スポーツの分野では専門の医療が充実している一方、日本ではギターをはじめとする楽器演奏者やダンサーといった人たち向けの専門医療は充実しているとはいえません。そんな状況を変えようと、「日本演奏芸術医学研究会」を設立しようという動きがあります。現在クラウドファンディングで寄付を募っているので、ぜひチェックしてみてください。
多くの健康問題を抱える音楽家やダンサー
音楽やダンサーは体が資本ですが、使いすぎなどにより健康問題を抱えることがあります。
クラシックギターで代表的なものは腱鞘炎や腰痛でしょう。
私も腱鞘炎になってしばらく指が動かせない時期がありましたが、もしプロのギタリストだったらコンサートやレッスンをキャンセルせざるを得なくなり、収入がなくなって生活に困るかもしれません。
腰痛は日常生活にも影響するのでさらにつらかったです。
また、最近よく名前を聞く「フォーカル・ジストニア」もあります。これは本人の意思に反しして手が動いてしまうものであり、神経障害の一種といわれています。
また、難聴、発声障害など、挙げるときりがありません。
ダンサーも同様に腱炎、疲労骨折、関節炎、靱帯損傷のような健康問題に悩まされがちだそうです。
「練習を休め」といわれるだけの医療
このようにさまざまな健康問題を抱えがちな芸術家ですが、現状の芸術家に対する治療は、「練習を休め」が基本だといいます。
しかしながら、芸術家の素晴らしいパフォーマンスは日々の継続的な練習に裏打ちされたものであり、そう簡単に休めるものではありません。
さらに、「病院に行っても休めといわれるだけだ」と考え、治療から遠ざかってしまうという悪循環もあるといいます。
芸術家のための、芸術家のことを理解した治療が必要といえるでしょう。
「練習しながら治療する」医療を目指す
この状況を打破すべく、「日本演奏芸術医学研究会」が設立されることになりました。
目標は、「練習しながら治療する」医療の構築です。
安易に練習を休めというのではなく、治療と演奏活動の両立をすることで、芸術家が安心して治療に来られるようにしたいと述べられています。
さらに、この治療はプロのためだけではなく、アマチュアの愛好家も含めた幅広い人々を対象にするそうです。
音楽やダンスが生きがいという方もいるでしょう。そんな方にも今後素晴らしい治療が提供される可能性がありそうですね。
クラウドファンディングで資金集め中
この「日本演奏芸術医学研究会」設立に向け、現在クラウドファンディングで資金の提供を募っています。
3,000円から寄付できるので、一般の方でも気軽に寄付可能です。
集められた資金は3年間の学会運営委託費用と学術総会の会場費などに使われます。
残念ながら寄付に対するリターンはお礼や活動レポート、高額の場合はHPへの名前の掲載のみです。また、実質寄付ではありますが、税控除の対象ではないとされています。
福田進一も寄付を呼びかけ
この日本演奏芸術医学研究会については、福田進一や中島晴美といった有名ギタリストも協力を呼びかけています。
私が2013年に左小指を骨折した時に助けてくださった先生方による、とても重要な素晴らしいプロジェクト。様々な病例に対応し、我々が音楽を続けられる環境作りへの取組みです。ご協力ください!#クラウドファンディング #READYFOR #日本演奏芸術医学研究会 https://t.co/coCCM0vRI4 @READYFOR_cfより
— 福田 進一 (@fukushinsanchan) March 3, 2022
長いこと、スポーツ医学科はあるのに、音楽医学科が無いのは人口の絶対的な差で、パブリシティが狭くスポンサーも集まらないからだと諦めていました。ようやくの良い兆し、各所でシェアします。 https://t.co/niXc57IxHb
— 中島晴美 (@Harumi_Guitar) March 3, 2022
それだけクラシックギターと健康上の問題が切っても切り離せないものだということでしょう。
芸術家向けの医療の発展は芸術全体の発展に寄与するはず
このような芸術家向けの医療の発展は、直接的にはプロの芸術家の治療に貢献するのでしょうが、それによって芸術全体の発展に寄与するのではないでしょうか。
これまでにも素晴らしい才能を持ちながら、健康上の問題で活動停止を余儀なくされた方が大勢います。
芸術家向けの医療が発展すればより多くの芸術家が活動を続けられるようになり、聴衆もより素晴らしい芸術に触れる機会が増えるはずです。
少しでも興味を持たれた方は、ぜひクラウドファンディングサイトをチェックしてみてください。