日本の住宅事情では好きなときに好きなだけクラシックギターを弾くのは難しいものです。夜中に弾く際は弱音器やサイレントギターを使っている方も多いのではないでしょうか。新しく日本で発売された「ナターシャスマートギター(Natasha Smart Guitar, NBSG)」はBluetoothやUSBでスマホと接続できるサイレントギターです。
サイレントギターを含めた夜間のギター演奏のコツについてはこちらの記事を参照ください:
竹製のサイレントギター
ナターシャスマートギターの外見上の特徴は、ボディが竹でできている点にあります。
サイレントギターというと価格を抑えるためにプラスチックを使ったり、あるいはあえて本物のギターと同じ素材を使ったりするものが多いですが、竹製というのはその中間といえるかもしれません。
一方で大手メーカーの木製と同等の価格で高機能となっているため、竹というのは良い選択肢なのかもしれません。
分解して手軽に持ち歩き/保管可能
ギターは決して小さいとも軽いともいえず、持ち歩きに困ることが良くありますが、このギターは簡単に分解できます:
重さも1.9kgと一般的なクラシックギターよりも少し重い程度であり、生ギターほどケースに気をつかわなくても良いことを考えると、持ち歩きの際はむしろ小さくかつ軽くなるのではないでしょうか。
ちなみに軽量なギグバッグが付属しているそうです。
ワイヤレスでアンプに接続可能
ときにはサイレントギターをアンプに接続して音を出したいときもあるかと思いますが、ナターシャスマートギターはワイヤレスでアンプに接続可能です。
公称値で50mまで接続可能とされています(最高音質の場合は20m):
本体とアンプの接続方式が明記されていませんが、付属品に「レシーバー(受信機)」というのがあるので、本体から専用規格の無線で伝送した音声をこのレシーバーで受け、アンプに供給するものと思われます。
また、本体だけでコンプレッション、リバーブ、コーラス、ディレイといったエフェクトをかけられますので、外部エフェクターいらずです。
PCやスマホとUSB接続で高音質録音
最近は自分の演奏をSNSにアップしている方が多くいらっしゃいますが、ナターシャスマートギターはUSBでPCやスマホと接続し、高音質に演奏を録音できます:
上の画像にあるとおり、iOS(iPhone/iPad), Android, Windows, Macに対応していますので、多くの方が利用可能でしょう。
Bluetoothでスマホと接続可能
「スマートギター」と名乗っているだけあり、このギターはBluetoothでスマホと接続できます。
これによりエフェクトの細かい調整など、本体だけではできない設定が可能になるようです。
ただ、たとえば自動チューニングなどの先進的と思われるような機能は見当たりません。
「スマート」を名乗るならもう少し頑張ってほしかった気もします。
ヤマハのサイレントギターと同等の価格
ナターシャスマートギターのライバルはヤマハのサイレントギターだと思われます。
そのクラシックギタータイプの最新型はSLG200NWであり、だいたい7万円前後で購入可能です:
ナターシャスマートギターの販売価格は本記事執筆時点では6万円台後半と、ほぼ同等か少し安い程度で購入できます。
ちなみにこのナターシャスマートギターは元々Kickstarterというクラウドファンディングで販売されていたのですが、そのときの最も安い価格が499ドルでした。
現在の円ドルレートを考えると、お買い得な価格といえるのではないでしょうか。
アコギ仕様しかないのが残念
ヤマハのサイレントギターにしてもナターシャスマートギターにしても、個人的にはカッタウェイ仕様しかないのが残念です。
ギター人口としてはクラシックギターよりもアコースティックギターの方が多いでしょうから、どうしてもそちらに寄せざるをえないのはわかります。
さらに、ヤマハのSLG200NWは指板幅が52mmと通常のクラシックギターサイズなのに対し、ナターシャスマートギターは指板幅が49mmなのも普段クラシックギターを弾いている方は違和感を覚えそうです。
単体で使用するならナターシャ、練習用ならヤマハがおすすめ
ナターシャスマートギターはスマホ連携機能など機能が豊富なのが魅力のサイレントギターです。
このギター単体で楽しむなら、アンプとの無線接続やスマホを使った設定機能など、ほかには無い機能を備えています。
家で弾くにしても外で弾くにしても便利な1本となるでしょう。
一方、クラシックギターを弾く方が練習用に購入するなら、指板幅が広いヤマハのほうがよいかもしれません。
材質もナターシャがボディ、指板、ネックが竹製なのに対し、ヤマハはマホガニー、黒檀、ローズウッド、メイプルとクラシックギターでよく使われる素材が使われており、違和感が少ないです。
ぜひ用途に合わせて選んでみてください。