大事なコンサートや発表会、演奏会などの本番で一番良い音を出すため、できれば新しい弦で演奏に臨みたいものです。しかしながら、交換したばかり弦は音が不安定であり、演奏しているうちに音程がさがってしまいます。また、高音弦は張ってから少し時間をおいた方が良い音が出ます。どのようなタイミングで弦を交換すべきか解説しましょう。
本サイトにおけるクラシックギター弦に関する評価やレビュー、コツや豆知識については以下のページにまとめてあります。
張りたての弦は音程が不安定
一般的にギターの弦は音程が不安定です。
弾いているうちにどんどん音程が下がっていき、曲を弾く前にチューニングしてもどんどん和音が濁ってきます。
これは、ギターの弦に使われている素材が引っ張られるとどんどん伸びていくためです。
クラシックギター弦の材料や構造については以下の記事が詳しいです:
弦が伸びると張力が弱くなり、張力が弱くなると音程が下がります。このため、交換したばかりの弦は頻繁に糸巻きを回して調弦する必要があるのです。
このため、良い音で演奏したいと思ってコンサートや発表会などの本番直前に弦を交換すると、演奏中に音が下がってしまい、不協和音を観客に聞かせることになるかもしれません。
高音弦/低音弦それぞれの弦の交換タイミング
それでは、本番のどれくらい前に弦を交換すべきなのでしょうか。
適切な交換時期は高音弦と低音弦でそれぞれ異なりますので、分けて解説します。
高音弦は1週間前がベスト
高音弦は本番の1週間前に交換するのがベストです。
音程の面だけでいえば本番の2,3日前でも良いのですが、私の経験上、高音弦はある程度伸びた方が良い音がでます。
張りたての頃は少しこもったような音がするのが、時間とともにだんだんとクリアな音になっていくのを経験された方も多いのではないでしょうか。
かといって時間がたちすぎると今度は弦の表面に爪などによる傷が入り、音が悪くなっていきますので、1週間前くらいがベストです。
低音弦は2,3日前
一方、低音弦は本番の2,3日前に交換するのがベストタイミングです。
低音弦に関しては交換したてが一番音が良く、時間とともにどんどん音の輝きが失われていきます。
このため、音程がある程度安定したタイミングで本番を迎えるのがベストといえるでしょう。
また、最近はサバレスのカンティーガ(カンティーガプレミアム)やプロアルテのダイナコアなど、安定が早いことをウリにした弦も多くあります。
そのようなものを使えば、本番の1,2日前の交換でもOKです。
弾けば弾くほど早く安定し、劣化する弦
ギターの弦は弾けば弾くほど伸びが早くなり、安定も早まります。
このため、1日前に交換したとしても、しっかりと弾き込めば安定した状態で本番に臨むことは可能です。
実際、プロのギタリストのなかには本番前に弦を交換する人もいるようです。
ただ、特に低音弦は弾けば弾くほど劣化が進むものでもあります。
人間も弾きすぎると疲れますので、演奏者も弦もバテバテの状態で本番とならないよう注意してください。
弦の音程をできるだけ早く安定させる方法については、以下の記事を参照ください。
弦の交換時期(寿命)はいつ頃?
古くなった弦は音が悪くなります。
本番前にはやはり交換したいところですが、具体的な交換の目安については以下の記事を参照ください。
低音弦の保存に注意
高音弦を先に交換し、後から低音弦を交換する場合、低音弦の保存方法には注意してください。
低音弦は金属製の巻き弦ですが、空気に触れると錆が生じ、音が劣化します。
特に安価な弦のなかには低音弦に錆を防止するコーティングがない上に高音弦とひとまとめでパッケージに入っていることが多く、高音弦を取り出すためにパッケージを開けると低音弦の錆が進み始めるかもしれません。
私はジップロックやクーラーボックスにシリカゲルと一緒に弦を入れて保存しています。
より万全を期すなら真空保存容器を利用すると良いでしょう。
本番では高級弦の使用もおすすめ
また、せっかくの本番には高級な弦を使ってみるのもおすすめです。高級弦には安い弦には出せない音があります。
こちらの記事で紹介していますので参考にしてください。
また、当サイトでは70種類以上の弦を実際に使用し、レビューしています。こちらのページにまとめてありますので是非ご覧ください。
最高の弦の状態で本番を迎えよう
せっかくの本番なのに弦の状態のせいで音がイマイチになるのは残念です。
ぜひベストなタイミングで弦を交換し、自分が持てる最高の音を出してください。