ギターの演奏時には足台や支持具を使ってギターの角度を調整するのが一般的です。支持具には角度や高さを細かく調整できるものが多いのに、なぜか足台は3段階〜5段階程度しか調整できないものばかりなのを不思議に感じたことはないでしょうか?この状況を打破する足台としてOHASHIのFT-3/FT-5が存在しています。実際にFT-3を購入しましたのでレビューをお届けしましょう。
当ブログのクラシックギター用の足台や支持具の記事は以下のまとめ記事を参照ください:
一般的に細かな調整が難しい足台
クラシックギターを始めるにあたり、必須アイテムの1つが足台です。
一般的には左足の下に足台を置き、ヘッドを高く上げて演奏します。
この足台、必須アイテムの割に調整の余地が少ないのを疑問に感じたことはないでしょうか?
多くの足台がこちらの写真のように3段階〜5段階程度にしか高さが調節できず、かつ1段上げ下げすると高さが大きく変わります:
高さが合わない足台を使うとギターが弾きづらかったり、身体のひねりが大きくなって腰痛の原因になったりします。
この結果、足台をやめて支持具を使うようにしたという方も少なくないでしょう。
私もぎっくり腰をやったことがあるほどギターで腰を痛めており、これまでは支持具を使ってきました。
ただ、足台には取り扱いが楽で、ギターの音への影響が少ないという利点があります。
先日ギターを買い換えことをきっかけに足台をもう一度使ってみようと決意しました。
画期的な機構で高さの無段階調節が可能な「OHASHI FT-3/FT-5」
そんななか見つけたのが、高さの無段階調節ができるという「OHASHI FT-3/FT-5」です。
高品質な足台を作るOHASHI
OHASHI(オオハシ)といえばFT-2Aという高品質な足台で有名です。
少々お値段は張るのですが、それだけに作りが良いのが特徴です(詳細は後述)。
クラシックギターを扱っている店ならほぼ確実にこの足台は販売しているのではないでしょうか。
高さの無段階調整ができるFT-3/FT-5
そんなOHASHIが製造している足台のなかで注目したのが、FT-3およびFT-5です。
これらの足台、なんと高さの無段階調節が可能だといいます。
つまりピアノ椅子のように細かく高さができるということであり、自分の好みにピッタリあった高さでギターを弾けるということです。
これは弾きやすさ向上と腰痛軽減の両立ができるのでは?とFT-3を購入しました。
ちなみにFT-3とFT-5の違いは素材で、FT-3がスチール製、FT-5がアルミ製となっています。このためFT-3は850gと自宅用、FT-5は500gと携帯用に位置づけられているようです。
また、アルミのほうが柔らかいためかFT-5のほうが全体的に少し大柄に設計されています。
OHASHI FT-3をレビュー
それでは実際に購入したFT-3をレビューしていきます。
足を引っかける部分がスライドして無段階調整!
このFT-3、上から見ると普通の足台と何ら変わりません。
秘密は裏側にあります。
この見慣れない銀色のパーツこそが無段階調整の秘密です。
この銀色のパーツを回転させると脚部を引っかける部分自体が少しずつスライドし、それによって高さが無段階調整できます。
実際にスライドさせた動画がこちらです:
ご覧のとおり本当に少しずつこのパーツがスライドするので、高さをかんたんに微調整できます。
通常の足台は脚部を引っかける部分が固定されており、そのために高さの調整幅が粗いのですが、その部分自体を細かくスライドさせるという機構はなるほど!と膝を打ちました。
このスライド機構に加えて脚部を引っかける部分が3カ所あることから、高さは110mm〜215mmまで無段階調整可能です(FT-5の場合は115mm〜240mm)。
作りが良く安定性が高くて弾きやすい
足台メーカーとして定評のあるOHASHIだけに作りのよさは抜群です。
スライド機構を追加したにもかかわらず、FT-2A同様非常に安定性を誇っています。
細かいところにもこだわっており、たとえば普通の足台(手前)の脚部を引っかける部分はこのように適当に溝が作られているだけなのに対し、FT-3(奥)の溝は曲線を描いており簡単には外れないようになっています:
さらに脚部自体の設計も精密で、普通の足台(手前)は脚部がぶらぶらなのに対し、FT-3は以下の写真のように中空に浮かせた状態で固定できるほどかっちりと作られています:
それでいて動作はスムーズで、一切がたつきはありません。
通常の足台の場合、使用中や移動させた際に突然足が外れることありますが、FT-3の場合はこれらの特徴からほぼ起こりえないでしょう。
足を乗せた際の時に感じる安定感も半端ありません。普通の足台の場合、多かれ少なかれ足を乗せるとたわみ、体重をかける場所が横にずれるときしんだりするものですが、FT-3はまるで地面に足を置いているかのように安定しています。
このため普通の足台よりもギターが弾きやすいと感じました。
腰にも優しい
これらの特徴からFT-3でギターを弾くと足台にもかかわらず腰への負担が少ないです。
高さの無段階調整はもちろん、安定感の高さも腰痛軽減に寄与していると感じました。
足台はいわばギターと身体を支える土台であり、ここがしっかりしていないと身体でたわみやずれを受け止めなくてはなりません。それが結果的に腰への負担につながるのだと思います。
安定性の高い足台を使うと身体やギターの重みを安心して預けられるため、ギターの弾きやすさ向上とともに腰への負担軽減につながるのだと思います。
かなりの重量感
FT-3の重さは850gであり、これはFT-2Aの670gよりも重いです。
無段階調整機構追加のためにこの差が出ているのでしょう。
実際に持ってみるとかなりの重量感であり、正直外に持ち出す気にはなれません。
しかしながらギターは自宅で弾くことが多いでしょうから、その際に快適に弾けるという意味ではこの重さでも問題ないかと思います。
外出先でも無段階調整が使いたい方にはアルミ製で軽いFT-5がおすすめです:
お値段が高いのだけが欠点だけどそれに見合う価値あり
このFT-3とFT-5、特殊機構が入っているだけにお値段は高めです。
定価はFT-3が6,600円(税込)、FT-5が8,680円(税込)と支持具なみの値段になっています。実売価格ではそれぞれ5,000円/7,000円程度でした。
ただ、この機構によって得られる恩恵は支持具に近いものがあり、OHASHIの作りのよさも相まって、個人的には必ずしも高すぎるとは感じません。
音への悪影響のために支持具は使いたくない、でも腰への負担は減らしたいという方はぜひ検討してみてください。