ギターと同じく、ピアノも木をつかった楽器です。イギリスの製作家であるジェイク・フラーはピアノの木材を再利用したギターを製作しています。ピアノとして長年弾かれた木材であれば、良い音が出そうです。
妻の100年前のピアノを再利用したのがきっかけ
フラーがピアノの木材を使ったギターを製作し始めたきっかけは、妻のピアノが調律できなくなったことだそうです。
このピアノは100年前のイタリア製で、フラーがこのピアノを解体し始めたところ、
- スプルース
- チューリップウッド
- パイン
といったギターでもなじみ深い材料が使われているのを発見しました。
これを使えばギターが作れるのでは?と思い自分のためのギターを作ったそうです。
その結果、この材料を再利用することが環境にも優しく、かつ精神的にも満足できるものであったため、古いピアノの木材を利用したギターの製作を続けることにしました。
杉(シダー)製のピアノを使ったギターを製作中
フラーは現在、2本目のピアノを再利用したギターを製作しています。
このギターは1950年代の木材を使用しており、かつ珍しいことに響板がスプルース(松)ではなくシダー(杉)なのだとか。
ピアノは普通スプルースを使うので、大変珍しいです。
スプルースやシダーなどのギターの表面板についてはこちらの記事を参照ください:
そのほかにピアノに使われていたチューリップウッドなどを使い、このギターは作られています。
このギターはGSIがオーダーしており、製作の様子がGSIのブログにアップされています。
ところで、製作過程の写真の1枚に、日本語の「バッハ名曲選集」が置いてある(写真左上)のが興味深いです。
たぶんこれかと:
古いピアノから作られたギターは響きがよさそう?
現在では伐採が禁止されているハカランダを手に入れるのに、家具や建物に使われていたものを利用する話は聞いたことがありますが、ピアノの木材を再利用するというのは初めて聞きました。
しっかりと弾き込まれたピアノであれば最初から良い音が鳴りそうですし、ギターとして弾き込むのとはまた違った音になっていそうです。
ギターの弾き込み(エイジング)についてはこちらの記事を参照ください:
ギターに使われる木材は資源の枯渇が危険視されており、裏板や側面板に持続性のある木材を使ったり、柔らかい木を硬く加工してギターに使う試みがなされたりしています。
表面板に使われるスプルースやシダーも昔に比べると良質なものが減っており、ダブルトップなどの技術はそれを補うためのものといえるかもしれません。
今後も木材資源の状況が急速に改善されることはないでしょうから、ピアノの木材を再利用するというのは色々な面で良いことといえるのではないでしょうか。