私が初めて手工ギターといわれるものを買ったのがこの黒澤哲郎 Especialです。このギターでいろいろな経験をさせてもらい、いろいろと勉強させてもらいました。
セラック塗装の技術が素晴らしい黒澤哲郎
黒澤哲郎はクラシックギター製作界の重鎮、黒澤澄雄の息子です。私がこの楽器を買った当時は若手といわれていましたが、今では立派な中堅どころではないでしょうか?
若くしてスペインに修行に出ており、当時一緒に工房をやっていたテサーノスとペレスに製作を教わり、マリンの工房でセラック塗装を学んでいます。特にセラック塗装の技術には定評があります。
ちなみに、お名前は「てつろう」ではなく「てつお」と読むのが正しいようです。
安い価格なのに裏板がハカランダ
このEspecialモデル、当時は定価450,000円という価格にも関わらず裏板にはハカランダが使われていました。
真っ黒なハカランダで素晴らしいものでした。
現在ではマダガスカルローズウッドに変わっているようですが、長い間ギター製作をやってきた父親のおかげなのでしょうね。
今では評判とともに定価もどんどん上がっているようです。
低音の迫力にひかれて購入
このギターを買ったときは元々、低音の迫力にひかれて買いました。他の同価格帯のギターと比べて明らかにしっかりした低音が出ていました。
高音もいい音が出ていましたが、こちらは年を経るごとにどんどん良くなっていきました。表面板が待つということもあり音が出るまでに時間がかかるのでしょうね。
弦高が高く張りが強い
音に惹かれて買ったこのギターでしたが、とにかく弾きこなすのに苦労しました。
まず、弦高が非常に高く、おさえるのに一苦労です。かといって下げてしまうとこの音が変わってしまうと思うと下げられず。。。結局最後まで下げずに使いました。
また、張りが強く、量産品から買い替えた当時はぜんぜん音が出せませんでした。
それが、だんだんと弾きこなせるようになり、良いタッチを学ぶのにいいギターだったと思います。
ラベルが Tetsuo Kurosawaではなく、Sumio Kurosawa Hijo
私が持っていたこのギター、ラベルが珍しく、「Sumio Kurosawa Hijo」となっています。普通は「Tetsuo Kurosawa」となっています。
哲郎さんのお父さんである澄雄さんの息子(Hijo)という意味ですね。マリンとかフレタとかもこういう表記をすることがありますが、日本人は珍しい気がします。また、私の知る限り、ほかの黒澤哲郎作品でもこういうラベルは見たことがありません。
購入したショップの店主曰く、「お父さんが息子さんの楽器ばかり売れることに嫉妬してこういうラベルにさせた」とのことですが、本当でしょうか?