クラシックギターにかかわらず、ギターをはじめとする指を使う楽器を弾く人には常に指を壊すリスクがあります。
その代表的なものが腱鞘炎です。
ギターを弾き始めて20年以上、ついに私もそれを体験することになりました。
腱鞘炎でばね指になってから、ギターが弾けるくらいに回復すうるまでの経緯と期間、回復法について紹介したいと思います。
本サイトで紹介している腱鞘炎の体験談や予防/治療法、おすすめアイテムに関する記事は以下を参照ください。
朝起きると、指が動かなくなっていた。これがばね指か!
始まりは突然でした。
ある朝起きると、左手の薬指が動きません。動かそうとしても指が曲がらず、さらに動かそうとするとカックン、という感じで指が曲がるという状態です。伸ばす方も同じ状態です。しかも動かすのに痛みが伴います。
特に前日から痛かったとかそんなこともなく、唐突にそんな状態になってしまい、混乱とこのまま動かないのでは?という恐怖にさいなまれました。
以前は腰痛になってぎっくり腰になったりしていましたが、指はギタリストにとって命なのでより不安です。
腱鞘炎と種類と指の腱鞘炎
元々ばね指についての知識を持っていたのでこれは腱鞘炎だとすぐにわかりました。
まずは腱鞘炎の予備知識について。
腱鞘炎は大きく分けて3種類
一口に腱鞘炎といっても、こちらの本によると大きく分けて3種類あるそうです。
手首の腱鞘炎
手の甲の親指の付け根の腱鞘炎です。
赤ちゃんを長時間持っている親や、スマートフォンを長時間持ち続けている人に多い腱鞘炎だそうです。
親指を拳の中に握りこんだ状態で手首を小指側に倒して痛ければこれだそうです。
肘の腱鞘炎
いわゆるテニス肘です。テニス肘も腱鞘炎なんですね。
指の腱鞘炎
そして最後が、今回のトピックの指の腱鞘炎です。
掌の指の付け根がはれたり、指の曲げ伸ばしがうまくいかなくなります。
指の腱鞘炎の原因
一言で言うなら指の使い過ぎだそうです。
指は筋肉で腱を引っ張ることで曲がるのですが、腱はところどころ腱鞘と呼ばれるさやで支えられています。そして、指の使いすぎで腱がはれると、腱鞘を通過するときに引っ掛かります。このため。腱を引っ張っても指が曲がらない = 指を曲げようとしても曲がらない状態になります。
さらに引っ張るとどこかで無理やり腱が腱鞘を通過します。これがカックンとなるばね指です。無理やりなので当然痛いです。
絵的にはこちらのHPの絵がわかりやすいです。
ひどくなると腱鞘を通過できず、指が全く曲がらなくなるとか。
また、朝起きた時に症状が強いのも特徴だそうです。確かに私も朝起きた直後が一番つらく、時間がたつとともに少しマシになっていました。
とにかく安静にするしかない、マッサージは厳禁!
