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日本だけでなく世界的に有名かつ人気が高いヘルマン・ハウザーのギターは、数多くの製作家が「ハウザーモデル」と呼ばれるモデルを製作するなど、今なおクラシックギターの世界で大きな影響を与えています。そんなヘルマン・ハウザー工房は実はギターだけでなくクラシックギター用の弦も販売しているのをご存じでしょうか?ヘルマン・ハウザー弦をヘルマン・ハウザー工房から直接購入してみましたので、その方法を解説します。
ヘルマン・ハウザーのギターやハウザーモデルと相性がよいヘルマン・ハウザー弦
ヘルマン・ハウザー弦は、ヘルマン・ハウザー工房が販売するクラシックギター用の弦です。
高音弦はナイロン、低音弦の芯線もナイロンという、仕様上は特に変わったところがない弦ですが、ほかの弦にはない強烈な個性を持っています。
私のヘルマン・ハウザーIII製のギターに張ってみたところ、非常に相性がよいと感じました:
おそらく「ハウザーモデル」と呼ばれるギターとの相性もよいことでしょう。
日本だけでなく海外でも手に入りづらいヘルマン・ハウザー弦
このヘルマン・ハウザー弦、日本はおろか世界でもあまり知られていません。
その理由が入手性の低さ。日本ではクロサワ楽器が取り扱っていますが、海外ではStrings by Mailをはじめ、取り扱っているネットショップがほとんどありません。
クロサワ楽器も在庫が不安定かつバラ弦がないため、せっかくよい弦なのに常用しづらいと感じていました。
ヘルマン・ハウザー工房にヘルマン・ハウザー弦を注文
それならヘルマン・ハウザー工房に直接注文してみたらどうだろう?と考えて直接コンタクトしてみたところ、快く販売してくれましたので、その方法を解説したいと思います。
ハウザー工房のギターを持っていなくても注文可能
最初に疑問だったのは、そもそも工房が直接弦を売ってくれるのか、そしてハウザー工房のギターを持っていなくても大丈夫なのか?という点です。
結論からいえばどちらも杞憂でした。誰でも注文可能ですし、もちろん日本に発送してくれます。
また、メールでのやりとりで注文可能であり、ドイツ語ではなく英語で注文可能です。
ちなみにメールのやりとりは工房の4代目であるカトリン・ハウザーが担当してくれます。
世界的に有名な製作家と直接やりとりできるチャンスです。
価格はちょっと高い弦程度、バラ弦での注文も可能
気になる価格ですが思ったほど高くなく、ちょっと高い弦程度でした。
弦の種類 | 価格(ユーロ) | 価格(1ユーロ=140円での円換算) |
セット弦 | 15.55ユーロ | 2,177円 |
1弦 | 2.19ユーロ | 307円 |
2弦 | 2.34ユーロ | 328円 |
3弦 | 2.52ユーロ | 353円 |
4弦 | 2.71ユーロ | 379円 |
5弦 | 2.84ユーロ | 398円 |
6弦 | 2.96ユーロ | 414円 |
面白いのが、高音弦と低音弦の価格差が小さいという点です。
たとえばサバレスのニュークリスタルカンティーガの場合、高音弦3本:低音弦3本=913円:1,782円と倍近く違うのですが、ハウザー弦の場合は低音弦の合計は1,191円と、987円:1,191円とあまり変わりません。
このため、一般的な弦以上に「高音弦を替えずに低音弦だけ替える」という戦略でコストを抑えられそうです。
送料は重さで決まる
気になるドイツから日本への送料は、重さで決まります。
重さ | 送料(ユーロ) | 送料(1ユーロ=140円での円換算) |
2kgまで | 10.99ユーロ | 1,539円 |
5kgまで | 45.99ユーロ | 6,439円 |
2kgを超えると送料が跳ね上がるため、できれば2kg以内に納めるとよいでしょう。
ちなみに手持ちのヘルマン・ハウザー弦を計測したところ、1セットあたり33gでした。
単純計算で60セットまでは2kgで送れることになります。実際には箱やラベルなどの重さもあるため、注文時に2kg以内にしたい旨を伝えたほうが安全です。
海外送金手数料に注意
ヘルマン・ハウザー工房への注文で一番悩んだのがここです。
ヘルマン・ハウザー工房は大々的にネットショップを開いているわけではないので、支払いは銀行への振り込みしか受け付けていません。
日本からは海外送金(wire transfer)が必要になります。
この海外送金、銀行口座からおこなうと高額の手数料が必要になる可能性がある点に注意が必要です。
