弦の評価: フィガロ レッドプラス+クリア(Figaro Red+ & Clear)

4.5
フィガロ レッドプラスとクリアの画像
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久しぶりに国産弦メーカーのフィガロから新作が発売されました。音に定評のあるレッドに対し、素材を見直したことで強度が大幅に向上したというレッドプラスです。製作者が自信作と呼ぶこの低音弦を同じくフィガロの高音弦であるクリアと一緒に試しましたのレビューしたいと思います。

素材を抜本的に見直すことで強度を大幅に向上

フィガロのレッドプラス(Red+)は、従来からあるレッドの強度を改善したものです。

従来のレッドにはギターに長く張っていると切れやすいという問題がありました。

これに対し、3年かけて音質を犠牲にすることなく強度を向上したのがレッドプラスです。

私はこれまでフィガロのブルーとクリアの組み合わせは使ったことがありましたが、レッドはありませんでした。

現代的な音のギターに合うとのことで、私の使っているレイズドフィンガーのギターにも合うかと思い、良い機会なので購入してみました。

質の良さを感じさせるよれの少ない弦

レッドプラスとクリアのパッケージはこんな感じです。

フィガロ レッドプラスとクリアの画像

正直、外国メーカーに比べるとデザインの面では勝っているとは言いがたいですが、手作り感を感じるパッケージです。

ブルーの時も書きましたが、相変わらずゴミの分別がしづらいのがいまいちです。

レッドプラスの巻き線には加工リン酸銅を使っています。とはいえ、見比べても普通の低音弦(上)との違いはわかりません。

違いを感じるのはパッケージから取り出し、伸ばしたときです。普通の低音弦は伸ばしてもある程度巻かれていたときの癖が残り、よれてしまうものですが、レッドプラスはほかの弦に比べてまっすぐ伸びます

しっかりとした材料を使って丁寧に作られているのでしょう。おかげでギターにも張りやすいです。

ちなみに、芯線は「フィガロコアヌード」と名付けられています。セクシーな名前です。

レッドプラスを張り終わった姿がこちら。見た目は普通の低音弦です。

そういえば、ブルーの時は4弦につけるスリーブが付属していましたが今回はありませんでした。私のギターはダブルホールなので元々不要なのですが、強度が上がったことでシングルホールでも不要になったのでしょうか。

追記:フィガロに確認したところ、やはりレッドプラスは強度向上によりスリーブが不要になったそうです。従来よりも耐久性が向上したという証といえるでしょう。

高音弦のクリアは前回と変わらず、1,2弦がナイロン、3弦がフロロカーボンです。

フィガロ弦の芯がある音に輝きをプラス

肝心の音についてですが、張った直後は低音弦の音がボケボケで、「シャリ感」のある音はどうした?と思ったのですが、少したつと音に輝きが出てきました

とはいえ、たとえばオーガスチンのブルーのように暴れ回るような金属音ではなく、あくまで音にスパイスを与える程度の輝きです。

音の芯がしっかりあるのブルーと共通であり、ギターの裏板の震え方がほかの弦と違います。

フィガロブルーはかなり派手さを抑えた音でしたが、レッドプラスの方が現代的な低音弦に近い音作りであり、より多くの人に好まれるかもしれません。

私もレッドプラスの方が好みです。

高音弦は相変わらず軽い力で音が出ます。ただ、低音弦に輝きが出た分、音のつながりという意味ではブルーの方が良かったかもしれません。

音については時間とともに変化すると思うので、また追記したいと思います。

また、耐久性についても3週間くらい使ってレポートします。

追記:音の芯は残るけど音の輝きの耐久性はあまり良くない

3週間ほどレッドプラスを使いましたが、まだ音の芯はしっかり残っています。

ただ、ブルーに比べたときの特徴である音の輝きについては、だいぶ失われてきました。

そのせいか全体的に音が柔らかく、丸くなってしまっています。

また、フィガロの推奨で毎回弾き終わったら弦を緩めて保管しているのですが、このために音の安定が遅いです。

弾き始めに調弦するとすぐに音が下がりますし、その後30分くらい弾いてもまだ下がります。

1Hz以下の微妙な下がり方ではありますが、和音が濁るのでちょっと気になります…。

寿命を取るか音程を取るか、悩ましいところです。

ブルーも良いけどレッドプラスも捨てがたい

フィガロの新製品であるレッドプラスは相変わらずフィガロらしい芯のある音に加え、それを彩る輝きがプラスされることで魅力的な音の弦だと感じました。

フィガロブルーも良い弦でしたが、個人的にはレッドプラスの方が好きですし、多くの人もレッドプラスの方がとっつきやすい気がします。

フィガロ弦を使ったことがないという方はレッドプラスからスタートしても良いかもしれません。

最大の欠点は価格でしょうか。低音弦だけで3,300円、高音弦のクリアを入れると4,400円という価格は数あるクラシックギター弦のなかでも高価格帯に当たり、手軽に手を出せるものではありません。

しかしながら、開発者が長い年月をかけてこだわり抜いた弦であり、この弦で得られる音は唯一無二のものです。

普段使いのフィガロ弦が登場してくれると、普段は廉価版、本番で高価なものをつかうなどできて良いかなと思いました。

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