楽器を演奏するうえでテンポを知るには普通メトロノームを使います。手軽なのは良いですが、耳は楽器の音を聞かなくてはいけないのにメトロノームのリズムも耳で聞かなくてはいけないのは意外と難しいです。Soundbrenner Pulseは振動でリズムを教えてくれるという新しいメトロノームです。
耳でリズムを取りながら耳で楽器の音も聞かなくてはいけない従来のメトロノーム
従来型のメトロノームというとこんな感じかと思います。
音楽室やピアノ教室にあったあれです。最近は電子化されてチューナーと一体型になった製品も出ているようです。
このタイプのメトロノームは使うのもお手軽で一見良さそうなのですが、楽器という「音」を出すものに対して「音」でリズムを伝えてくるため、耳が非常に忙しくなります。
特にまだその曲に慣れていないときなどは音を出すのに精いっぱいでリズムがとれないこともしばしばあります。
また、大音量が出る楽器はそもそもメトロノームの音が聞き取れません。1つの楽器は小音量でもアンサンブルになると大音量になり自分の音すら聞こえないというのはよくあるかと思います。
一応メトロノームは針やLEDでもテンポを伝えてきますが楽譜や楽器を見ているので目は耳よりも余裕がありません。
振動でリズムを伝えるSoundbrenner Pulse
この問題は音楽家の間では広く知られており、Soundbrennerという会社が解決方法として「ウェアラブルメトロノーム」というものを開発しました。これは世界初の製品だそうです。
この製品、見た目の通り腕につけて使うものです。設定したテンポ、拍子、アクセントにしたがって振動することによって音や視覚ではなく触覚でテンポを伝えます。
英語ですが以下の動画を見ると雰囲気はわかるかと思います:
スマホの7倍の振動の力
振動でテンポを伝えるならスマホのバイブレーション機能を使えばいいのでは?とも思います。
しかしながら、スマホのバイブレーションは通知を伝えるためにありそれほど強力ではありません。そもそもマナーモード時に使うものであってそれほど強くすることができないです。
これに対してSoundbrenner Pulseのバイブレーションはスマホの7倍もの力で振動します。
上の動画が振動の強さを比較した動画です。Soundbrenner Pulseの方がかなり強く振動していることがわかるかと思います。
スマホからテンポを設定、複数の設定を入れて本体で切り替えることも
本体はいたってシンプルな腕時計型なので複雑なことはできません。設定は基本的にスマートフォンとつないでアプリから行います。
アプリはこんな感じになっており、様々な設定が直感的に行えます。
うれしいのがテンポの設定を名前を付けて保存できるところです。あの曲のテンポってどれくらいだっけ?としばしば忘れてしまいますが、名前を付けておけばそれを読みだすだけで設定ができてしまいます。また、いちいちテンポ設定を変えることなくロードすれば一発で設定できます。
また、複数のテンポを切り替える際にわざわざアプリを使うことはなく、本体を押すことによってあらかじめ設定されたテンポを切り替えることが可能です。
さらに、単純にちょっとテンポを変えたいのであれば本体の外周がホイールになっており、これを回すことでテンポの調整が可能です。
最大5台までのSoundbrenner Pulseを同期できる
でも、これだと振動は一人にしか伝わらないから、合奏やアンサンブルでは使えないと思うかもしれません。
じつはこのSoundbrenner Pulseには最大5台までのSoundbrenner Pulseを同期して振動させる機能があります。
これをつけばどれだけ大音量で楽器を弾いていても、本番でメトロノームが使えない場面でも、しっかりと同じリズムを共有することができます。
「これくらいのテンポ」が本体をたたくだけで設定可能
テンポを決めるときには必ずしも「四分音符で100」とかではなく、感覚的にこれくらいという風に決めたいときもあります。
メトロノームの場合は「これくらい」をメトロノームで合わせてやる必要がありますが、Soundbrenner Pulseには本体をたたくことでテンポを設定する機能があります。
特に合奏やアンサンブルで役に立つ機能で、 各人が同期したSoundbrenner Pulseを使うことで、「これくらいでやりましょう」を一人が本体をたたくことで示せます。
腕だけでなく体につけることも可能
ただ、本番でみんなが同じ腕時計的なものをしていると目立ってしまう心配もあるかと思います。
そんなときのため体につけるための長いストラップも用意されています:
これを使うと足や胴体に巻き付けることができますので、服の下につけることであたかも使っていないかのように見せることも可能です。
光や音でテンポを示すことも可能
振動でテンポを伝えることがこの機器の特徴とは言っても、音や光の方が便利なこともあります。
Soundbrenner Pulseには従来のメトロノームのように音や光でテンポを示す設定もできます。
アプリは無料で公開、Soundbrenner Pulseがなくても使える便利なメトロノームアプリ
うれしいことにSoundbrenner用のアプリは無料で公開されており、かつSoundbrenner Pulseがなくても使えるメトロノームアプリです。
このアプリはメトロノームアプリとして評価が高く、非常に使いやすいアプリとなっています。ちなみに少なくともiPhone版はちゃんと日本語化されていました。
まずはこのアプリを使って試してみるのがいいかと思います。
ちゃんとしたリズムを知って楽しい演奏を
いや、メトロノームなんて邪魔だ、自分のリズムで弾きたい、という人もいるかもしれませんが、揺れ揺れのリズムで弾かれると聴いている方は気持ち悪くなってしまいます。
また、スケールやトレモロ等、リズムをしっかり守ってやる練習もいろいろあります。
Soundbrenner Pulseを使えばそういった練習が効率よくでき、上達につながるかと思います。
また、合奏やアンサンブルも最初はメトロノームを使って合わせるかと思いますが、同期したSoundbrenner Pulseを使えば合わせるための時間も短くできそうです。
(追記): KORGから同様の機能を持ったメトロノーム SY-1Mが発売されています。振動やスマホとの連携はありませんが、同期台数無制限で安いです。