイロンのハイブリッド弦というのもありますが、それに比べてもかなりナイロンよりの音です。
ナイロン弦のこもった音は改善したいけど、カーボン弦はキンキンするという人にはぜひ試してもらいたいです。
ただし、こもりを改善している分、やはりナイロン弦の音の甘さは減退しています。ここはやはりトレードオフのところではありますね。。。
張りの強さはナイロンに比べると多少感じますが気になるほどではありません。
低音弦は意外と芯がしっかりした音、不必要に金属的な音がしない
低音弦に関してはダダリオが現代的な音を目指したといっているのでとにかく鳴りを重視して金属的な音もさせる弦なのかと思いましたが、意外とそうでもありませんでした。
どちらかというと芯の音がしっかりしていて、低音の基礎を支える音がしっかりします。金属的な音はむしろ控えめになっていますが、全然ないということはなく、良いバランスです。
また、新しい芯線のおかげか、低音弦のハイポジションの音が鳴らしやすいように思いました。昔ながらの弦だとここが出づらかったりするのですが、現代的な音を目指したというところがここに出ているのかもしれません。
あまりメジャーになっていないけど優れたセット、ナイロン弦ユーザーにも試してほしい
このダイナコア、最近出た弦の割にあまりメジャーになっていない感があります。
しかしながら、キンキンしないけど鳴りが改善された高音弦と、芯がしっかりした低音弦は非常に魅力的に感じます。
テンションの面からも通常のプロアルテに近く、今まで普通のナイロン弦しか使っていなかった人にもステップアップとして一度試してもらいたいです。
また使い込んでいくうちに乾燥を追記します。