楽器用除湿剤/湿度調節剤に使用期限はあるのか?実験してみた

中古のDr.DRYの重さ(吸湿後) ギター用品
記事内に広告が含まれています。

木材でできている楽器は特に湿度の管理が重要です。このため、ケースの中に除湿剤や湿度調節剤を入れて湿度を一定に保つことが必要になります。市販の除湿剤や湿度調整剤には使用期限が書いてありますが、本当にそれを守らなくてはいけないのでしょうか?

再利用可能なシリカゲルの除湿剤/湿度調整剤

以前の記事でも書きましたが、シリカゲルの除湿剤や湿度調整剤は再利用可能です。

シリカゲルには温度が高くなると放湿し、温度が低くなると吸湿するという特性があります。これを利用し、電子レンジで温めたり、フライパンで煎ったり、天日に干すことによって吸いすぎた湿気を出すことが可能です。

また、除湿剤ではなく湿度調整剤となっているシリカゲルの場合は蒸気にあてることで吸湿も可能です。上の記事でも紹介しているDr.DRYは湿度調整剤なので、この方法が使えます。

理論的には再利用回数は無限らしいが…本当か?

シリカゲルは非常に安定している物質のため、実は理論的には再利用回数は無限なのだそうです。

ということは、一度シリカゲルの湿度調整剤を買ってしまえば、時々吸湿/放湿してやれば、もう二度と買わなくてもいいのか?という疑問が生まれます。

ちなみに、Dr.DRYのパッケージには

■有効期限:開封時より6ヶ月~1年
■成分:湿度調整剤、防錆剤、消臭剤
    最高級B型シリカゲルを使用。

となっています。これは手動での吸湿/放湿をしない場合の話でしょうから、それらをした場合にどうなのかはよくわかりません。

新品と1年たったDr.DRYを比較してみた

そこで、実際に実験してみることにしました。

手元に1年間ケースに入れ続け、時々電子レンジで温めて放湿したDr.DRYが4つと、新品のDr.DRYが4つあります。ちなみに、我が家は湿気が多いことがほとんどなので、吸湿はしませんでした。この使い方で1年間ケース内の湿度を一定範囲に保っています。

やり方は、中古のDr.DRY x 4 と新品のDr. DRY x 4を同時にギターケースに入れます。それぞれ2個ずつをヘッドとボディ側に入れます。そして、ある程度ケース内の湿度が上がったところで重さをはかります。その後、電子レンジで加熱し、放湿して吸収した水分の重さ比較します。

こちらが電子レンジで加熱する前の重さです。上が中古、下が新品になります:

中古のDr.DRYの重さ(吸湿後)
新品のDr.DRYの重さ(吸湿後)

中古が171g、新品が198gなので、新品の方が重いという結果になりました。

そして、以下が電子レンジで加熱後の重さです。同じく、上が中古、下が新品です。

中古のDr.DRYの重さ(吸湿前)
新品のDr.DRYの重さ(吸湿前)

これらの結果から、

  • 中古: 171 – 156 = 15gを吸湿
  • 新品: 198 – 169 = 29gを吸湿

となり、1年間使った中古よりも新品の方が吸湿量が倍ほど多いという結果になりました。ということは、シリカゲルと言えども、ある程度の期間使ったら新しいのに変えた方がいいということになるかと思います。

ちなみに、なぜ電子レンジで温めたあとの重さが中古の方が軽いのかはわかりません。。。Dr.DRYにはシリカゲル以外に何か入っていてそれが減ったのか。。。

電子レンジで加熱する際のムラが原因?

安定しているはずのシリカゲルでこれほどの差が出た理由として考えるのは、電子レンジによる過熱かもしれません。

シリカゲルは安定した物質なのですが、200度を超えると黒く焦げてしまって使えなくなるそうです。

電子レンジはマイクロ波をあてて過熱するのですが、それが局所的にあたりすぎることがあり、徐々に使えなくなるシリカゲルが増えるのかもしれません。これが正しいとすると日光やフライパンでの過熱の方がいいかもしれません。

正しいかどうかは袋を開けて色を見ればいいのですが。。。まだ使えるのでもう少しだめになったら開けてみます。

ただ、日光だと時間がかかるし、フライパンだと袋から取り出さないといけないんですよね。。。

湿度計を使った管理をおすすめ

今回分かったのは、どうやらシリカゲルと言えども、(使い方によっては?)永遠に使えるわけではなさそうだということです。

なので、除湿剤/湿度調整剤を楽器ケースに入れてそれで安心ではなく、湿度計も入れて湿度の変化を確認するのが必要かと思います。私は以下のを入れています:

湿度計を目視して湿度が上がって来たら温めて湿度調整剤を放湿し、湿度が下がって来たら上記にあてて吸湿するのが必要です。

また、湿度の上がり下がりが速くなってきたら除湿剤を新しくする必要があるということでしょう。

大事な楽器が壊れてしまったらもっと時間とお金が必要になるので、こまめな湿度管理をお勧めします。

タイトルとURLをコピーしました