電子楽譜環境構築に必須の作業が、楽譜をスキャンしてPDFにするというものです。現状は電子楽譜として販売されている楽譜は少なく、紙の楽譜を電子化するという作業が必要といえます。楽譜をきれいに、かつ大量に効率よくスキャンための方法をご紹介しましょう。
本サイトの電子楽譜に関する記事は以下でまとめています:
まだまだ進まない楽譜の電子販売
一昔前までは本や楽譜は紙で売られるのが当たり前でしたが、最近では書籍は電子化が進んでいます。
漫画や新書が紙と同時に電子書籍として発売されることもよくあり、すでに使っている方も多いのではないでしょうか。
一方、楽譜に関しては電子楽譜としての販売はまだ始まったばかりという状況であり、まだまだラインナップが充実していません。
PDFとして楽譜を販売している出版社や作曲家についてはこちらの記事を参照ください:
また、すでに紙の楽譜を多く所有している方は、それらを電子化するという作業が必要であり、電子楽譜環境を目指すなら楽譜のスキャンは必須であるといえるでしょう。
楽譜をスキャンしてPDFにするためのおすすめの方法
そこで、楽譜をスキャンしてPDFにするための方法を、電子楽譜化する量に応じて紹介します。
以下がおすすめの方法のまとめ表です:
楽譜の量 | おすすめの方法 |
少量、または時間をかけても良い | スマホやタブレットのカメラでスキャン |
そこそこ大量 | ドキュメントスキャナを利用 |
大量 | 代行業者へ依頼 |
電子化する楽譜が少量、あるいは時間をかけても良い場合: スマホやタブレットのカメラを使う
電子化する楽譜が少量、あるいは時間がかかっても良い場合は、スマホやタブレットのカメラを使ってスキャンする方法がおすすめです。
スキャンアプリを使えば適当に撮影した写真から楽譜の領域を抽出し、自動でまっすぐに補正してくれます。
たとえばこんな感じで斜めかつ小さく撮影した場合でも大丈夫です(使用しているのは著作権フリーの楽譜)。
このようにまっすぐな楽譜に自動で補正してくれます。良くも悪くも、しわまでバッチリです。
このため、サクサクと楽譜を撮影していけば良く、想像しているよりも時間はかかりません。
さまざまなアプリがあり、どれを使っても良いのですが、楽譜リーダーにPiascoreを使うならEvernote Scannableが便利です。
スキャンしたものをPiascoreに送信できるため、手間が省けます。
また、PDFフォーマットを作ったAdobeのAdobe Scanも優れたアプリです。
この方法は1ページ1ページ撮影する必要があるため、時間はかかりますが、追加投資が不要な点が優れているといえます。
また、楽譜を裁断する必要が無く、そのまま保存できるのもメリットです。
よく使う楽譜から少しずつ電子化するのであれば、この方法で十分でしょう。
そこそこ大量の楽譜の場合: ドキュメントスキャナの利用
そこそこ大量の楽譜を効率よく電子化したい場合は、ドキュメントスキャナの利用がおすすめです。
ドキュメントスキャナのなかでは富士通のScanSnapシリーズの人気が高く、これを選べば間違いないでしょう。
メーカー公式の紹介動画はこちらをご覧ください:
オートシートフィーダーがあるスキャナー付きのプリンター複合機でも良いですが、使い勝手の面ではやはり専用機の方が良いかと思います。
楽譜をスキャンするには、まず、楽譜を裁断して1ページずつの紙に分解します。
裁断機を使うと効率よく裁断できるでしょう。
裁断費用をケチりたいなら、ロータリーカッターと定規を使う手もあります。
裁断が必要ないドキュメントスキャナもある
裁断したくないなら上から撮影する方式のドキュメントスキャナもあります。
ただ、この方法はスキャンに時間がかかりますので、個人的にはよほどきれいに撮影したいとかでなければ、非裁断方式なら前述のスマホカメラによる方法で十分かな、と思います。
また、本の背を手前に逃がすことで裁断不要のスキャナも登場しました。
保存しておきたい大事な楽譜はこのスキャナをつかうと便利です。
レンタルで費用を安く抑える方法も
また、一時的にしか使わないのであればレンタルという手があります。
購入に比べて費用を大幅に下げることができるでしょう。
ドキュメントスキャナと裁断機のセットもあるのでチェックしてみてください。
ただ、将来的にも購入した楽譜を効率よくスキャンしたいとか、書籍も電子化したいのであれば、購入しても良いのかなと思います。
実際に自力でスキャンしてみましたので、以下の記事を参照ください。
代行業者に依頼
楽譜が大量にありすぎて自分ではやる気がしない、ということであれば代行業者へ依頼すると良いでしょう。
世の中には数多くの書籍電子化サービスがあり、ざっと見たところ1冊100円からといったところが料金の相場のようです(あくまで目安)。
ドキュメントスキャナが3万円から4万円ほどですので、300冊以上あれば手間も考えると代行の方が安い、といえるでしょうか。
ただ、電子化の相場は100ページ以上とページ数が多い書籍を基準にして決められており、1冊あたりの価格で支払うと楽譜の場合は損した気分になるかもしれません。
こちらのULURU BPOという会社は「楽譜スキャン代行」という楽譜専門のサービスを用意しており、見積もりをしてくれるそうです。
価格の例がないので実際の価格はわからないですが、もしかすると安くなるかもしれません。ちなみに、7万円以下の場合は一律7万円での対応だそうなので、相当大量の楽譜を依頼しないと安くならない可能性もあります。
(追記):実際やってみて、代行業者に依頼したほうが安いと感じました。以下の記事を参照ください。
著作権には注意!
楽譜を電子化すると他の人へ渡すのも簡単になりますが、著作権の扱いには注意してください。
法律に違反した場合、罰せられる可能性があります。
楽譜の著作権については以下の記事を参照ください。
電子楽譜リーダーの選び方は?
電子楽譜を読むための端末である電子楽譜リーダーはiPad Proを使ったものが人気です。
選び方とおすすめ端末を以下の記事で解説していますので参照ください。
自分に合った楽譜スキャン方法で安く楽に電子楽譜化を
紙の楽譜を電子化するという作業は、以前に比べると自分でやるのが楽になりましたが、依然として手間と時間がかかります。
ドキュメントスキャナや代行業者への依頼を含め、自分に合った方法を選んでください。
楽譜を電子化すれば、楽譜が探しやすくなり、楽譜を保管する場所がいらなくなり、気軽に楽譜を持ち歩けるようになり、メリットが多いです。
これらにお困りの方は、ぜひ楽譜の電子化に挑戦してみてはいかがでしょうか。