現代のクラシックギターの低音弦の芯線といえばナイロンが主流です。しかしながら、その昔は絹が使われていたといいます。その時の音を現代の素材を使って再現したのがアクイーラのレーヨン。その名の通り、レーヨンを使っています。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています
自然素材ゆえの問題がある絹
ナイロンがクラシックギターの弦に使われ始めるまでは、低音弦の芯線には絹が使われていました。しかしながら、絹には自然素材ゆえの問題があります。
- 音程が安定しない
- 湿度によって変化が大きい
- 切れやすい
このため、アクイーラでは絹と同じ音がする化学的な素材を色々探したのだそうです。
また、絹という素材は高価です。日本の弦メーカーであるフィガロでも絹芯線の弦が売られていますが、4,5,6弦セットで4,500円と結構なお値段がします。
そしてたどり着いたレーヨン
そして、最終的にたどりついたのがレーヨンという素材だそうです。
レーヨンは人工的に作り出される繊維ではあるのですが、石油由来ではありません。木材パルプをもとに、セルロースを抽出して作られます。絹に似た光沢があり、「人絹」とか「人造絹糸」とも呼ばれるそうです。まさに絹の代わりとしてふさわしい素材ですね。
ちなみに、レーヨンという言葉自体、光線(ray)と綿(cotton)を組み合わせて作られたのだとか。
見た目はごく普通の低音弦
そのレーヨン製の弦ですが、見た目はいたって普通の低音弦です。
それもそのはず。巻線は普通の銀メッキの金属なので、外から見ると芯線が何なのかはわかりません。
ただ、芯線は赤いらしく、横から見ると少し赤いのが見えます(スマホでの撮影なのでこれが限界でした…。)
ギターに張った後も普通の弦といった趣です。
音はナイロン芯線と全然違う
肝心の音はというと、普通のナイロン芯線の弦とは全く違ったものでした。
ボヨ~ンといった感じで、金属的な響きが全くなく、柔らかく優しい音です。
高音弦にはこれまたガット弦を再現したというアクイーラのアラバストロを使いました。
意外と4弦と3弦のつながりは悪くなく、曲を弾くと柔らかくて優しい響きに包まれます。
が、私の楽器とは相性が悪すぎました。そりゃ、レイズドフィンガーという現代的な楽器には合わないですよね。19世紀ギターのレプリカとか、トーレスモデルとかなら合うかもしれません。
昔のギターの響きを体験してみたい人へ
なかなか現代のクラシックギターで常用するのはつらいかもしれませんが、ソルとかジュリアーニの時代の楽器の響きを体験してみるのにはいい弦だと思いました。価格は1,000円未満と高くありません。日本では売っていないので、strings by mailなどの海外通販で買わなくてはいけないのがちょっと面倒ですが。
もちろん、19世紀ギターのレプリカなどを持っている人にもおすすめです。
大きく流行るとは思えない弦ですが、こういったものを出してくれるアクイーラは個人的には大好きです。次々とクラシックギター弦メーカーがなくなっていますが、頑張ってほしいと思います。