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ヤマハのNS110は安くて入手しやすいクラシックギター用の弦です。しかしながら、私自身はあまり良いイメージがなく、これまで使ったことがありませんでした。最近、各ネットショップで一番売れている弦を調査したところNS110が大人気であることがわかったので、興味がわいてきて使ってみました。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています
ヤマハの廉価版のクラシックギター弦
NS110はヤマハにとって廉価版にあたるクラシックギター弦です。
ヤマハはこのほかにグランドコンサートと呼ばれるセット弦(S10)を販売していますが、NS110の定価が990円なのに対しS10は1,870円とほぼ倍です。
NS110は実売では600円台で入手することができ、私の知る限り日本で買える最も安い有名メーカーのクラシックギター弦です。
また、ヤマハの強い国内販売網を生かし、どこの楽器店でも売っているクラシックギター弦でもあります。
ヤマハのクラシックギター弦についてはこちらの記事も参照ください。
クラシックギター専門店に置いていないことが多いけど人気
一方、クラシックギター専門店にはNS110は置いていないことが多いです。
たとえばアウラのネットショップで販売されているのはグランドコンサート弦だけですし、現代ギターのネットショップに至ってはヤマハの弦が販売されていません。
それにもかかわらず、ネットショップのクラシックギター弦売れ筋ランキングを調査したところ、多くの店で上位に入っていました。
もしかして多くのクラシックギター弾きはNS110の実力を知らないだけなのか?と思い30年弾いているのに初めてヤマハのNS110を手に取った次第です。
安いのに丁寧な包装
パッケージはこんな感じです。
裏面には弦を棒に引っかけて展示するためのタブがあり、昔ながらのクラシックギター弦のパッケージという印象を受けます。
びっくりなことに、MADE IN JAPANと書かれており、日本製のようです。グランドコンサート弦はインドネシア製だったのですが、安い方が日本製なのでしょうか?あるいはロットによって製造場所が違うとか?
中身にも驚きました。以下の写真のようにこの価格にして各弦が個別パッケージになっています。
廉価版の弦の場合、たとえばハナバッハ500のようにコストを下げるためにすべての弦が1つのパッケージに入っていることも多いのですが、NS110はきちんとすべての弦が個別包装です。
しかも大きく弦番号が書かれており、弦の付け間違えを防いでくれるのもうれしいポイントです。
余談ですが、右下には「プラ」マークがあり、さすが日本メーカーの弦だと思いました。
低音弦の末端処理はこのようになっています。
オーガスチンもこのような先端がループになっている構造ですが、最近の弦ではあまり見かけず、古き良きクラシックギター弦という感じがします。
モノクロームな音、音は柔らかいけど鋭い音が出しづらい
実際にギターに張って弾いてみた印象は、音の色彩感がなくモノクロームというものです。
全体的に柔らかい音で、それ自体は良いのですが、鋭い音が出しづらく、どう弾いても柔らかい音になってしまいます。
音色の豊かさが売りのクラシックギターなので、ちょっとこれは残念なポイントです。
特に6弦がボヨボヨした音で、重厚感のある音が出せません。
このあたりはやはり上位の弦には劣るところでしょうか。
ちなみに、ヤマハのクラシックギターは最も安いCG102をのぞいて低音弦にグランドコンサート弦あるいはオーガスチンの青を使っています(参考:GCシリーズ、CGシリーズ)。
ヤマハとしてもNS110の音には自信がないということでしょうか…。
一方、高音弦はやはり柔らかめの音ですが、意外と悪くありません。しっかりとハイポジションまで鳴ってくれます。
張りが弱くて弾きやすい、音程も良好
ただ、NS110は悪いところばかりではありません。
まず、テンションは低めで、非常に左手で押さえやすく、右手で弾きやすいです。
弦の太さとしてはそれほどでもないのですが、実際に弾いてみるとものすごく低い印象を受けます(テンションは非公開)。
また、気になる高音弦の音程も良好です。このあたりはさすがヤマハ製かつMADE IN JAPANといったところでしょうか。
さらに、モノクロームな音ということは、どう弾いても同じような音が出るということであり、タッチに対して敏感でなく、右手のミスタッチが減ります。
ヤマハ NS110はクラシックギター初心者におすすめの弦
このような印象から私は、ヤマハ NS110はクラシックギターの初心者におすすめの弦だと思いました。
張りが弱くて弾きやすく、タッチに敏感でないため、基礎的な技術を磨いている人に合った弦ではないかと思います。
また、価格が600円台と安いのも、まだ本格的にクラシックギターにのめり込むかどうか決めていない初心者にはありがたいでしょう。
PLAYTECHなどのよくわからないメーカーの弦より品質が高く、入手しやすいのも良いですね。
サイレントギターや練習用のギターなど、メインのギターではないものに張るのも良いかもしれません。
一方、クラシックギターの音を十分に楽しみたいなら、ハナバッハ500など他のメーカーの廉価版の弦をおすすめします。
入手性はヤマハより下がりますが、ネットショップなら気軽に買うことが可能です。以下の記事も参考にしてください。
音としては厳しいことも書きましたが、売れているだけあって初心者向けとしてはよくできた品質の高い弦だと感じました。
できれば今後、ヤマハが新しい現代的なクラシックギター弦を出してくれるとうれしいのですが…。