クラシックギターの弦の比較基準としてよく使われるダダリオのプロアルテ ノーマルテンション(EJ45)をハウザーIII世に張ってみました。やはりプロアルテは相性の心配がなく、安心して使えます。
以下の記事で本サイトの弦のレビュー(70種類以上)や感想、情報記事をまとめています:
音程がよくて、安くて、音の癖がない弦だったプロアルテノーマル
昔からのクラシックギタリストにとって、プロアルテノーマル(EJ45)の印象は以下のようなものかと思います:
- 音程がよい
- 安い
- 音の癖がない
このうち、音程に関しては各社改善をおこなっており、最近ではほとんど差がなくなりました。昔はオーガスチンの青・赤・黒セットはひどいものでしたが、今は演奏に堪えないほどひどいものは稀です。
その意味で、もはやプロアルテにとって音程のよさは強みとはいえません。
また、安さに関してはプロアルテはかなり値上がりしました。この記事を書いている時点で、なんと1セットあたりの定価が4730円(税込)です。
もちろんクラシックギター界の悪しき風習によりここから50%引きとかにはなるわけですが、それでも1セットあたり2,000円くらいします。
昔は1,000円以下で買えるのが当たり前だったので時代が変わったのだなぁという感じです。
ダダリオの他の弦についてはこちらの記事をご覧ください:
音の癖のなさは相変わらず
一方、音の癖がないという特徴は相変わらず昔のままです。
音の癖というとわかりづらいですが、音が重すぎず軽すぎず、甘すぎずきつすぎず、バランスが取れた音になっていることを意味します。
このため、プロアルテのノーマルを試して不満に感じた点を改善すべく弦を探すというベンチマークの比較対象的な役割に使えるのもプロアルテの特徴です。
その意味で私もハウザーIII世を買って最初に試すべきはプロアルテだった気もしますが、在庫があったので先にサバレスを試してしまいました。
ギターの好きな点、きらいな点を考え直すきっかけになる
プロアルテノーマルを張った感想は、楽器が持つ音を引かず足さずそのまま出してくれるというものです。
音に癖がある弦の場合、良くも悪くも楽器の弱点を補強したり、強みをさらに強化したりします。
プロアルテの場合は全体的に癖がないので楽器そのものの音を味わえるのが特徴です。
このため、プロアルテノーマルを張ると使っているギターのどこが好きなのか、どこがきらいなのかを考え直すきっかけになります。
それによりきらいな点を改善するために弦を替えたりサドルやナットなどの調節をしたり、弦留めチップを使ったり、あるいは楽器を買い換えたりするのにつながるかもしれません。
逆にプロアルテノーマルを使って不満点がない、あるいは不満点が小さいということは、その楽器が好きということを意味するでしょう。
テンションが低くて弾きやすいのも良い
プロアルテノーマルのもう1つの特徴として、テンションが低くて弾きやすいという点が挙げられます。
単純な張力が弱いのはもちろん、軽く音が出るのでそれ以上に弾きやすいです。逆に張力が弱くても音が出づらい弦はテンションが高く感じられます。
ノーマルテンションといいながら現在ではライト/ローテンションくらいのイメージではないでしょうか。
こちらの記事でクラシックギターのテンションの低い弦を紹介しています:
クラシックギターの弱点をそのまま持っている=クラシックギターらしさを味わえる
プロアルテのノーマルは「標準的」と呼ばれるだけあり、クラシックギターの弱点をそのまま持っています。
たとえば3弦の音は抜けが悪いですし、4弦は重みがなく、6弦は機敏さがありません。
ただ、それらを含めて「クラシックギター」なので、クラシックギターらしさを味わうという意味では良い弦なのかもしれません。
ハウザーIII世にもよく合う
肝心のハウザーIII世との相性ですが、プロアルテノーマルとの相性は悪くないと感じました。
元々ハウザーの音が好きでこの楽器を買ったので、当然といえば当然です。
ただ、大きな不満はないものの面白みがないのも事実です。癖がないということは言い換えると無難ということもであり、ガツンとしたものがほしい場合は他の弦のほうがよいかもしれません。
私はとりあえずプロアルテとの相性が悪くないということで、あるいみ「保険」ができ、安心しました。
今後の弦の旅においても、困ったらプロアルテノーマルに戻ってこれるというのはよいことです。