意欲的に新たな製品を開発しているダダリオから新たなクラシックギター弦が登場します。その名も “XT” シリーズです。寿命が長いことをうりにした弦のようです。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています:
低音弦の寿命を4倍以上に延長
このXTシリーズは基本部分はEXPシリーズと同じようです。
- 高音: プロアルテのナイロン弦
- 低音: コンポジットコアに金属を巻き、寿命を長くする処理を施した巻弦
ダダリオのアナウンスではこの処理によりコーティングされていない弦に比べて4倍以上寿命が延びたそうです。
EXPの場合は3~4倍となっていたのでこれを超える長寿命、ということなのでしょう。
面白いと思ったのが、低音弦の芯線に使っているのが最新のダイナコアのものではなく、1つ前のコンポジットのものである点です。ダイナコアの低音弦よりもコンポジットの方が好評だったのでしょうか?
芯線にもコーティング?
ダダリオからXTシリーズのプロモーション動画が公開されました:
これを見ると巻線だけでなく芯線にもコーティングしているように見えます。国産のフィガロ弦も芯線にコーティングをしているとのことなので、寿命を延ばすのに寄与するのかもしれません。
EXPシリーズに比べて音の輝きの減退が起こりづらい
D’Addarioの情報によると、EXPシリーズに比べて音の輝きが上なのだそうです。
上がグラフですが、一番上がコーティング無し、赤がXT、灰色がEXPです。EXPシリーズは弦の寿命のために音の輝きを犠牲にしていますが、XTは輝きを保ちつつ寿命を延ばしているようです。
チューニングの安定性も切れに対する耐性も上
XTシリーズのコーティングは弦の調弦の安定性にも寄与するそうです。
コーティングをしていない弦に比べて131%安定性が高いのだそうです。
また、切れに対する耐性も上だそうで、安定して長く使える弦のようです。
太さはEXPシリーズと同等、テンションも同等と思われる
このXTシリーズはノーマル(XTC45)、ハード(XTC46)、エクストラハード(XTC44)の3つのテンションでラインナップされます。
まだテンションについては発表されていませんが、ゲージ(太さ)を同じ素材を使っているEXPシリーズと比べるとほぼ同じなので、おそらくEXPシリーズと同等と思われます。特に高音は変わりがないので同じかと。ノーマルテンションのXTC45のみ4弦が太く、6弦が細くなっているようです。
(追記): XTC45のパッケージによるとテンションはEXP45と全弦まったく同じでした。
EXP44 | XTC44 | EXP45 | XTC45 | EXP46 | XTC46 | |
1弦 | 0.7366mm / 7.90kg | 0.7366mm / 7.90kg | 0.7112mm / 7.36kg | 0.7112mm / 7.36kg | 0.7366mm / 7.63kg | 0.7366mm / 7.64kg |
2弦 | 0.8458mm / 5.84kg | 0.8458mm / 5.84kg | 0.8180mm / 5.46kg | 0.8180mm / 5.46kg | 0.8305mm / 5.63kg | 0.8305mm / 5.63kg |
3弦 | 1.0566mm / 5.74kg | 1.0566mm / 5.74k | 1.0236mm / 5.39kg | 1.0236mm / 5.39kg | 1.0414mm / 5.58kg | 1.0414mm / 5.58kg |
4弦 | 0.7620mm / 6.63kg | 0.7620mm / ?kg | 0.7100mm / 5.61kg | 0.7366mm / 5.61kg | 0.7366mm / 6.33kg | 0.7366mm / ?kg |
5弦 | 0.9144mm / 7.3kg | 0.9144mm / ?kg | 0.8890mm / 6.28kg | 0.8890mm / 6.28kg | 0.9144mm / 7.3kg | 0.9144mm / ?kg |
6弦 | 1.1938mm / 7.38kg | 1.1938mm / ?kg | 1.0922mm / 6.66kg | 1.1176mm / 6.66kg | 1.1684mm / 7.16kg | 1.1684mm / ?kg |
コーティング無しの弦と弾いた時の感覚は同じ
重要な点として、このXTシリーズで処理をした弦はコーティングがない弦と同じ感覚で弾けるそうです。
非常に薄くて軽いコーティングを施しているためプレイヤーにとっては変化を感じられないのだとか。
それでいて、切れづらく、音程の安定性が高まり、寿命が長くなっているという素晴らしい弦です。
プロアルテ(Pro Arte)の名前がついていない
このXTシリーズ、これまでのクラシックギター用弦と異なり、ダダリオのクラシックギター弦のブランドである「プロアルテ」の名前がついていません。
単に、
D’Addario XT Silver Plated Copper Classical Guitar Strings
という名前でありパッケージの写真もプロアルテシリーズとは異なるものになっています。
このXTシリーズはクラシックギター用というわけではなく、アコギ、エレキ、ベース、マンドリン、バンジョー用の弦がそれぞれラインナップされます。
型番の”XTC”の”C”がクラシックギターを示していて、たとえばアコギはXTAPBから始まる型番になっています。
これからはプロアルテというブランドではなく統一したD’addarioのブランドとして売っていくということなのでしょうか。
アメリカでは2019年9月3日から発売、日本では10/21発売で定価2,900円
このXTシリーズはダダリオの本国であるアメリカでは2019年9月3日から発売されます。
弦の販売サイトを見ると価格はEXPシリーズやダイナコアよりも高く、プロアルテカーボンシリーズと同等のようです。日本に入ってくる時にどうなるかはわかりませんが。。。
(追記) 日本では定価2,900円で10/21に発売だそうです。思ったよりも高くなかったです。
クラシックギターで最もお金がかかるのが低音弦です。ここがすぐにへたるので頻繁に交換しなくてはなりません。これが本当に4倍持ってくれれば多少高くなっても劇的にコストが下がりそうです。
プロアルテシリーズの音が好きな人はもちろん、ギターにかかるお金が気になる人も要注目の弦といえそうです。
(追記) 購入したので後日レビュー予定
まだ日本では発売のアナウンスがないようですが、海外の通販サイトで購入しました。
届いたらギターに張ってレビューします。
(追記): 到着したのでレビュー記事を書きました
海外からXTC45が届きました。思ったより早かったです。