ギターの低音弦は金属の巻弦になっており、表面がやすりのようにざらざらしています。このため、指を滑らせると耳障りなノイズが出る上に簡単に錆びてしまいます。MUSIC NOMADのMN109 String Fuelは塗るだけでこれらの問題を解決できるアイテムです。
クラシックギターのメンテナンスに関する記事は以下の記事にまとめてあります:
厄介なフィンガーノイズ
ギターを弾くうえで低音弦のフィンガーノイズは厄介なものです。
弦を指に乗せたままポジションを変えることはよくありますが、この時に「キー」とか「キュー」とかいう音が出てしまいます。
これは低音弦が巻弦になっているため、表面が凸凹しており、それと指の摩擦で音が出るためです。
このノイズはプロであっても避けられないものであり、弦メーカーは低音弦の表面を削り落とした”Polished”と呼ばれるモデルも販売しています:
しかしながら、手間が増えるためか値段が高いです。また、表面をならすことによって音も変化し、柔らかくなってしまいます。
指との摩擦で錆も促進され音が悪くなる
また、この問題は耳障りなノイズだけでなく、弦の寿命にも影響します。
摩擦が生まれるということは柔らかい指の表面が削り落とされるということです。
削り落とされた皮膚片や脂は巻線の間に挟まります。これ自体が弦の振動を妨げて音を悪くしますし、こういった異物は弦の錆を促進します。
毎回弾き終わるたびに弦をふくことが推奨されるのはこういった異物を取り除くためですが、この作業も案外面倒です。
MUSIC NOMAD MN109 STRING FUELで摩擦を低減
MUSIC NOMADから販売されているMN109 STRING FUELはこの弦と指の摩擦を低減するためのものです。
シリコン不使用のオイル
このMN109は一言でいうと弦の表面にオイルを塗布するためのものです。
オイルというと普通はシリコンを使用するのですが、このMN109は天然オイルと高品質鉱物油のハイブリッドを使用しています。
またスプレーで塗布する形式ではないので、塗装にそれほど気を使うことなく使用することができます。
こんな感じで蓋を開けるとスポンジがあります。このスポンジにオイルがしみこんでいます。
スポンジの横幅が指板の横幅に合わせてあり、一気に6つの弦に塗布できます。
オイルは補充できるようになっており、補充液も販売されています。
フィンガーノイズの低減とともに弾きやすさも向上
MN109を使うことでフィンガーノイズが大幅に低減されるとともに弾きやすさも向上します。
摩擦が大きいと指を動かすのに力がいり、ポジション移動を妨げます。MN109によって摩擦を低減すれば移動が簡単になるわけです。
弦のクリーニングにも
掃除をしているとわかると思いますが、脂汚れは布で拭いただけでは簡単に落ちません。
したがって、弾き終わった後に弦を布で拭くのは無駄ではないですが、完全に汚れを取り切れるとは言えません。
脂汚れはオイルによって溶かすことができますので、MN109を塗布する際に同時に油汚れも除去することができます。
MN109の中にはマイクロファイバー製の布も収納されています。MN109で拭いた後にこの布で弦の表面をふくことで、溶けた脂汚れを除去することができます。
指先の荒れを防ぐ効果も
指先が摩擦で削れるということは指先が荒れるということです。
特に乾燥する季節にはつらいですが、MN109を塗っておけば荒れを防ぐ効果も期待できます。
ノイズを防いで音楽の質を向上
フィンガーノイズ自体はギターにとって味ともいわれ、まったくないとそれはそれでだめなものかもしれません。
しかしながら、フィンガーノイズは一般的には耳障りといわれる音であり、できる限り小さくしたいものです。
また、錆が発生すると弦の寿命がどんどん短くなるのでこれも防ぎたいものです。
世の中にあるフィンガーノイズ低減のものはスプレータイプが多く、塗装に気を遣う必要のあるギターには使いづらいですが、このMN109なら手軽に使えそうです。
(追記)実際にString Fuelを購入してレビューしました