クラシックギターなどの木でできている楽器は木の品質が音に直結します。一方で環境破壊などにより理想的な木材はだんだんと枯渇してきています。また、世の中は技術革新によっていろいろとできることが増えています。CES2020で発表されたローランドの未来のピアノのコンセプトモデル GPX-F1 Facet は電子ピアノでありながらグランドピアノの形をしていて、かつ大型ディスプレイを搭載しているという面白いモデルです。クラシックギターもこういった将来の形というものを模索していくべきなのかもしれません。
Android搭載、Alexa対応、大型ディスプレイ搭載の電子ピアノ
このGPX-F1 Facetはこんな形をしています:
グランドピアノをほうふつとさせる外観でありながらどことなく先進的な雰囲気を感じます。
これは電子ピアノなのですが、譜面台のところに大型ディスプレイを搭載しています。そして、スマホと同じAndroidを搭載し、AmazonのAIであるAlexaに対応しています。
おそらく、譜面はすべて電子譜面、自動演奏も可能、さらにはレッスンはこのディスプレイを通して遠く離れた先生から受けられるとかそういうものなのでしょう。
音はすべて電子的に生成
そして、電子ピアノだけあって音はすべて電子的に生成されます。
音源部やスピーカーや専用に開発され、複数のスピーカーから出力される音声を合成することで理想的なグランドピアノの音を再現しているそうです。
ピアノも木でできている楽器ですのでその音は木の品質に依存しています。環境破壊等でいい材料が手に入らなくなっていく一方、技術の進歩が進むと電子的に生成した音の方がいい音になる時代が来るのではないかと思います。
クラシックギターはこれからどうする?
翻ってこのサイトの主題であるクラシックギターについて考えると、こういった完全電子化の動きというのはなく、立ち遅れているように思います。
最近はやりのダブルトップ技術は1つの方向性だとは思います。単板に比べれば木そのものの品質に頼る割合は低くなるでしょうから、今は高級ギターにしか使われませんが、この技術が浸透すれば安いギターでも大きくていい音が出るのだと思います。
また、ヤマハのトランスアコースティックギターも表面板を電気的に振動させるという意味ではそれほどいい木でなくてもいい音が出せるポテンシャルがあるかと思います。
しかしながら、「完全電子化」という方向性は今のところ感じられません。ギターの中にはすでにエレキギターという完全に電子化されたものがあるので、それとの差別化ができなくなるということはあると思います。
それでも、これからクラシックギターが生き残っていくことを考えると、今のままではいけない部分も多々あると思います。ピアノよりも音が多彩であるクラシックギターは単純に電子化できないところもあるかと思いますが、テクノロジーの進歩とともに人々の嗜好も変わっていくでしょうから、それに追随できる楽器あるための進歩が必要ではないでしょうか。
また、いつまでもいい木が存在しているわけではないので、その状況に対応した楽器というのも必要だと思います。
GPX-F1 Facetを見てそんなことを思いました。