ギタリストにとって足台や支持具は演奏に必須のものです。しかしながら、支持具は多種多様なものがある一方、足台は画一的で製品間の差がないと感じていました。「Tadpole(タドポール) FS-1」はそんな認識を覆す、ある意味変態的な仕様の高級足台です。
クラシックギター用の足台や支持具の記事は以下のまとめ記事を参照ください:
とがった特徴がないギター用の足台
ギタリスト、特にクラシックギターを弾く方にとって足台や支持具は演奏に欠かせないものです。
そのなかでも足台はデファクトといえる存在であり、多くの方々が使っています。
ところが、支持具は多種多様なものが出ている一方、足台はどれも似たようなものばかりです。
これまで一番とがっていると感じたのは、こちらの高さの無段階調節ができる足台でした:
ただ、やはりこれまでの足台の範疇から出ているとはいえず、どうも保守的な印象が拭えません。
ギターが買えるほど高級な「Tadpole FS-1」
そんな思い込みを覆すほどのインパクトを持っているのが、「Tadpole(タドポール) FS-1」。
見た目からしてただものではない感じですが、その特徴を解説します。
ちなみにTadpole(タドポール)は英語でおたまじゃくしを意味します。音符をオタマジャクシと呼ぶことや、黒くて丸い見た目からこの名前をつけたのでしょう。
ボールジョイントとクイックレバーで調節
Tadpole FS-1の最大の特徴は、各種調節がボールジョイントとクイックレバーによっておこなわれる点にあります:
ボールジョイントは写真左側に移っている丸い部分で、身近なところではたとえばスマホやカメラの三脚に使われているのを見たことがあるかもしれません。
通常の足台は単に円筒形のパーツで接続されていますが、FS-1は球形のパーツで接続されているため、あらゆる方向に傾けられます。
2カ所のボールジョイントがそれぞれ動くため、高さの無段階調節が可能。それぞれの方の最適な高さでギターを演奏できます。
また、ボールジョイントの固定がクイックレバーでおこなわれる仕様であり、レバーを上げ下げするだけで固定/解放が可能です。
高さや前後の角度だけでなく、左右の傾きも調整可能
ボールジョイントによって実現できる画期的かつある意味変態的な機能が、左右の傾き調節です:
出典:Tadpole(タドポール)FS1のご紹介 (fujiidesign.info)
これまでにも前後方向の角度が調節できる足台はありましたが、左右方向の傾きが調節できるのは見たことがありません。
通常の足台の場合、左右方向の傾きは水平ですので身体の正面からずれたところに足台を置くと足首が曲がった状態で足を乗せることになるでしょう。
左右方向の傾きが調節できれば、どこにおいてもしっかりと足を乗せられ、演奏姿勢の安定につながりそうです。
もちろんボールジョイントによって前後/左右の傾きは無段階に調節できます。
定価71,500円の高級足台
Tadpole FS-1の定価はなんと71,500円(税込)です。
安価なのに音がよいと評判のヤマハ CG192Sが定価62,700円なので、なんとクラシックギター本体よりも高い驚異の高級足台です。
金に糸目はつけないからとにかくよいものを!という方にはおすすめですが、なかなか手が出ないというのが正直なところではないでしょうか。
売っている場所が限られており、試用もできない
このTadpole FS-1、私が調べた限りではクロサワ楽器日本総本店と公式サイトでしか取り扱いがありません。
しかも両方とも定価販売の上、公式サイトの場合は800円の送料がかかります。
この値段かつ試すこともままならないとなると、ますます買いづらいです。
気になる存在ではあるので、これを参考にどこかのメーカーがもう少し買いやすい画期的な足台を開発してくれないものでしょうか。