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新しく張ったギターの弦は音程が不安定です。弾いても弾かなくてもどんどん音が下がっていくのを体感したことがある人も多いでしょう。一方で、特に低音弦は新しい方が音が良いのも事実ですし、本番前に慌ただしく弦を替えなければならないこともあるでしょう。この記事ではどうすれば新しく張ったギターの弦の音程を早く安定させられるかについて解説します。
以下の記事で本サイトのクラシックギターの弦関係の記事をまとめています。
音程が不安定なのは弦が伸びるから
新しく張ったギター弦の音が不安定なのは、どんどん弦が伸びていくからです。
張力をかけられた弦は安定するまで伸び続けます。そして伸びると張力が下がり、音程が下がるのです。
これは避けられないものであり、クラシックギター弦において張った瞬間に音程が安定する弦はありません。
このため、張ってすぐの弦で気持ちよく演奏するには、できるだけ早く安定させる必要があります。
新しく張ったギター弦をできるだけ早く安定させる方法
それでは、新しく張ったギター弦をできるだけ早く安定させる方法を紹介します。
ひたすら弾く
ギター弦は弾くことによってテンションがかかります。
これにより、弾けば弾くほど早く安定させることが可能です。
曲を練習して伸ばすのも良いですし、エレキやアコギのようにジャカジャカとかき鳴らしても良いでしょう。
とにかく弾いて安定させるのがシンプルかつ確実な方法です。
安定しやすい素材の弦を使う
一般的にクラシックギターの弦に使われるナイロンは非常に良く伸び、安定しにくい素材です。
最近ではこれに変わる素材が色々と登場しており、安定の早い素材の弦を使えばより早く音程が落ち着きます。
当サイトでは70種類以上の弦をレビューしています。こちらの記事でまとめてありますので参照ください。
高音弦はフロロカーボン(カーボン弦)が早い
高音弦で安定が早いのはフロロカーボン製のカーボン弦です。
サバレスのアリアンス、プロアルテカーボンなどさまざまなメーカーからカーボン弦が出ています。
以前はカーボン弦といえばキンキンという金属的な音がするのが当たり前でしたが、最近は耳障りな音が少ないカーボン弦が多く登場しています。
カーボン弦やナイロン弦、チタニウム弦についてはこちらの記事を参照ください。
低音弦は新素材を芯線に使ったものが早い
低音弦に関しても以前は芯線としてナイロンを使うのが当たり前でしたが、最近は新素材を芯線に使ったものが多く登場しています。
たとえばサバレスのカンティーガおよびカンティーガプレミアム、ダダリオのプロアルテ ダイナコアなど枚挙に暇がありません。
新素材を使ったものは音程の安定が速く、長寿命であることをウリにしたものが多く、そのようなものを選べばナイロン製のものよりも早く安定するでしょう。
低音弦の構造や種類についてはこちらの記事を参照ください。
Stretcha(ストレッチャ)を使う
弦を早く安定させるためのアイテムも存在しています。それがStretcha(ストレッチャ)です。
道具を使って引っ張ることによって弦にテンションをかけ、早く伸ばすことができます。
詳細は以下の記事を参照ください。
指で引っ張って無理矢理伸ばすのはNG
テンションをかけて伸ばせば良いのであれば、指を使って引っ張れば良いのでは?と思うかもしれませんが、これはおすすめできません。
指でのばした場合、どうしても弦が不均一に伸ばされ、弦の音が悪くなる可能性があります。
また、Stretchの開発者によると、指で引っ張って伸ばすには45分以上伸ばし続ける必要があるとか。指にも良くなさそうです。
正しく弦を張る
弦の張り方も重要です。間違った張り方をすると安定するまでにより長い時間を要します。
私は特に、糸巻きに巻き付ける弦の量が安定性に直結し、できるだけ巻き付ける弦の量が少ない方が安定すると感じています。
糸巻きに巻き付ける弦の量を減らすため、しっかりと弦の端を引っ張った状態で張るのがおすすめです。
弦の張り方についてはこちらの記事も参照ください。
あらかじめ安定させた弦を取っておく
本番直前に弦を交換したいなら、あらかじめ伸ばして安定させておいた弦を用意しておくのがおすすめです。
新品の弦に交換し、ある程度安定するまで引き続けます。こちらの記事でも書きましたが、低音弦で2,3日、高音弦で1週間といったところでしょうか。
そして、安定した弦を外して保管し、本番の前に再び取り付けるという方法です。
高音弦は音程が悪いものもあるため、その選別にも役立ちます。
この方法の注意点は、あまりにも前に弦を用意すると、低音弦がさびて音が劣化する可能性があるという点です。万全を期すなら真空保存容器に入れておくと良いでしょう。
また、弦を取り付けたときにいつもの癖で余った分を切ってしまわないよう注意してください。
無理に伸ばすと寿命を縮めるので注意
これらの方法で弦を早く安定させることが可能であり、本番前に弦を交換しても安定した音程で美しい音を奏でられるでしょう。
ただ、弦は安定とともに寿命が縮み、劣化していくものです。必要以上に安定させようとすると、音が悪くなり、弦を早く交換しなくてはならなくなるかもしれません。
どれくらいが良いのかは経験してみないとわからないところであり、何度も試行錯誤するより他ありません。
コンサートや発表会、演奏会などの前に弦を交換する時期についてはこちらの記事も参考にしてください。
極端な言い方をすると、弦の音がまったく変化しなくなったら寿命ともいえます。
音程が不安定だからこそ音が良いともいえますので、うまく付き合うのが重要です。