ギター弦には同じ種類の弦でもテンション(張力)の違う弦が一般にラインナップされています。そのなかには非常にテンションが高いものがあり、弾きこなすのに苦労するものも。この記事ではハイテンション弦のなかでも特にテンションが高い弦を紹介します。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています:
テンションの高い弦は弾くのが大変
一般的にテンションの高い弦は弾くのが大変です。
まず、左手で弦を押さえる力がテンションの低い弦よりもより必要となります。スラーもより大変になるでしょう。
右手に関しても、弦を弾くのに大きな力が必要となり、同じ曲を弾くのにより大きな労力が必要です。
さらに、無理して弾きすぎると腱鞘炎になる可能性もあるなど、さまざまなデメリットがあります。
私も腱鞘炎でばね指になりましたが大変でした。体験談や対策グッズについては以下の記事を参照ください。
テンションの高い弦は音量が大きい
それでも弦メーカー各社はテンションの高い弦をラインナップしています。
それどころか、最近発売される弦はテンションの低いモデルが存在するものが減り、ノーマルとハイだけをラインナップするものがほとんどです。
それは、近年クラシックギターに求められる重要な要素である、音量が大きいという特徴があるからでしょう。
テンションの低い弦よりもテンションの高い弦の方が最大音量が大きく、大きなステージでも音を遠くまで届けることができます。
また、音量面での強弱が付けやすくなることは、音楽表現の幅を拡げるのにも役立ちます。
テンションごとの弦の音の特徴については以下の記事を参照ください。
テンションが高い弦の方が鳴る楽器、鳴らせられる人もいる
また、ギターによってはテンションの高い弦の方が良く鳴ります。
どうもライトテンションやノーマルテンションで良い音が出ない、と感じている方は一度テンションが高い弦を試してみても良いかもしれません。
人によってもテンションとの相性があります。
弾いてみると案外ハイテンションの方が良かった、ということもあるかもしれません。
テンションが特に高いクラシックギター弦
私が知る限りで、テンションが特に高いクラシックギター弦を紹介します。
まずは各弦のおよび合計張力の表は以下です。標準的あるいは柔らかめといわれているプロアルテノーマルと比較してみてください。
(参考)プロアルテ ノーマル | ハナバッハ 赤 | オーガスチン パラゴン ブルー | プロアルテ エクストラハード | ラベラ 2001 エクストラハード | |
1弦 | 7.36 | 8.00 | 10.82 | 7.90 | 7.53 |
2弦 | 5.46 | 6.50 | 8.34 | 5.84 | 5.59 |
3弦 | 5.39 | 6.90 | 7.14 | 5.74 | 5.59 |
4弦 | 7.08 | 8.00 | 7.44 | 7.37 | 7.28 |
5弦 | 7.21 | 8.00 | 7.14 | 7.69 | 7.78 |
6弦 | 6.44 | 8.00 | 7.21 | 7.10 | 7.38 |
合計 | 38.93 | 45.40 | 48.09 | 41.64 | 41.16 |
ハナバッハ シルバースペシャル スーパーハイテンション
私の知る限り、昔からある弦のなかで最もテンションの高い弦が、ハナバッハ シルバースペシャル スーパーハイテンション(通称ハナバッハの赤)です。
その公式スペックの合計張力は45.4kgに達します。特に低音弦はいずれも8kgとかなりのテンションです。
さらに、ハナバッハ弦は一般的に公式スペックよりも実際の張力が高い傾向にあり、体感の張力はさらに強いでしょう。
私も以前使ったことがありますが、かなり手強い弦でした。
プロアマ問わず常用している人を見たことがなく、ハナバッハの赤を使っているといえば一目置かれる存在になるかもしれません。
ちなみにハナバッハはシルバースペシャル以外ではスーパーハイテンションをラインナップしていません。さすがにあまり売れなかったのでしょうか?
オーガスチン パラゴン ブルー
最近オーガスチンから発売されたカーボン弦のパラゴンもテンションが高いです。
特に1弦は10.82kgと驚異の10kg超えです。
ただ、昔ながらの低音弦であるブルーはそれほど高くなく、とにかく高音弦が強靱です。
合計張力も48kgを超え、私は結局この弦を弾きこなすのを諦めました(詳細は以下の記事を参照)。
高音:パラゴンブルー、低音:ハナバッハの赤なら50kg超え!
さらに、高音をパラゴンブルーに、低音をハナバッハにして合計張力を計算すると、50.29kgと50kgを超えます。
1弦 | 10.82 |
2弦 | 8.34 |
3弦 | 7.14 |
4弦 | 8.00 |
5弦 | 8.00 |
6弦 | 8.00 |
合計 | 50.29 |
これはエレキギター並の張力であり、さすがに楽器に悪影響が出るかもしれませんね。
とにかくテンションが高いのが良い!という方は試してみてください。
ただ、パラゴンはバラ弦で売っているところを見たことがありません。Strings by Mailですらセットのみなので、バラ弦はないのかもしれませんね。
プロアルテやラベラ2001のエクストラハードはそれほどでもない
ダダリオのプロアルテやラベラ2001にも「エクストラハード」という張力が高そうな弦があります。
しかしながらこれらの弦の合計張力は41kg程度と、確かに高くはありますが、ものすごく高いわけではありません。
これらを使っていてたいしたことないな、と思っている方はぜひ上で紹介している弦を試してみてください。
無理ない程度に試してみて
テンションの高い弦には独特の魅力があり、テンションの低い弦では得られない音を出すことができます。
ただ、やはり楽器と指の両方に負担がかかりますので、無理に使うことはおすすめしません。
大リーグボール養成ギブスのように練習に使って楽器や指を壊しては元も子もありません。
特に、ねじ伏せようとして力で弾くと故障の原因になりますので、「いなすような弾き方」を心がけてください。
プロも決してテンションの高い弦ばかり使っているわけではなく、テンションの低い弦を愛用している方もたくさんいます。
テンションの低い弦に関してはこちらの記事で紹介しています。
テンションの好みも音の好みも人それぞれですので、さまざまなテンションのものを無理のない範囲で一度は試してみてください。