非常に多くの種類が存在するハナバッハのなかで廉価版に位置づけられている「カスタムメイド」を試しました。廉価版といっても、ほかのメーカーの主力弦級の価格なので、音には期待したいところです。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています:
廉価版のなかの高級弦であるカスタムメイド
以下の記事でも書きましたが、ハナバッハには非常に多くの種類の弦が存在します。
カスタムメイドはそのなかでも廉価版に位置づけられる弦、ではあるのですが、3種類ある廉価版といわれる弦のなかではもっとも高級な弦になっています。
名勝・型番 | 定価 |
500 | 1,000円 |
600 | 1,700円 |
カスタムメイド(728) | 2,400円 |
シルバースペシャル(815) | 2,700円 |
この表のとおり、最も安い500に比べると定価で倍以上ですし、主力であるシルバースペシャルとは300円しか違いません。これは本当に廉価版の弦なのか?という気もしなくもないです。
ちなみに、海外の弦通販サイトであるStrings by Mailではカスタムメイドよりもシルバースペシャルのほうが安く売られています。いまいち立ち位置のよくわからない弦です。
テンションを比べると、高音弦はカスタムメイドとシルバースペシャルで全く同じなので、違いは低音弦のみのようです。
高音弦はナイロン、低音弦は非常に丈夫な合成繊維に銀メッキの巻き線を巻いたものとなっています。低音弦は高密度の芯線を使っていて、寿命が長いそうです。耐腐食コーティングもついています。
安くするためにパッケージを簡素化
ハナバッハによると、このカスタムメイドは、価格を下げるためにパッケージを簡素化しているそうです。
まず、一番外側のパッケージは厚紙ではなく、ぺらぺらした紙です。見た目には重厚で高級感がありますが、持った感じはぺらぺらです。
更に6本の弦がすべて1つのパッケージに入っています。ちなみに、海外の通販サイトだと、高音弦セットと低音弦セットという形でも売られています。日本でも売ってほしい。
6本の弦が1つのパッケージだと、どの弦が何弦なのかわからないだろうということでしるしもついています。
1弦の先端が黒く塗られているのと、4弦は両端とも巻きが荒い部分がないというのがそれです。でも、なんで1弦と4弦なのでしょう?2弦と5弦をわかりやすくしてくれたほうが、1と3,4と6で太さがわかりやすそうなものですが。。。
ハナバッハらしい、重厚な音質
肝心の音質は、まさにハナバッハらしいといっていい音質です。
高音弦は、過度な倍音がおさえられた、丸さを帯びた音です。かといって、ぼやけているわけではなく、しっかりと音が前へ飛んでいきます。キンキンした音が嫌いな方におすすめです。
低音弦は、シルバースペシャルよりも重厚であるように感じました。こちらも金属的な音が抑えられた、音の芯がしっかりした音がします。なんというか、部屋のなかで反射してきた音がしっかり響くイメージです。
テンションは「ミディアムテンション」という割にはちょっと高めかな、という気もします。ローテンション版もあるので、気になる方はそちらのほうが良いかもしれません。
(追記):寿命は普通だけど、人によっては長く使えるかも
寿命は2週間くらいで音がぼけてきたので、普通くらいかと思います。
ただ、音がぼけてきても基音がしっかりしていて、かつ弦自体全くサビていない上に傷も少ないので、柔らかい音が好きな人は長く使えるかもしれません。
いい弦だけど立ち位置が難しい
ハナバッハ カスタムメイドは値段だけのことはある、なかなかいい弦であるように思いました。
ただ、シルバースペシャルとほとんど価格差がなかったり、もっと安い500,600シリーズがあったりと、立ち位置が難しいようにも思います。
この弦をあえて使うという方は、よほど弦にこだわりがある方といえるかもしれません。
繰り返しますが、決して悪い弦ではなく、むしろいい弦です。この弦が日の目を見るようなクラシックギター界であってほしいと思います。