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ギターなどの楽器に使われる木材は古いものが珍重されますが、せいぜい300年前など100年単位が一般的です。しかしながら、世の中には約5,000年前という桁違いの木材を使ったギターやヴァイオリンが存在します。一体どんな音がするのでしょうか?
このサイトのクラシックギターの材料や楽器そのものに関する記事は以下の記事でまとめてあります:
縄文時代の木材を使用
約5,000年前というと縄文時代であり、ピラミッドと同じくらいの時代の木材です。
そんな時代の木材がなぜ残っているのかというと、化石になっているからなのだとか。
「埋もれ木(Bog Wood)」と呼ばれる木材であり、泥水のなかでその姿を保ったり、地中に埋もれて長い年月をかけて圧力や熱を受けて半ば炭化したりしているのだそうです。
古い木材というと、桜井正毅の喜寿モデルが300年前のハカランダを使っていることで話題になりました。
しかしながら、5,000年前となると桁違いの古さです。
ゲイリー・サウスウェルが約5,000年前の木材を使ったギターを製作
ギター製作家のゲイリー・サウスウェルがこの貴重な約5,000年前の木材を使ったギターを製作しています。
ブラックオークの埋もれ木を裏板と側面板に使用しており、純粋なクラシックギターというよりはかなり先鋭的なデザインです。
その姿や音はYouTubeで確認できます:
ゲイリー・サウスウェルのサイトにこのギターが紹介されていますが、価格は不明です。ただ、「限定版」とのみ書かれています。
かなり高額なのは間違いないでしょう。
埋もれ木を使ったヴァイオリンも存在
埋もれ木を使った楽器はギターだけではありません。
ゲイリー・サウスウェルのギターに触発され、埋もれ木を使ったヴァイオリンも製作されています:
ちょっと演奏者の腕に不安がありますが、しっかりと鳴っているようです。
ギターと同じく裏板と側面板に埋もれ木が使われています。
大量生産はできないだろうけど音は気になる
このような形で何千年も残る木は数が少なく、ハカランダのギター以上に貴重なものだと思います。
実際、ヴァイオリンに使われた木材は2012年に見つかったのですが、直径1.25メートル以上、長さ13.4メートルもあったそうで、埋もれ木の乾燥・保存の専門家が発掘したのだそうです。
このため埋もれ木を使ったギターは試奏も難しいような代物でしょうが、どのような音なのか気になります。
ただ、埋もれ木のような形で保存された木材で楽器が作れるという事実は、ローズウッド系の木材が貴重になっている現在、人工的な木材の可能性を広げてくれるような気もします。
すでにケボニーと呼ばれる人工的に作った硬い木材が存在していますが、このような木材がもっと増えていくとギターの可能性が広がりそうです。