ヘルマン・ハウザー2世(Hermann Hauser II)

5.0
ハウザー2世 使用楽器
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ちょっと前にヘルマン・ハウザー3世のギター購入し、もうこれでギターを買い換えることはないと書きましたが、ものすごい早さで次のギターを買ってしまいました。しかも、憧れの楽器である「ハウザー2世」。ハウザー3世以上に分不相応なことはわかっていますが、このギターを買ってから本当にギターを弾くのが楽しくなりました。

購入までの経緯

きっかけはインターネットから

ハウザー3世を買ってもうこれ以上ギターを買う必要はないと思いながらも、クラシックギター好きの性からちょくちょくインターネット上で販売されているギターを探していました。

すると、ハウザー2世作の楽器を発見

ハウザー3世を買ってからこの系統の楽器の素晴らしさに目覚め、いつかはハウザー2世も弾いてみたいと思っていたところでした。

しかも、そのハウザー2世がある店はそれほど遠くなく、ちょうどその近くに行く予定があるという状態。

これはもしかして天の差配か?と思いながらとりあえず試奏予約をしてみた次第です。

思ったほど高くない、というか安い

こうしてまんまと試奏にでかけたわけですが、その店の近くに行く用事というのがまさに人前でギターを弾くという機会で、ハウザー3世を持っているという好都合に好都合が重なったような日でした。

現地について早速弾き比べ。ハウザー3世は素晴らしい楽器だと感じていましたが、ハウザー2世はそれとは異なる魅力を持っている楽器でした。

ギターの試奏は難しいですし、なかなか即決というのは難しいものですが、このハウザー2世はそれを吹き飛ばすほどのインパクトがあり、これはほしい!とすぐに思われるほどの逸品。これが名器か!と思いました。

でもお高いんでしょ?と思って値段を確認すると、思ったほど高くない。というか、ハウザー2世がこんな値段でいいんですか?という値段でさらにびっくり。

まんまと即断即決でお持ち帰りしてしまった次第です。

1967年製、弦長655mmのハウザー2世

私が購入したのは1967年製で弦長が655mmのハウザー2世です。

  • 表面板:スプルース(松)
  • 裏板、側面板:ハカランダ
  • 弦長:655mm
  • 塗装:ラッカー?

ハウザーにはセゴビアモデルやリョベートモデル、ブリームモデルといったモデルがありますが、このギターが何モデルなのかはわかりませんでした。

1967年製ということで購入した時点で還暦近い楽器です。しかしながら、それを感じさせないほどきれいな状態でした。

1967年というとセゴビアが使っていたMTスタンプのラミレスが有名ですが、まさにギターが大流行していた時期であり、良い時期の楽器だと思いたいです。

表面板のスプルースも裏板のハカランダも今では手に入らないような素晴らしいものでしょう。

還暦近いのに動きにまったく問題が無いライシェル。見てもらったら「楽器よりも長持ちしますよ」とのこと。最近は金色の糸巻きばかりですが、銀色なのが渋くて美しい。

最初の印象は良い音が出しづらいギター

このハウザー2世、ものすごく良い音が出せるのですが、当初は良い音を出すのが難しいギターでした。

音がびびったり詰まったりしやすく、左手はもちろん右手の使い方にも敏感に反応します。

また、そのせいか全体的に音が荒いとも感じました。

ハウザー2世やヴィンテージギターというのはこういうものなのかな、と思いながらしばらく使っていた次第です。

修理で印象が一変!

しかしながら、あまりにも良い音が出しづらく、特に1弦の12フレットはフレットギリギリを押さえないと音が詰まってしまうため、修理に出すことに。

すると12フレット1弦側を含め全部で6カ所のフレット浮きが起きていることが判明。

買ったときは状態が良いという触れ込みだったのですが…。

ともかく、この修理によってすべての印象が一変しました。

修理についてはこちらの記事を参照ください:

ハウザー3世とは異なるハウザー2世の音

ハウザー2世というと音が硬質でガチガチという人もいますが、私が購入したハウザー2世はそんな印象とはほど遠いです。

確かに透明感があって付帯音が少なくはあるのですが、透明なのに丸くて太い音が出ます

また、いわゆる「近くで聞くと音が大きい印象はない」というよくいわれるハウザーの特徴もなく、近くで聞いてもしっかりとなります。

もちろん音の分離のよさは抜群で、太い音なのに決して団子になりません。

…とここまで書いてきてハウザー3世のリョベートモデルで書いたのと同じようなことを書いていると気づきました。

確かに上で書いたような特徴はハウザー2世、3世で共通なのですが、音は決して同じではありません。

ハウザー2世には私の3世にはない爆発力があると感じます。

ハウザー3世の音は非常に美しく、ハウザー3世の記事でも書いたとおり静謐で、ある意味上品な音がします。

これに対してハウザー2世はしっかりとしたタッチで弾けば大きな音や荒い音も出せます。これまで弾いてきたダブルトップやラティスといった新世代のギターに決して引けを取りません。

かといって大味なギターというわけではなく、繊細なタッチで弾けば美しい音も出せる懐の広いギターといえます。

また、音の丸さに関しても、ハウザー3世に比べてより響きのある丸さだと感じました。なかなか表現が難しいです。

低音が重く遠くまで届く

このハウザー2世は特に低音が重くかつ遠くまで届くのが印象的です。

弾いているとちょっと出過ぎじゃないか?と思い位なのですが聞いているとそんなことはなくバランスがよいそう。

いわゆるピラミッド型のバランスがしっかり取れているのでしょうね。

低音がしっかり出ると地に足がついた演奏ができる気がします。

弾き手の成長を促してくれるギター

このハウザー2世は音質も音量も変化の幅が大きいため、弾き手の成長を促してくれると感じました。

弾き手の思いに対して期待の反応をするため、自分の腕の足りなさを思い知らされます。

下手な演奏をすると「おまえにはまだ私を弾く資格はないのだ!」といわれているかのようです。

このギターを弾きこなしているといえる日は来るのでしょうか。

管理には気をつかう

古い楽器だけに管理には気をつかいます。

温度や湿度がしっかり管理できるBAMケースに入れ、演奏する際も楽器を取り出す部屋の温度や湿度に気をつかいながらという感じです。

でもこれ、古い楽器だけじゃなく本来はすべての楽器にやるべきことなんですよね。

適当に扱っていい楽器なんてない、はずです。

資産価値にも期待したい

ハウザー2世は人気の高さに比べて市場に出回る本数が少なく、最近はギターショップで売られているのを見る機会が減りました。

また、売り出されても非常に高価で1千万円以上することもあります。いつの間にやらブーシェと同じような価格帯になりました。

私のハウザー2世は新品同様というわけではないのでまだそこまで高くはないでしょうが、今後さらに価値が上がっていくと期待したいです。

というか、ハウザー2世は持っていれば資産になると自分や家族に言い訳して買ったところもあります。

私が加齢でギターを弾けなくなるころには1千万円とか超えているといいなぁと思うのですが。

もちろんそれまでにしっかりと引き倒したいと思います。

さすがにこれ以上の楽器は買いません。いや、買わないと思う。…買わないよね?

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