最近、新型コロナウイルス対策のために換気が重要であることが厚生労働省から発表され、その目安として二酸化炭素(CO2)の濃度を使うことが推奨されています。
また、CO2の濃度は高すぎると集中力が下がったり睡眠の質に影響が出たりするなど、新型コロナウイルスを抜きにしても低く保つことが重要です。あなたがギターの練習に集中できないのはCO2の濃度が原因かもしれませんよ。
楽器は閉め切った部屋で練習しがち
楽器は音を出して楽しむものであり、音量の差こそあれ、楽器の演奏はある程度周りの方々に迷惑をかける趣味であるといえます。
少しでも聞こえる音を小さくするため、窓や扉を閉め切って楽器を練習しているという方も多いのではないでしょうか?
しかしながら、締め切った部屋にこもっていると、空気が入れ替わらず、部屋のなかのCO2の濃度が高くなる可能性があります。
なお、勘違いされている方もいらっしゃいますが、一般的なエアコンの場合は動かしても換気はできません。
エアコンは室内の空気を冷やしたり暖めたりして室内に戻すものであり、汚れた空気がそのまま戻っていきます。
集中力に影響するCO2濃度
ご存じの通り、CO2は人間にとって有害な物質です。
そして、アメリカでの研究によると、CO2の濃度は思考力に影響します。
CO2の濃度が600ppm、1,000ppm、2,500ppmの3つの環境下で9種類の意思決定をおこなう実験をおこなったところ、1,000ppmでは6種類に有意な低下がみられ、2,500ppmでは7種類に大きな低下がみられたそうです。ちなみに、外気はだいたい400ppmです。
後述しますが、私が試したところでは、締め切った部屋にいるとCO2の濃度はかんたんに1,000ppmを超えました。
楽器の練習には集中力が大事ですが、締め切った部屋でCO2濃度が高くなりすぎると思考力が低下し、効率のいい練習ができないといえるでしょう。
また、2,000ppmを超えると頭痛、眠気、倦怠感、注意力散漫、心拍数の増加、吐き気の発生といった身体症状がでるほか、CO2濃度が高すぎる部屋で寝るとレム睡眠の周期が妨害されて睡眠の質が落ちるという研究もあります。
最近よくおこなわれている自宅でのテレワーク(在宅勤務)においても、CO2濃度が高すぎることによって眠くなったり効率が下がったりするかもしれません。
厚生労働省はコロナ対策においては1,000ppm未満に保つことを推奨しており、これが1つの目安といえるのではないでしょうか。
CO2センサーで換気のタイミングをチェック!
そこで使いたいのが、CO2の濃度を計測できるCO2センサーです。
新型コロナウイルスでCO2濃度が話題になっていることもあり、さまざまな製品が出ていますが、私はsparoma PTH-8というものを買いました。
この製品はCO2センサーのなかではちょっとお高めなのですが、ほかにはないスマートフォンと連携して二酸化炭素や温度・湿度の変化をグラフにする機能があり、二酸化炭素濃度の改善に役立つと考えて選びました。
この機能がいらなければもっと安い製品はいろいろあります。単に楽器練習部屋のCO2濃度を確認するだけなら十分です。
センサーは厚生労働省推奨のNDIR方式
CO2濃度の測定にはさまざまな方式がありますが、この製品が採用しているのはNDIRという方式です。
これは、CO2が特定の赤外線の波長を吸収する特性があるのを利用して濃度を測定する方式。
厚生労働省もCO2の測定には「NDIRセンサーが扱いやすい」しており、この方式の使用をお勧めしています。
センサーの精度については、外に出して計測したところ400ppm~450ppmほどだったので、一般的な値と同じであり、精度は悪くないと思います。
大型ディスプレイでCO2濃度がわかりやすい
この製品は直径10cmくらいなのですが、そのほとんどを大型ディスプレイが占めています。
そのなかでもCO2濃度が大きく表示されており、遠くからでも表示が見やすいです。
また上部にはLEDが搭載されており、CO2濃度が700ppm未満なら緑、1,500ppm未満なら黄、1,500ppm以上なら赤に光り、数字が読めない遠くからでもCO2濃度の把握ができます。
液晶のバックライトは切ることができるので、寝室に置くとまぶしいということはありません。
ブザーやスマホへの通知でCO2濃度が高すぎることがわかる
単にCO2濃度を表示するだけでなく、高すぎるCO2濃度に対する警告も可能です。
本体にはブザーが内蔵されており、1,500ppmを超えると音で知らせてくれます(オフにすることも可能)。
また、スマホとの連携で、設定した自由なCO2濃度を超えたり、下回ったりするとスマホに通知を出すことが可能。
換気のタイミングを知るのに役立つ機能です。
バッテリー内蔵で手軽に動かせる
このCO2センサーはUSBから電源を供給されて動くのですが、リチウムイオンバッテリーも内蔵しており、公称22時間バッテリーで駆動することができます。
これにより、たとえば普段はリビングでCO2を測定し、たまに楽器の練習をするときにはUSBから外して練習部屋に持っていくことが手軽にできます。
また、夜の間は寝室のCO2濃度監視をするのにも役立つでしょう。
CO2濃度の履歴が参照できる
上でも書きましたが、この製品はスマホと連携し、過去のCO2濃度の履歴をグラフにすることができます。
この機能は、たとえば集中して練習しているときや寝ているときなど、CO2の表示値を確認できないときに役立ちます。
練習部屋のCO2濃度が1,500ppm超え!
実際にこのCO2センサーを使って私が趣味のクラシックギターを練習している部屋のCO2濃度を測定したところ、なんと楽器練習部屋のCO2濃度が1,500ppmを超えていることがわかりました。
やはり、扉や窓を閉め切った部屋は容易にCO2濃度が上昇するようです。
さらに、寝室についても測定したところ、なんと2,500ppmを超えていました。
暑い時期でエアコンをつけ、締め切って寝ていたのですが、複数人が寝ていることもあり、かなりCO2濃度が上昇したようです。
換気の改善でCO2濃度を抑えることに成功!
これはまずいということで、CO2濃度を下げる改善をおこないました。
CO2濃度を下げるには換気が大切。そこで、空調メーカーであるダイキンの「上手な換気の方法~住宅編」を参考に。
まずは24時間換気を正しく使うことから始めました。
練習部屋は、エアコンの効率や外に音が漏れることを考慮して、24時間換気の吸入口も閉じていました。これはよろしくないということで、24時間換気の吸入口を開けることに。
また、吸入口のフィルターも汚れていたので掃除をしました。
また、24時間換気自体がうるさいので、設定を変えて換気量が少なくなるようにしていたのですが、これを戻すことに。
これにより、練習部屋に関しては常時600ppm以下を保つことに成功しています。窓や扉は閉め切ったままなので、周りへの迷惑も最小限に抑えられているかと思います。
楽器の練習への影響としては、眠気が少なくなったような気が。
また、寝室に関しても改善をおこない、最高でも1,000ppm程度にできました。
練習効率を上げるのにCO2濃度を見直そう
CO2の濃度はさまざまな身体症状をうみ、そのなかには思考力や集中力の低下も含まれています。
閉め切りがちな楽器練習部屋ではCO2濃度が高くなり、そのために練習への集中力が落ちている可能性もあるでしょう。
また、最近はテレワークが一般化して、自宅で仕事をしている方も多いでしょうが、CO2濃度を下げることで仕事の能率も上がるかもしれません。
CO2センサーを導入して改善を図ってみてはいかがでしょうか?