ラベラは割と昔からある弦であり有名アーティストも多く使っています。しかし、日本ではいまいちメジャーでない存在でした。そんなラベラですが、どうやら2001というシリーズが日本で正式に取り扱うようになったらしく、盛り上がっています。早速試してみました。
以下の記事で本サイトの弦のレビュー(70種類上)や感想、情報記事をまとめています:
実は1640年代から続く老舗のラベラ
ラベラは何と1640年代から続く老舗の弦メーカーなのだそうです。
最初はイタリアで創業したそうですが、1913年にアメリカに本拠地を移してからはアメリカのメーカーとして運営されています。
家族経営であるのが特徴だそうで、最も古い家族経営の弦メーカーなのだとか。
アンドリューヨークやペペロメロ、山下和仁も使用
そんなラベラですが世界の有名アーティストも数多く使っています。
こちらのページにその一覧が出ていますが、ざっと見ただけでも、
- アンドリューヨーク
- ペペロメロ
- 山下和仁
といった大御所が使っているようです。
高級からリーズナブルまで数多くのラインナップ
弦のラインナップはかなり豊富です。
以下のページでも紹介している純銀製の巻線を使った高級弦から、ギターを学ぶ人用の安い弦まで様々な弦を製造しています。
主力製品の2001
そんなラベラの弦の中で主力と思われるのが2001と呼ばれるシリーズです。
名前が示す通り割と新しい弦で、現代の演奏家や楽器製作者の需要を調査して音作りをしたシリーズなのだとか。
といっても弦の構成自体は割とシンプルで、
- 高音弦: ナイロン (Nylon 202)
- 低音弦: 銀メッキの巻線
となっています。Nylon 202という名前はついているものの割と普通の構成です。
伝統的な音をもとにそれを現代風にするというのは期待が持てます。
5種類のテンション
テンションのラインナップは割と豊富で、ライト、ミディアム、ミディアムハード、ハード、エクストラハードの5種類があります。
公式HPにテンション(張力)情報がなかったのでStrings by Mailのものを転記しました:
ライト | ミディアム | ミディアムハード | ハード | エクストラハード | |
1弦 | 6.886 kg | 7 kg | 7 kg | 7.53 kg | 7.53 kg |
2弦 | 5.189 kg | 5.4 kg | 5.4 kg | 5.59 kg | 5.59 kg |
3弦 | 5.189 kg | 5.6 kg | 5.6 kg | 5.59 kg | 5.59 kg |
4弦 | 6.387 kg | 5.6 kg | 5.6 kg | 7.29 kg | 7.29 kg |
5弦 | 5.788 kg | 5.6 kg | 6.7 kg | 6.69 kg | 7.78 kg |
6弦 | 5.688 kg | 6 kg | 6.5 kg | 6.08 kg | 7.38 kg |
合計 | 35.126 kg | 35.5 kg | 36.3 kg | 38.72 kg | 41.16 kg |
なかなか面白いテンションの変え方です。2弦と3弦はあまりラインナップによってテンションを変えない一方、低音弦を大きく変えています。このテンションが公式のものなのかStrings by Mail独自のものなのかわかりませんが、4弦のテンションがライト→ミディアムで減っている点も興味深いです。
テンションの絶対値についてはメーカーごとに計り方も違うため単純比較はできませんが、このシリーズでのテンションのかえ幅は広く、自分に合ったものを見つけることができそうです。
(追記): 弦のテンションのバランスについては以下の記事で詳しく書きました:
今回はミディアムテンションを試しました。
アメリカ製を前面に押し出したパッケージ
パッケージはこんな感じです:
今時のつるつるしたパッケージではなく、デザインも素材も昔ながら感を出しています。
裏にはアメリカ製であることをしっかりアピールしつつ、この弦の特徴が書かれています。
面白いのは弦1本1本にさいころのような弦の番号を示す駒がついている点です。これなら間違えなくていいし、プロアルテのようにシールの跡がべとべとすることもありません。取れないようにこれをつけてから弦を結んであります。手間がかかってそうです。。。
弦はすべて1つのまとめて防湿袋に入っています。
高音弦はかなり透明度の高いナイロン、低音弦は比較的しなやかな巻弦です。触った時に手に吸い付くような感触があり、非常に弾きやすそうな印象を受けました。
抜けの良い高音、楽器自体が鳴っている音がする
早速張って試してみました。
まず、高音弦は非常に抜けがいい音がします。こもることなく明るい音でよく鳴ります。
よく鳴るといってもカーボン弦のように鋭い音が高速で飛んでいくのではなく、弾ける音が楽器自体を鳴らしている音がします。
これはなかなかいい弦です。
張っているときにも感じましたが非常に手触りがよく、スラーもやりやすいし弾きやすいです。
あまり弱点がない弦のように感じました。
同じような弦にプロアルテがありますが、そちらよりも軽くて抜けがいいような。
音の幅が広い低音弦
低音弦もこもることがなくしっかりと鳴ってくれる印象です。
親指の弾き方にしっかりと追随して鳴ってくれます。
重低音というよりはスピード感のある低音に感じます。
こちらも手になじんで弾きやすいです。
弾いていて楽しいオール4の優等生、一度試す価値はあるかも
全体的に受けた印象は弱点がないというものです。
高音弦は3弦も含めてしっかり鳴るし、低音弦もこもることなくなるし、しかも弾きやすい。
一方でこれといった強みがないのも事実です。3弦はフロロカーボンに比べればならないし、ハイポジションの抜けもそれほど良いわけではない。
ただ、弾きやすさとそつのない音があいまって、弾いていて楽しい弦であると思いました。良い音が出るといっても弾きづらい弦では楽しい音楽は奏でられません。弾いている本人が楽しい弦というのが一番であるということを再認識させられました。
個人的には気に入ったので手持ちの在庫がなくなったらまた試したいと思います。次はミディアムハードかな。
追記: ミディアムハードを買ってみました。Value 10 Pakという珍しいセットです。