クラシックギターは座って弾くのが当たり前とされていますが、実は立ったまま弾く「立奏」が可能になるアイテムが販売されています。クラシックギターを立ったまま弾くメリットと、それを可能にするストラップをご紹介しましょう。
クラシックギターを立って弾くメリット
まずはクラシックギターを立った状態で弾くメリットを解説します。
音楽を身体全体で表現できる
立ったまま演奏することで身体を自由に使えるようになり、音楽を身体全体で表現できるようになります。
音楽は決して音だけで楽しむものではありません。演奏者の動きや表情も音楽表現の1つです。
その意味で、身体が自由に動けばより表現をダイナミックにおこなえ、聴いている方々に訴えかけるような演奏ができるでしょう。
音を遠くに飛ばせる
ギターから放たれた音はまっすぐに飛ぶのではなく、徐々に広がりながら飛んでいきます。
座って弾いていると早く床に当たって反射してしまいますが、立って弾くことでより遠くまで音楽を届けることが可能です。
右腕が自由になる
クラシックギターを演奏する際、ギターが動かないよう右腕で押さえつける必要があります。
押さえつけるというと言い過ぎですが、右腕をギターの上に置く必要があるのは確かで、これにより自由度が失われます。
立って弾くスタイルの場合は首からギターを提げることになるため、右腕で押さえつける必要がありません。
これにより右腕が自由になり、右手で弦を弾く表現がより多彩になるでしょう。
腰に優しい
人間は座りっぱなしの状態だと腰に負担がかかります。
特にクラシックギターを足台を使って弾く場合は腰をひねった状態で長時間固定することになりますので、かなり負担が大きいです。
私も腰痛やぎっくり腰になり、いろいろと工夫しながらギターを弾いています:
立って弾くほうが腰には優しいので、腰痛持ちの方は常用せずとも併用すれば負担が分散されるかもしれません。
普通のストラップはクラシックギターに使えない
アコースティックギターやエレキギターは立って弾くことを想定して設計されています。
それがギターのお尻についたエンドピンの存在です。
エンドピンにストラップを取り付ければ簡単に立って弾けます。
一方、クラシックギターは様式美の関係からか、本格的なギターのうちエンドピンを標準で持つものはほとんどありません。
このため、クラシックギターを立ったまま弾くには専用のストラップが必要となります。
クラシックギターを立ったまま弾くためのストラップ
それでは、クラシックギターを立ったまま弾くためのストラップを具体的にご紹介します。調べてみると思っていたよりたくさんあってびっくりしました。
PICKBOY クラシックギターストラップ(SP-80CG/BL)
おそらく最も安く手軽に買えるメーカー製のストラップが、PICKBOYのクラシックギターストラップ(SP-80CG/BL)です。
構造としては単純で、ギターのサウンドホールにフックを引っかけて利用します:
激しい動きをすると外れそうなので注意したほうがよさそうです。
また、サウンドホールにフックを引っかけるというのが、楽器にとって安全かどうかもちょっと気になります。
ダダリオ 20T01CL
クラシックギター弾きにとってプロアルテで有名なダダリオもクラシックギターを立って弾くためのストラップを販売しています:
基本的な構造はPICKBOYと同じで、フックをギターに引っかけて使用します。
PICKBOYよりも値段は高いですが、その分全体的に作りがしっかりしてそうです。
ORTEGA OGSHK
ギター用のアクセサリを多数扱うORTEGAもクラシックギター用のストラップを販売しています。
やはりフックで引っかけるタイプのストラップです。
Luthier LU-STRAP 02
フックを1つだけでなく2つ持ち、上下からギターを支えるのがLuthier LU-STRAP 02です。
下側だけから支えるよりも高い安定度が期待できます。
こちらの記事も参照ください:
ちなみに”02″というだけあって、LU-STRAP 01に相当する従来バージョンもあります:
Right On! CLASSICAL Series CLASSICAL DUAL HOOK
Right On!のストラップも上下から支えるタイプです。
色が黒と茶色の2色あるので好みにあわせて選べます。
Craftroom strap for classic(gut) guitar
サウンドホールに引っかけるのではなく、抱っこひものように支えるのがCraftroomのストラップです。
サウンドホールにフックを引っかけるよりギターに優しそうです。
ギター演奏者が自ら考案したオリジナル商品だそうで、プロのギタリストも利用しています。
Amazonなどでは販売されておらず、専用サイトから購入が必要です。
ノーブランドの激安ストラップ
ノーブランドの激安ストラップもあります:
とりあえず試してみたい方にはこれがよいかもしれません。
クラシックギターを立ったまま弾く時代が来る、のか?
クラシックギターは座ったまま弾くのが当たり前と考えている方々も、意外とストラップの種類がたくさんあって驚いたのではないでしょうか。
現在は教則本に立ったまま弾くための方法が書かれておらず、立ったままならではの奏法が確立されていない状態です。
我こそは、という方は立奏スタイルの先駆者を目指してみてもよいかもしれません。