クラシックギター弾きにとって命ともいえる爪ですが、ちょっとしたことで簡単に割れてしまいます。待っていれば伸びてくるのは確かですが、その間は楽しくギターが弾けず、割れ方によっては日常生活に支障をきたすかもしれません。爪への負担が少ない自爪強化ベースコートであるカイナ(kaina)の「ザ・ギタリスト」に新製品「ヘビィ」が登場したので試してみました。
クラシックギター弾きのための爪に関する情報は以下の記事にまとめています:
どれだけ気を付けても割れてしまう爪
爪を割れから守る方法は色々あります。
爪を強くするために保湿や栄養を気にするのは基本ですし、プルタブを開けるときに爪を使わない、ボーリングは左手で投げる、などいろいろと気を付けている方は多いのではないでしょうか。
残念ながらどれだけ気を付けても爪は割れるときは割れます。
なかなか伸びない爪
爪は毎日少しづつ伸びますので、割れた爪はいつかは元に戻ります。
ただ、爪が1日に延びる長さは0.1mmといわれており、10日たっても1mmしか伸びません。
伸びるまではギターをろくに弾くことができず、悶々と過ごす日が続くでしょう。
爪が割れたらどうする?
爪が割れた場合、クラシックギターを弾く方法にはいくつかの選択肢があります。
つけ爪はうまく付けるのが大変
自分の爪がない間はつけ爪を使うという手があります。特にアリアのネイルチップは有名です:
このつけ爪、確かに思ったよりも違和感なく弾けるのですが、それはうまく装着できたときだけです。
テープの大きさ、つけ爪のサイズ、整形など、自分の爪とは違う技術が必要で、習得には時間がかかります。
このため、割れたときに使うというよりは、普段から使い続けるほうが正解なのかもしれません。
瞬間接着剤は柔軟さがいまいち
もう1つの方法は、瞬間接着剤で自爪を補修するという方法です。
有名なのはアロンアルファの「釣名人」という接着剤を使うという方法:
爪の割れたところにティッシュをあて、その上に釣名人を垂らして接着します。
接着剤なので確かにしっかりとくっつくのですが、硬くなりすぎるのが難点です。
爪は本来柔軟性があり、それを利用して弦をつま弾いているのですが、接着剤を付けることで柔軟性が変わり、本来の爪とは違う音や弾き心地になります。
また、本来人間の身体に使うものではないため、健康面も気になります。
割れの予防と補修の両方に使える「ザ・ギタリスト」
カイナの「ザ・ギタリスト」は、カテゴリとしてはマニキュアのベースとして塗る「ベースコート」と呼ばれる部類の商品です。
最大の特徴は商品名からもわかるとおり、「爪を大切にするプロのギタリストが愛用するベースコート」がコンセプトである点。
爪への影響を最小限に抑えつつ、しっかりとした保護効果を誇ります。
酸素透過性の樹脂を使用
最大の特徴は「酸素透過性」の樹脂を使っている点にあります。
接着剤や普通のベースコートを爪に塗ると酸素が遮断され、爪に悪影響を及ぼすそうです。
ザ・ギタリストはソフトコンタクトレンズと同じ酸素透過性の樹脂を使っているそうで、爪の健康を守りながら強化できます。
目立たない見た目
特に男性の場合、爪がマニキュアのようにピカピカになることに抵抗感がある方も多いのではないでしょうか。
ザ・ギタリストは光沢がなく、かつ薄く塗れますので、しっかりと見ても何かを塗っているようには見えません。
誰でも気軽に使えるのはありがたい仕様です。
新製品の「ザ・ギタリスト <<HEAVY>>」を使ってみた
ザ・ギタリストにはオリジナルのものと、新製品の<<HEAVY>> (ヘビィ)があります。その名のとおり、ヘビィはより耐久性が高いそうです。
爪が割れた機会に、新製品のヘビィを購入して試してみました。
小さくて持ち運びやすい瓶
サイズ感としては以下の写真のように、手のひらサイズよりも小さく、持ち運びやすいです:
内容量は9.5mlと少なめですが、1回に使う量が少ないので長く使えそうです。
なかには不透明のどろっとした液体が入っています:
ヘビィのなかには改良強化ファイバーが爪保護材として入っているそうなので、それで不透明なのでしょう。
誰でもかんたんに薄く塗れる
フタに刷毛がついており、これで中身をすくって爪に塗ります:
液体の粘度が絶妙で、誰でもかんたんに薄く塗れます。
釣名人も良い粘土なのですが、接着剤なので刷毛がなく、薄塗りしやすいとはいえません。
ザ・ギタリストの場合、1回で塗れる厚みは薄いので、より強くしたい方や厚みを出したい方など用途に合わせて重ね塗りで調節できます。
除光液で簡単に剥がせる
TPOや気に入らなかった場合はマニキュア同様、除光液で簡単に剥がせます。
なお、除光液はギターの塗装に悪影響を及ぼす可能性があるので注意してください。特にアセトンはラッカー塗装の大敵です:
割れをしっかりガードしてくれる
今回は以下の中指の割れを補修してみました:
何もしなければ割れているところからさらに割れが広がっていきますが、ザ・ギタリスト ヘビィを塗った後はギターを弾いてもまったく割れが広がりません。
見た目も、多少凹凸がなくなったかな、という程度でほぼ変化なしです:
ギターの弾き心地に影響なし
気になるギターを弾く際の感触の違いは感じませんでした。
やはり薄塗りであるところが大きいのでしょう。
水仕事や風呂は全く問題なし
ザ・ギタリストを付けて水仕事や風呂を試しましたが、まったく問題ありません。
カイナによるとザ・ギタリスト ヘビィは1週間から10日程度で自然と剥がれていくそうですが、十分な耐久性を持っていると言えるのではないでしょうか。
ちなみに爪はだんだんと伸びるので、そのうち塗布されていない部分が付け根から出てきます。この部分が出てきたら重ね塗りすればよいでしょう。
ザ・ギタリスト ヘビィの気になる点
もちろん良いことばかりではなく、気になる点もあります。
かなりシンナーくさい
ザ・ギタリスト ヘビィは非常にシンナーくさいです。セメダインなどの接着剤と同じにおいがします。
このにおいがかなりしつこく残るため、可能であれば屋外で塗って少し乾かした後で家に入ると良いでしょう。
爪の付け根が少し突っ張る
今回は爪全体に塗ったのですが、その結果爪の付け根が少し突っ張る感覚があります。
元々爪と皮膚がくっついている部分に接着剤を付けているようなものなので、このような感覚になるのでしょう。
それほど気になるわけではなく、違和感程度なのですが、気になる方は付け根には塗らない方がよいかもしれません。
価格が高い
ザ・ギタリストはオリジナル版/ヘビィともに定価は2,200円です。
これに対して釣名人は500円程度とかなり価格差があります。
単純比較できるものではありませんが、価格が気になる方は、釣名人も爪のコーティングによく使われているので、こちらも検討した方がよいかもしれません。
爪にこだわるギター弾きにおすすめ
カイナのザ・ギタリスト <<HEAVY>> は、酸素透過性の樹脂によって爪への悪影響を抑えつつ、見た目にも弾き心地にも違和感なく使える爪の強化ベースコートです。
割れを予防し、割れても補修できるため、かなり使える存在といえます。
爪が良く割れる方はぜひ一度試してみてください。