クラシックギターを弾くときは人間の体の一部である爪を使うのが一般的です。しかしながら、人によっては職業や他の趣味の関係で爪が伸ばせなかったり、ギターの弦を弾くのに適さない形だったり、あるいは割れてしまったりします。そんな時は付け爪という選択肢も考えてみるといいかもしれません。
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個人差が大きい爪
クラシックギターを爪で弾くということは良いこともあり悪いこともあります。
放っておいても生えてくるものなのでヴァイオリンの弓やエレキギターなどのピックに比べるとコストがかかりません。
一方で、生まれ持ったものであったり、後天性のもので形や厚さなどの個人差が大きく、あるいみハンディキャップになりえる点でもあります。
また、人によっては爪を伸ばすことができなかったりすることもありますので、お手軽であるのは確かですがなかなか悩ましい点であることは確かです。
付け爪なら誰でも安定した形と厚みに
爪に悩みを持つのであれば付け爪という選択肢を考えてみるのもいいかもしれません。
付け爪はその名の通り自分の爪ではなく人口のものを後からつけるものです。ネイルの世界では割と一般的ですが、クラシックギターの世界でも昔からいろいろなものがあります。
ARIA (アリア) ネイルチップ
一番クラシックギター弾きに特化した付け爪がARIAのネイルチップです。
この製品は透明な爪を模したチップです。クラシックギター用をうたっているだけあって、適度な硬さと柔軟性を持っており、良い音でクラシックギターで弾けます。
しかも、爪に取り付けるときに両面テープを使うのが特徴です。接着剤などでつけてしまうと一度付けたらはがすのが大変ですが、両面テープならつけたりはがしたりが簡単です。爪を伸ばせない人でもギターを弾くときだけ装着することが可能です。
また、この両面テープは医療用の強力なものであり、人体につけても安心です。
上の製品にはネイルチップと両面テープのほか、やすりと紙やすり、収納ポーチがついています。やすりと紙やすりは持っている人が多いかと思いますので、その場合はネイルチップと両面テープを単品で買う方が安いです。
ネイルチップのAN-40はいわばスターターキットになっています。ARIAのネイルチップは爪の幅に合わせて7種類ものラインナップがあります:
- AN-40-0: 幅20mm
- AN-40-1: 幅19mm
- AN-40-2: 幅17.5mm
- AN-40-3: 幅17mm
- AN-40-4: 幅16.5mm
- AN-40-5: 幅15mm
- AN-40-6: 幅14mm
人によって、および指によって適切な幅は変わるわけですが、AN-40を買うと各サイズが3枚ずつついてくるため、どのサイズが自分に合っているか見極めることができます。適切なサイズがわかったら次からは必要なAN-40-*のみを買えばいいわけです。
また、両面テープもチップの幅ごとに適切なサイズが異なっていますが、AN-70はすべてのサイズが入っており、AN-40とセットで買えば適切なものが入っています:
- AN-70-A 17mm AN-40-(0)
- AN-70-B 13mm AN-40-(1), (2)
- AN-70-C 11.5mm AN-40-(3)
- AN-70-D 10mm AN-40-(4), (5)
- An-70-E 9mm An-40-(6)
両面テープはしっかりとした強度があり、ギターを弾いても不安はないようです。再利用もできないことはないですが、どんどん強度は落ちていくので注意が必要です。
アラスカピック (aLaska Pik)
もう1つ有名なのがアラスカピックと呼ばれるものです。
こちらは見ての通り指にはめて使う付け爪です。なんでも、このピックの作者がアラスカに住んでいるときに寒さで傷みやすい爪を守るために開発したのだとか。
この製品は指にはめて使うものなので、両面テープに比べて付け外しがしやすいです。
しかしながら、ピックの固定には自分の爪をこのピックに引っ掛ける必要があります。このため、爪を伸ばせない人用というよりは、爪の形が悪かったり、爪が薄くて割れやすかったりする人用かもしれません。
グラスネイル キット5
グラスネイルという爪の補強材のメーカー(とネイルサロン)からも付け爪が出ています。グラスネイルは激しくアコギを弾く押尾コータローも使っているそうで、かなり強度がありそうです。
こちらは付け爪だけでなく、爪を強化する補強材も入っていて、あらゆる爪のトラブルに対処できます。「塗るギターピック」を名乗っており、ギターにも良さそうです。
上の写真の「グラスネイルで長さだし」が付け爪ですが、かなり自然な仕上がりになっています。
スプレーを使って10秒で固まるのも特徴で、いざというときに簡単に使えます。
少々お値段が張るのが難点ですが、セットに含まれるそれぞれのものは単品でも買えますし、それだけの価値はありそうです。
べっ甲製のつけ爪も選べるGuitar Nails
つけ爪というとプラスチックやセルロイドなど、化学的に作られたものが多いですが、自然素材のべっ甲が選べるのが「Guitar Nails」です。
べっ甲はマンドリンのピックでは最上ともされており、爪やプラスチックでは出せないような音が出せるかもしれません。
さらに高い白甲という、亀のおなかの甲羅でできたつけ爪も販売されています。
また、サイズのバリエーションも豊富で、単なるサイズだけでなく爪の曲がり具合も考慮したサイズ展開があるので、セルロイド製であってもほかのつけ爪より高いフィット感が期待できるでしょう。
3Dプリンタで作るオーダーメイドのつけ爪
さらにフィット感を重視するなら、3Dプリンタを使ってオーダーメイドのつけ爪を作ってくれるサービスを利用する方法があります。
たとえばATORI NAILのオーダーメイドネイルチップがそれに当たります。
店に出向かなくてもネットオーダー可能なので、興味がある方は試してみてください。
ただし、ネイルアート用の爪なので、ギターに向いた厚みや硬さかどうかはわかりません。
以前はDMM.makeでも3Dプリンタでつけ爪を作るサービスがあったようですが、現在はなくなってしまったようです。さすがに需要がなかったのですかね。
爪でクラシックギターを弾くことをあきらめないための選択肢として
万人にとって付け爪が自分の爪よりも良いか?といわれると、プロのギタリストの多くが自分の爪を使っていることを考えると答えはYesではないかもしれません。
しかしながら、人によっては自爪が恵まれていない場合もありますので、付け爪の方がいい人もいると思います。
それほど高価なものではないですし、一度試してみてもいいかもしれません。