クラシックギターの低音弦の構造と種類

初心者向け
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クラシックギターの低音弦はどれも銀色で同じ見た目をしているように見えます。しかし、実は各社様々な工夫をしているんです。そんな低音弦について紹介したいと思います。

細い繊維を束ね、金属線で巻いた構造

クラシックギターの低音弦はこんな感じの構造になっています:

POLISHED FOR A SMOOTH FINISH.
D’addarioのHPより

まず中心には芯線として一般的にナイロンなどが使われます。高音弦とおなじ材料ではありますが、太い一本の繊維ではなく細い繊維を大量に束ねた構造になっています。

そして、この繊維を金属線で巻きます。金属線は一般的に銀を含んだメッキを施されており、このためにいわゆるクラシックギターの巻弦の見た目になるわけです。

音色と比重を重くするために巻弦になっている

なぜ高音弦は一本のナイロンなのに低音弦は巻弦になっているのでしょうか。

理由は、まず、あまりにも太いナイロン弦にするとこもったような音になってしまうためです。

すでに3弦の太さでこもったような音になっているのは感じているかと思いますが、4,5,6弦となるにつれさらに太くする必要があります。

太さを抑えるには弦の比重を高める必要があり、ナイロンよりも重い金属を使います。ただし、すべて金属にしてしまうと今度は高音弦と低音弦で音色が全然違うものになるのでナイロンを使っているわけです。

巻き方は大きく分けて2種類

この金属線の巻き方は2種類あります。1つ目は断面の丸い金属線を巻くラウンドワウンドと呼ばれる巻き方です。クラシックギターの低音弦はほとんどがこれです。

2つ目は長くて細いきしめん状の金属線を巻くフラットワウンドと呼ばれる巻き方です。上のD’addarioのHPからの写真はこちらになります。

一般的にはラウンドワウンドの方が立ち上がりがよく、明るく、伸びが良いといわれています。フラットワウンドは音の立ち上がりがスムーズで、丸い音が出るといわれています。また、表面が滑らかになるので指のノイズが少なく、長持ちするといわれています。

私の知る限りクラシックギターの弦はほとんどがラウンドワウンドです。ラベラの900シリーズがフラットワウンドだそうですが、そのほかは見たことがありません。

アコギやエレキではフラットワウンドも使われており、ビートルズもフラットワウンドを使っていたそうです。

なぜすべて銀色の見た目なのか?

すべて、というわけではありませんが、ほとんどのクラシックギターの低音弦は同じような見た目をしています。

1つ目の理由は錆の防止です。巻弦の素材には一般的には銅が使われます。銅はそのままでは錆びやすいのですが、錆びると音が劣化しますし人体に有害な物質なので、さびにくい金属でメッキします。

また、フレットに使われる洋銀との硬度の違いを吸収する目的もあります。フレットと弦は頻繁に触れ合うわけですが、どちらかがあまりにも硬いと、もう一方がどんどん削られていってしまいます。この2つの硬度をあわせることでどちらも長持ちするようにする必要があります。

銀色以外の見た目の弦もある

すべての弦の見た目が銀色というわけではなく、そのほかの色もあります。

最もメジャーなのは金色の見た目の弦です。たとえばオーガスチンのゴールドがこれに該当します。

これはブラス(真鍮)・ゴールドメッキとなっており、金色の見た目になります。一般的には力強い低音になりますが伸びのない音になるといわれています。

また、金属メッキではなく樹脂コーティングをしている弦もあります。アクイーラのシュガーという弦です:

メッキはコストがかかるうえに廃液が環境への影響が大きいので、必ずしもいい手段ではないですが、伝統的なクラシックギターの音を出すためにはしょうがない面もあります。

コーティングで長持ちさせている弦も

クラシックギターの弦は高音弦よりも低音弦の方が持ちが悪いです。このため、弦メーカー各社いろいろ工夫して寿命を延ばしています。

寿命については以下の記事を参照ください:

一般的なのはコーティングです。巻線にコーティングをしている弦はいろいろあり、ダダリオ プロアルテのEXPとXTがこれにあたります。

他に、実はハナバッハのシルバースペシャル 815がコーティングされているという話もあります。日本のホームページにもハナバッハ本家の英語のページにもないのですが、ドイツ語のページを英訳すると”Bass: Silver-Special coated, wound”となっています。実は公表していないだけでコーティングしているメーカーはほかにもあるのかもしれません。

また、芯線にコーティングをしているのは日本の弦メーカーのフィガロです。

低音弦の選び方

高音弦と違って低音弦は4,5,6弦で同じメーカーの同じ製品を使うことが多いです。これはメーカーや製品ごとに音の違いが大きく、混在させると違和感があるからだと思われます。

巷で弦の音の特徴といわれているのはほぼ低音弦の特徴といっても過言ではありません。高音弦は低音弦ほどメーカーや製品ごとの違いはないです。

まだいろいろな弦を試したことがない方はこちらの記事を参考にメジャーなところを試してみてください:

弦選びは楽器や奏者との相性があるのでなかなか難しいですが、弦を変えると新たな発見があって面白いです。

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