ギターで演奏しているときにハイポジションの高い音が出るのはそれほど頻度は高くないですが、そんな時は曲が盛り上がったり、重要な場面であることが多いです。その時に音が鳴らなかったり伸びなかったするとがっかりしてしまいます。どのような点に気を付けるべきでしょうか。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています:
12フレット以上の音は出しづらい
一般的に、12フレット以上のフレットを押さえることをハイポジションと呼びます。
ギターの中でもかなり限界に近い高い音が出るため、特に曲の中で盛り上がったりクライマックスだったり重要な場面で使われることが多いです。
でも、ハイポジションの音は出しづらく、思ったような音が出ないこともしばしばです。
楽器の特性として出しにくいとか、安い楽器だとダメとかそういった要素もあるのですが、まずは今のギターで確認すべきことを考えてみたいと思います。
気を付けるべき & 確認すべき点
テンションが高すぎる弦を使っている
高い音を出すほど弦のテンション(張力)は高くなります。そして、ハイポジションではかなりのテンションとなっています。
自分が扱えるテンションを超えてしまった場合には音がしっかり出なかったり伸びなかったりします。弦に対して歯が立たないような感じを受けるときにはテンションの低い弦を使うのが良いです。
ただし、この場合はローポジション側も今までよりもテンションが低くなりますので、そこを許容できるかという問題もあります。
個人的には意外とローテンションの弦も良い音をするので食わず嫌いをやめて一度試すことをお勧めします。
太すぎる弦を使っている
また、弦の太さも原因である可能性があります。ナイロン弦の3弦が鳴りづらいのはクラシックギター弾きならだれもが知っていることですが、ハイポジションにおいては1弦や2弦もこれと同じ状態になっているわけです。
この場合は3弦と同じくカーボン弦等の新素材弦や、ギターチップ等を使うことで改善する可能性があります。
弦を弾く場所を調整する
これが一番手間なしで解決する方法です。が、意外と皆さん気づいていません。
ローポジションを弾くときとハイポジションを弾くときで、同じ場所で弦を弾いていないでしょうか?これをやるとハイポジションで音がうまく出なかったり、伸びなかったりする原因になります。
弾く位置によって音が変わる
弦は爪または指によって弾かれると振動するわけですが、その時の振動はギターのサドルとナットを両端にして以下のような振動が混ざり合ったものとなります:
上の図では3倍まで示していますが、4倍振動、5倍振動と限りない振動の種類が混じっています。
ギターの弦をブリッジ寄りで弾くかヘッド寄りで弾くかによって音が変わるのは皆さん体験していると思いますが、実は各振動の強さの比率が変わることによって音の変化が起きています。
基本振動、2倍振動といった低い振動が多いと音が柔らかくなります。弦の両端の真ん中で弾くほど柔らかくなるのはこのためです。逆に、ブリッジ寄りで弾けば弾くほど硬い音になるのは高い振動の比率が増えるためです。
そして、ブリッジ寄りになればなるほど爪が弦を振動させづらくなります。極端にブリッジ寄りになると硬い音でもありますが、音が小さくなるのがわかるかと思います。
逆に12フレット付近で弾いた音が良い音かというとそんなことはなく、柔らかいですがどこかぼけたような音になってしまいます。
これらを考慮し、今のギターではホールの上から少しブリッジ寄りを弾くのが普通になっています。
フレットを押さえる位置で振動の中心が変わる
ハイポジションでの問題は、「両端の真ん中」がフレットを押さえる位置によって変わることに由来します。
開放弦での弦の振動の中心は12フレットです。これに対してたとえばハイポジションと呼ばれる12フレットを押さえた時の中心はここではなく、よりブリッジ寄りになります。
このため、開放弦やローポジションで一番いい音を出せる位置とハイポジションで一番いい音を出せる位置は同じではありません。いわば、開放弦で12フレットに近い位置を弾いているのと同じ状態になっている可能性があります。
試しに思っているよりもブリッジ寄りで弾いてみるといい
したがって、ハイポジションになればなるほどよりブリッジ寄りを弾く必要があります。
ハイポジションでいまいち音が出ない、伸びないと思ったときは試しに指を移動してブリッジ寄りを弾いてみてください。意外と音が出るのがわかるかと思います。
ネックが順反り/逆反りしている
ネックが反るとハイポジションでの音に影響があります。ネックの反りについては以下の記事を参照ください:
どこを中心に反っているかによってハイポジションへの影響は変わります。ここでは12F付近を中心に反っている場合を考えます。
ネックが順反りした場合、12Fあたりがへこんだ状態になり弦高が高くなります。こうなると弦を押さえるのにより強い力が必要になったり、押さえがぶれてしまったりします。
また、逆反りの場合は12Fあたりが出っ張った状態になり、弦の振動がフレットにあたり「音がビビる」状態になりやすいです。
少しくらい反っている場合は問題ありませんが、気になる場合は上の記事で紹介している方法でネックの状態を確認してみてください。
曲を弾くときは意外と小さい音でも大丈夫
もう1つ知っておきたいことは、音のバランスとして高い音は小さい音や伸びない音でも大丈夫ということです。
ピアノを想像していただきたいのですが、低音をたたくと大きな音でよく伸びるのに対して、高音は余韻も短く音量も小さいかと思います。
人間の耳の特性として高音のメロディーは良く聞こえるようになっていて、ピアノのこのバランスで曲を弾いた時はちょうどいいのです。逆にハイポジションが大きくなりすぎると曲としては破綻してしまう可能性があります。
ハイポジションを単音で弾いて不満を覚えるときは試しに曲を弾いて録音をして聴いてみてください。あるいは、誰かほかの人にハイポジションの音のバランスが問題ないか聞いてみてください。案外その状態で問題ないことが多いです。
安いギターだから、と安易に楽器のせいにしない
安いギターのハイポジションが鳴りづらいのは事実ですが、それ以外にも原因はあります。
安易に楽器のせいにはせずにまずは自分の楽器や弾き方を確認してみてください。
気持ちよく鳴るハイポジションは気持ちいいものです。音楽をより楽しむためにも気持ちいいハイポジションを鳴らせるようにしましょう。