楽譜の電子化にはさまざまなメリットがあります。一方で、ニッチな市場な上に発展途上の分野のため、デメリットがあるのも事実です。この記事では電子楽譜化することによって得られるメリットとデメリットについて現状を解説します。
本サイトの電子楽譜に関する記事は以下でまとめています:
楽譜を電子化するメリット
まず、楽譜を電子化するとどのようなメリットがあるか解説します。
紙の楽譜より安く買えることがある
同じ曲の場合、電子楽譜は紙の楽譜より安いことがあります。
印刷費や輸送費などの中間マージンが発生しないことが理由なのですが、特に海外出版社の楽譜でこのメリットが大きいです。
日本で海外出版社の楽譜が売られる場合、日本への輸送費や輸入した店の利益を含め、現地よりもかなり高くなるのが一般的といえるでしょう。
電子楽譜であれば日本にいながら輸送費や輸入した店の利益を省き、そのままの価格で手に入れることができます。
電子楽譜の安さの具体的な事例はこちらの記事を参照ください:
楽譜が探しやすくなる
長年音楽を趣味にしていると、大量の楽譜がたまります。
そのなかから演奏したい楽譜を見つけるのには時間がかかるでしょう。
楽譜を電子化し、ファイルのタイトルやコンテンツに曲名や作曲家名などを入れておけば、簡単に所望の楽譜を見つけられるようになります。
劣化せずに半永久的に保存できる
紙の楽譜は時間とともに劣化しますし、太陽の光に当たれば日焼けします。
電子楽譜にしてしまえば劣化することなく、半永久的に保存できるでしょう。
何度でも書き込みをやり直せる
紙の楽譜の場合、1度書き込みをおこなうと、たとえ鉛筆やシャーペンであっても完全に消すことはできず、跡が残ります。
電子楽譜なら何回書き直しても元に戻すことができ、楽譜をきれいな状態で使い続けることが可能です。
後から色を変えるなどもできるため、自分にとってよりわかりやすい方法にカスタマイズすることも容易でしょう。
保管場所が不要
大量の楽譜には大きな保管場所が必要です。
本棚1つ楽譜で埋まっている方もいるのではないでしょうか。
電子楽譜なら置き場所を用意する必要は無く、家のなかをすっきりできます。
気軽に大量の楽譜を持ち出せる
紙の楽譜は増えれば増えるほど重くなります。
電子楽譜であれば、電子楽譜リーダーで何百何千もの楽譜を持ち歩くことができ、荷物の量を減らすことが可能です。
楽譜を忘れる心配が無い
レッスンや本番で大事な楽譜を忘れると困ったことになります。
電子楽譜化しておけば電子楽譜リーダーを持ち出せばすべての楽譜が入っていますので忘れる心配がありません。
譜めくりが楽
電子楽譜リーダーやアプリによっては譜めくりを楽にできます。
たとえばフットスイッチを使って足で譜めくりしたり、カメラに向かってウインクしたりなどで譜めくりできるため、手が塞がる楽器でも演奏を止めることなく譜めくりが可能でしょう。
楽譜を電子化するデメリット
一方、楽譜の電子化にはデメリットもあります。
電子楽譜リーダーが高い
電子楽譜には閲覧するための端末である電子楽譜リーダーが欠かせませんが、一般的に高価です。
楽譜の購入費用に加えて電子楽譜リーダーを買う必要があり、紙の楽譜に比べるとコストがかさんでしまいます。
電子楽譜リーダーの選び方やおすすめ端末についてはこちらの記事を参照ください:
バッテリーが切れると楽譜が見られない
電子楽譜リーダーはバッテリーで動作します。
このため、電子楽譜リーダーのバッテリーが切れると楽譜が見られなくなり、演奏に支障をきたすでしょう。
特にコンサートや発表会などの本番でこれが起こると最悪です。
電子楽譜として売られている曲が少ない
電子楽譜はまだまだニッチな市場であり、すべての出版社が電子版の楽譜を販売しているわけではありません。
ほしい楽譜が紙でしか手に入らないということもあるでしょう。
紙の楽譜を電子化するのに手間がかかる
すでに持っている紙の楽譜を電子化したり、新しく買った紙の楽譜を電子化したりするにはスキャンが必要です。
楽譜の電子化にはある程度の時間と手間を取られるでしょう。
楽譜をスキャンしてPDF化する方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています:
電子楽譜するべきかはメリットにどれだけ価値があるか
現状では電子楽譜はまだまだニッチであり、電子楽譜化が必須とはいえない状況です。
費用も時間もかかりますし、デメリットが色々とあります。
それでも電子楽譜化すべきかどうかは、現状それぞれの方がメリットにどれくらいの価値を見いだせるかによりそうです。
まだまだ「絶対にやるべき!」とはいえないのが現実ですが、興味がある方は費用が安く済むiPhone/Androidスマートフォンを使った方法で試してみてはいかがでしょうか。
あまり深刻にならず、電子化自体を楽しむくらいの気持ちが良いかもしれません。