たとえばUFJの場合、インターネットバンキングからおこなっても3,000円かかります(出典:外国送金 | 三菱UFJ銀行 (mufg.jp)。
さらに為替レートも悪い条件で設定されているため、手数料だけでかなり損をしそうだと感じました。
そこで私は海外送金手数料が格安の「wise」というサービスを利用しました:
仕組みとしては、日本のwiseの口座へ円で振り込むとwiseがそれを外貨にして海外の銀行口座に振り込んでくれるというものです。
振込手数料が非常に安く、私がヘルマン・ハウザー工房に送金した際はわずか140円しかかかりませんでした:
外貨への交換の為替レートも悪くありません。あまり聞かないサービスでしたが、まったく問題なく使えました。
なお、お金を扱うサービスであることから、登録になんやかんやと本人確認が必要になりますが、すべてスマホで完結します。
ヘルマン・ハウザー工房にヘルマン・ハウザー弦を注文してみよう
それでは実際にヘルマン・ハウザー工房にヘルマン・ハウザー弦を注文する手順を解説します。
ヘルマン・ハウザー工房に注文のメールを出す
まずはヘルマン・ハウザー工房に弦を注文する旨のメールを出します。
ヘルマンハウザー工房のメールアドレスは、
hauser.hermann@t-online.de
です。
メールはこんな感じでOKです:
タイトル:The order of the Hermann Hauser strings
本文:
Dear Hermann Hauser III and Kathrin Hauser,
I’d like to order the Hermann Hauser strings. Could you prepare the invoice for me?
Strings to order:
+ Normal Tension Set x 4
+ Normal Tension 4th string x 8
+ Normal Tension 5th string x 4
+ Normal Tension 6th string x 4
Shipping Information:
Address: 1-1-2 Oshiage, Apt. #201
State: Tokyo-to
City: Sumida-ku
Country: Japan
Zip Code: 131-0045
Name: Ichiro Suzuki
For saving the shipping charges, I would like to make the weight of the package under 2kg. Could you let me know if my order exceeds it?
—
Best regards,
Ichiro Suzuki
上の英文から、注文する弦、送付先住所、名前を自分のものに書き換えてください。
英語での住所の書き方についてはこちらの記事で詳しく解説しています:
請求書(invoice)を見ながら代金を海外送金
メールが無事に届くとKathrin Hauserから請求書(invoice)が届きます:
まずは左上にある住所と名前を確認しましょう。そして、注文内容があっているかも確認します。
問題なければ「export price」に書かれているのが代金ですので、これを海外送金します。
送金先の口座情報は下に書かれている「IBAN」または「BIC」なのでここに送金しましょう。ちなみにIBANとBICは形式が違うだけで、同じ口座を指しています。
上で紹介したwiseの場合はIBANで送金可能でした。
5日ほどで到着
送金が完了すると発送がおこなわれ、私の場合は5日ほどで到着しました。
ハウザー工房のロゴ入りの紙に包まれていて地味にうれしいです。
ちなみに荷物がどこにあるか日本郵便のサイトから確認可能ですが、私の場合はその情報が更新される前に届いたので役に立ちませんでした…。
海外送金の問題さえクリアできれば簡単
今回注文して思ったのは、ヘルマン・ハウザー弦の注文は海外送金の問題さえクリアできれば簡単だということです。
海外送金も手数料さえケチらなければ銀行でできますし、wiseでもアプリをダウンロードして指示に従っておこなえば難しくありません。
英語で注文するのは不安がある、という方はクロサワ楽器の在庫を注文するのもよいでしょう:
1,2セット注文するだけなら日本で買ったほうが割安です。
ただ、ヘルマン・ハウザー工房にはバラ弦がありますし、常用するなら直接注文するほうが安くつきます。
ヘルマン・ハウザー弦を安く使いたい方はもちろん、ハウザー工房とやりとりをしてみたいという方もぜひ挑戦してみてください。