村治佳織もやっている教則本? ハイテクニック・マスターのための新 ギターメソッド 村治昇 著

村治昇 ハイテクニック・マスターのための新ギター・メソッドの表紙 楽譜/教則本

教則本には色々ありますがやはり現代の奏法でも通用するものが望ましいといえます。村治佳織や村治奏一の父親である村治昇が書いた新ギターメソッドは村治佳織も練習の初めにやっているという教則本です。購入してやってみたので感想とレビューを書きます。

ギター・だ~いすきシリーズの第4巻

このハイテクニック・マスターのための新ギターメソッドはギター・だ~いすきシリーズの第4巻に当たります。

画期的なのは幼児・小学生からギターを始める人の教則本がこのシリーズにあるという点です。

カルカッシにせよ青本にせよPumping Nylonにせよ、どこか堅苦しく大人が読んでもそれほど面白いものではありません(Pumping Nylonの原著は面白いですが)。

これに対してたとえばこのシリーズの第1巻の冒頭は、

ステップ1:ギターさんてどんなおと,ギターさんこんにちは,おさんぽしましょう,他。

幼児にとってもとっつきやすく、自分でも教則本を読める内容となっています。

さすがは村治昇ギター早期才能教育教室を主宰する著者です。子供に英才教育を施したい人はこの本を与えてみてはどうでしょう?

アルハンブラの思い出を弾くための技術をステップ by ステップで教えてくれる

この第4巻は「ハイテクニック・マスター」のためのとなっており、最終的にアルハンブラの思い出を弾くのが目標となっています。

このために以下のような練習項目が収録されています:

ここで注目すべきは同じ技術が複数のステップにわたって収録されている点です。たとえばアルペジオはステップ1からステップ13に分けて収録されています。

ステップごとに違うアルペジオの技術が収録されており、だんだんと難しくなっていくのが特徴です。

また、各ステップに練習曲が収録されており、その練習曲がそのステップで学んだ技術の実践編となっています

さらに、各ステップに複数の技術が収録されているのも特徴です。たとえばステップ1ではアルペジオ、スケール、スラー、音のチェックといった技術が混在されています。

普通の教則本は各技術がかたまって書かれています。アルペジオならアルペジオでかたまっており、スラーならスラーだけでかたまっています。

しかしながら、実際にはそれぞれの技術には共通することもあり、アルペジオばかりやっていればいいというものではありません。

この新ギターメソッドは「難易度」の観点でステップが分かれており、学習者が効率よく技術を学べるようになっているように感じます。

学習者は自分で何の練習をすればいいか考える必要はなく、各ステップを少しずつやっていけばだんだんとアルハンブラの思い出が弾けるようになっていくというわけです。

プランティングなどの新しい技術も収録

教則本の内容は古いものに固執しているわけではありません。プランティングなどの新しい技術も取り入れられています。

この教則本では「消音奏法」と書かれていますが、やっていることはプランティングです。ちなみに、プランティングしない奏法は「エコー奏法」と書かれています。

欧米に比べると何かと遅れがちな日本のクラシックギター教育ですが、しっかりと現代の奏法を教えてくれているのはありがたいです。

村治佳織も練習の最初にやっている

先日発売された村治佳織のエッセイに、毎回練習の初めの一時間は父が書いた教則本でスケール、アルペジオ、セーハ、スラーの練習をすると書かれています。

父が書いた教則本というとこのギターだ~いすきシリーズでしょうし、レベルを考えるとおそらくこの第4巻をやっているのではないでしょうか?

アルハンブラの思い出が弾きたい人も上級者の人も

この教則本はタイトルにあるようにアルハンブラの思い出が弾きたい人はもちろん、上級者の人の日々の練習としても使える優秀な本です。

特に、各技術が混在された状態でステップごとに分かれているのは毎日の練習に当てはめやすくありがたいです。毎日1ステップずつとか2ステップずつとかやっていくことでいろいろな技術を漏れなくカバーできます。

その意味で、基礎練習は重要だと思いながら何をやっていいかわからない人にはうってつけです。

まずはアルハンブラを弾きたい人も、基礎力の維持向上を図りたい人も、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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