海外で自動で爪弾かれるエレキギターというのが話題になっています。そういえばいろいろな楽器が自動演奏楽器にされているのにクラシックギターはないな、と思いいたりました。なぜないのか考えてみました。結論としては、クラシックギターを弾ける人はすごい!ということです。
弦をオルゴールのように爪弾くサークル・ギター
弦を自動で爪弾くエレキギターはこんな感じのものです:
くるくると回転する円盤が弦の下につけられており、そこに爪を立てることで弦をはじきます。実際の演奏はこんな感じです:
右手は弦のミュートやハーモニックス、スイッチの操作に使うようです。
円盤は毎分250回転までの速さで回転できるそうです。128個の穴があり、爪を差し込んでリズムのパターンを調整します。
ものすごく均一なリズムを、右手の労力なしに刻めるという意味では意味があるのでしょうね。左手は自動ではなく手動のようですが。。。
さまざまな楽器が自動演奏化されている
調べてみるとすでに様々な楽器が自動演奏化されています。たとえば、ピアノなどは当たり前のように自動演奏化されていますね:
さらに、ギターと同じ弦楽器のバイオリンも自動演奏のものがあります:
オルゴールの上部にさかさまのバイオリンが3つ吊り下げられているのがわかるかと思います。
なぜクラシックギターは自動演奏化されないのか
ではなぜクラシックギターは自動演奏化されないのでしょうか。考えてみるとクラシックギターが難しすぎる楽器だから、というのが理由のように思います。
左手が難しい
まず、左手が難しいです。結構長いネックに対して垂直に弦をおさえなくてはいけないわけですが、最大で6か所同時に押さえる必要があります。しかも、各弦の前後関係は自由自在です。
さらに、結構指が飛ぶことも良くあり、機械をその速さに追従させなくてはいけません。
そうするとフレットの全個所に押さえる機械を用意したいところですが、19フレット x 6弦=114か所もおさえるための機械を用意しなくてはいけません。自動演奏とはいっても見た目はある程度人間が弾いているかのように作りたいところですが、これではただの機械にしか見えなくなりそうです。
右手がさらに難しい
左手だけでも難しそうなのに、右手はさらに難しそうです。
弦を爪で弾く、という文字で書くと非常に簡単な動作なのですが、クラシックギター経験者の方は良く知っているようにただ弾くだけでは良い音が出ません。
おそらく人間の脳みそが自動的にやっているのでしょうが、弦に当てる指と爪の角度、微妙に力を抜く動作など、かなり複雑なことをやらないと良い音が出ないように思います。
まずはいい音を出すための弦の弾き方から研究をしないといけないのでしょうね。
特殊奏法も
また、原始的な楽器であるクラシックギターではいろいろな特殊奏法が要求されます。
楽器をたたいたり、ハーモニックスで演奏したり、ピツカートで演奏したり。。。
それらすべてに対応する機械はやはり複雑で、人間風の見た目にはなりそうにありません。
クラシックギターを弾いている人はすごい!ということ
こう考えてみると、何気なく弾いているようでいてクラシックギターを少しでも弾ける人はかなり複雑な動作をやっているということにほかなりません。
今後ロボットが発展するとしても、ギターを流ちょうに弾くようなものはなかなか出てこないのではないでしょうか。
自分も含め、なかなかうまく弾けないと思っている人も自信を持っていいと思います。
一方で、自動演奏の研究がされることで、クラシックギターをどう弾けばいいのかというのが科学的に検証され、それが人間の弾き方にフィードバックされることもあるかと思います。誰か、どこかの研究機関でやってくれないですかね。。。
追記:日本の方がクラシックギターの自動演奏機を作っていました
コメントでいただいたのですが、日本の方がクラシックギターの自動演奏機を作っていました。
自動でここまでできるとはすごい、と感動したのですが、いかがでしょうか?