先ほど紹介した本によると、対処法はとにかく安静にするしかないそうです。
ひじや手首の腱鞘炎の場合にはマッサージとかが効果的だったりするそうなのですが、指の腱鞘炎の場合はマッサージによって腱の晴れがひどくなるそうなので、マッサージをしてはいけないとか。
紹介した本の中でも、肘や手首の腱鞘炎が主で、指の腱鞘炎はそれほどページが割かれていないように感じました。
逆に言うと、腱の腫れさえ収まれば治る、ということです。
テーピングで指を固定
指を安静にするのに有効なのはテーピングです。
最初はこのように、手の甲から薬指の第2関節にかけてキネシオロジーテープを貼っていました。これにより、薬指が伸ばされた状態で固定され、安静にすることができます。
テープは以下のものを使用しました。空気が通るので蒸れにくくて快適です。
しかしながら、薬指がほぼ使えない状態になるので日常生活にも支障が出て困っていました。
その後、上で紹介した本で、痛みが出るのが指の付け根でも、大事なのは第2関節を固定することだということを知り、下の写真のような固定に変えました。
キネシオロジーテープを第2関節にまくことにより、第2関節の動きを制限します。これなら付け根は動くのでそれほど困りません。
ちょっと弾けるようになるのに1週間、4週間たってもまだちょっと痛い
この関節の固定を始めて一週間はばね指が出ていてギターを弾くどころではありませんでした。
それが、一週間ほどしたところで日中はばね指の症状が出なくなりました。相変わらず朝起きた時は引っかかるのですが、日中は曲げると痛みはあるものの引っ掛かりはなくなりました。
ただ、皿のような薄いものを持つために指を曲げたり、重いものを持つために力を入れたりすると痛いため、日常生活に支障をきたしていました。
その後、だんだんと回復していき、2週間ほどでギターが弾けるように。もちろん、難しい動きをすると痛いのですが、基礎練習をするには問題ないレベルになりました。
4週間たった今では、ある程度難しい動きをしても大丈夫になりました。ただ、まだ力を入れると痛いです。皿を持つのは大丈夫ですが、重いものはまだ駄目です。
テーピングはまだ続けています。夜テーピングをせずに寝ると、翌朝ばね指になるので、夜にテーピングをして寝るのが非常に重要なように感じています。
脱力をして弾くことの良い練習に?とはなかなかならない
指の使い過ぎが腱鞘炎の原因なので、この機会に脱力して弾く練習をするのが重要かと思いました。
が、口でいうのは簡単ですが実際には難しいのが現実です。
痛みが出た時は、ああこの動きや抑え方は無理があるんだな、と思って直すようにはしています。
また、
- ギターを弾く前に入念に指のストレッチを行う
- 長時間弾くときでも途中で意図的に休憩を入れる
- 全身の筋肉をやわらかくするため日ごろからストレッチを行う
ということをするようにしました。指のストレッチは指を手の甲側にそらすやつです。指が柔らかい状態で弾くのと、硬いまま弾くのでは全然違います。
全身のストレッチは上で紹介した本に載っているので興味があれば見てみてください。肩凝りにもききそうです。
脱力についてはこちらのカテゴリの記事もご覧ください:
ならないことが一番
私の場合、運よくギターが弾ける状態までは回復しました。
しかしながら、一か月くらいたってもいまだにテーピングをしたり、痛みが時々出たりしています。
ならないことが一番なので、とにかく指を使いすぎないことを心がけることが重要です。
皆様もどうかお気をつけて。そして同じ症状の人はとにかく安静にしてください。私と同じような経過になるかはわかりませんが、安静にしていればきっと良くなります。
(追記): 2か月後
2か月ほど経ちましたが、ばね指は収まったものの、あいかわらず痛いときは痛いです。
たとえば、ぞうきんを絞るような動作が痛いです。ギターも弾きすぎると痛いかな。
念のため整形外科で診察してもらいました。
(追記): 4か月後
4か月ほどたって、ほぼ痛さがなくなりました。
弾きすぎると痛さが出てきますが、ばね指はでません。
また、雑巾を絞る動作も問題ありません。
夜のテーピングは相変わらず続けており、これがよかったのかもしれません。
(追記): 半年後
半年ほどたって、テーピングがなくても大丈夫になりました。
ギターを弾いていて無理な動きをすると多少痛みますが、ほぼ問題ない状態です。
とはいえ、再発の可能性もあるのでルルド ハンドケアという指をマッサージする機器を買ってみました。
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(追記): 1年後
1年たちましたが、この半年まったく再発することなく過ごせています。時々痛むことはありますが、ばね指は起きていません。
テーピングはまったくせず、上で紹介したルルドハンドケアをやる程度です。このハンドケア、実は腱鞘炎にすごくよかったのでしょうか。