ふと耳にした音楽を気に入り、演奏したいと思ったけど楽譜がないということはよくあるかと思います。また、音楽業界の現場では、音楽を楽譜にするのに熟練した専門家が長い時間をかけて作業を行っているそうです。京都大学が開発したAIは、音楽を自動で「耳コピ」して楽譜を作ってくれる優れものです。
長い時間がかかる音楽の楽譜化
ギターやピアノといった楽器を演奏するために必要な楽譜は、人の手によって書き起こされています。
この作業には熟練した専門家が長い時間をかけて行う必要があるのが課題でした。
このため、コンピューターで自動的に「耳コピ」して採譜しようというプロジェクトは数多く存在しているのですが、ピアノ演奏のような複数の音が重なった音楽では、ピッチとリズムの複雑な組み合わせを認識する必要があり、自動的に採譜することは難しい課題であったそうです。
AIを使って自動で採譜
これに対して京都大学は、AIを使って自動で採譜する技術を開発しました。
このAIは、音声のなかでどの高さの音が鳴っているのかを推定する「多重音高検出」と、各音符の発音時刻と音の長さを一泊の時間単位で認識する「リズム量子化」によって作られています。
さらに、音符同士の関係性の統計データを使うことで、「耳コピ」の制度を改善したそうです。
村治佳織が演奏する「花は咲く」の採譜例が公開
このAIを使って実際に採譜を行った事例がプロジェクトページで公開されています。
そのなかには、村治佳織がクラシックギターで演奏する「花は咲く」をAIで「耳コピ」した例も紹介されています。
おそらく佐藤弘和の編曲によるものだと思うのですが、譜面をお持ちの方は見比べてみると面白いかもしれません。
私が見た限りでは、音がオクターブで間違っているところが多々あり、クラシックギターとしてはまだまだ実用的でないのかな、と思いました。
そもそもこのプロジェクトの対象がピアノのようなので、クラシックギター向けの最適化が行われればまた違うのかもしれません。
著作権に対する危惧も
ただし、このようなAIが一般的に使えるようになると、プロの演奏からかんたんに楽譜が作れるようになり、著作権の問題が出てくる可能性があります。
実際、研究チームも、「自動採譜技術は音楽の盗用も容易にするため、著作権法の整備も進めていく必要がある」とコメントしています。
ただ、このような技術が普及することで、今までよりもより多くの楽譜が手に入るようになる可能性はあります。期待したいです。