ロメロファミリーといえば、クラシックギター界のなかでは知らない人がいないほどのロイヤルファミリー。特にペペ・ロメロの名前は世界的に有名です。そのペペ・ロメロの名前を冠した弦が「ペペ・ロメロ弦(Pepe Romero Strings)」。今回はその基本となる高音弦がナイロンでノーマルテンションのものを試してみました。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています:
ギターとウクレレの製作家であるペペ・ロメロの息子
この弦を販売しているのは、ペペ・ロメロの息子でありギターとウクレレの製作家のペペ・ロメロジュニアです。
ペペ・ロメロジュニアは幼い頃からトーレス、サントス・エルナンデス、ハウザーなどの世界的に知られるギターを弾いて育ちました。
そして、18歳の時にDake Traphagen氏の工房にギターを作りに行き、ギターの完成と同時に製作家として生きていくことを決意したそうです。
その後、ミゲル・ロドリゲス、ロマニリョス、ヌエル・コントレラス2世、ブレヒンガーといった有名な製作家に師事しました。
特に、エドモンド・ブレヒンガーとは友人となり、一緒に2本のギターを製作したそうです。
ペペ・ロメロジュニアのギターはあまり日本では売られていませんが、海外ではパコ・デ・ルシアが「Ojos Verdes」のギター・パートをすべてペペ・ロメロの2012年製ギター#207で録音するなど、人気があるようです。
ちなみに、公式HPで紹介されている値段は3,599ドル(約40万円)。思ったよりもリーズナブルです。
過去の販売を調べたところ、日本では2008年の楽器が77万円で売られたことがあるようです。
ラベラとの共同開発による弦
このペペ・ロメロ弦は、ペペ・ロメロジュニアが独自開発したわけではなく、アメリカの有名弦メーカーであるラベラとの共同開発で生まれたものです。
ラベラについてはこちらの記事を参照ください:
さすがにギター製作家が1から弦を開発するのは難しいのでしょう。
他にも製作家のブランドで販売されている弦がありますが、おそらくはこのように他メーカーとのコラボ、あるいは他メーカーの弦をそのまま売っているケースが多いと思われます。
ラベラらしい丁寧なパッケージ
早速ペペ・ロメロ弦を開封していきたいと思います。
表面には大きくラベラのロゴがあり、ラベラとの共同開発でできたことが主張されています。
裏面にはペペ・ロメロジュニアとラベラがこの弦を作ったことや、6つの弦のバランスを完璧にし、強く引いても弱く弾いてもクリアでリッチなスパニッシュトーンが出るように開発されたことが書かれています。
パッケージを開けると、ペペ・ロメロの写真が。右側がジュニアでしょうか?
また、ラベラの弦と同じく、窒素が封入された無酸素パッケージが使われていることが書かれています。長期間保存しても安心です。
各弦には、これもラベラと同じく、弦番号を示したサイコロが取り付けられていることが書かれています。
全体的にラベラらしく丁寧な梱包です。
張った見た目は普通のナイロン弦です。高音弦の透明度は比較的高いといえます。
現代的なナイロン弦、安定が早くタッチが軽い
音の感想としては、非常に現代的なナイロン弦であると感じました。
昔のナイロン弦のように、なかなか音が安定せず、しっかりとしたタッチで弾かないといい音が出ないというものではなく、安定が早く、軽いタッチでしっかりとした音が出ます。
なんとなく、ラベラ2001を元に作られているような。。。
ノーマルテンションということで、テンションはごく普通です。高くも低くも感じません。
音の傾向としては、倍音が豊かにあるタイプで、弾いていて気持ちが良いです。
音の抜けも良く、こもった感じはしません。
じゃあ、ラベラ2001と違うのか?といわれると。。。すみません、よくわからないです。
ただ、非常に安定感があって、どんな楽器にでもよく合う、優等生的な弦ではないかと思います。
日本では手に入りづらいけどペペ・ロメロが好きなら
このペペ・ロメロ弦、日本では扱っている業者がないらしく、手に入りません。
私はStrings by Mailを使って輸入しました。
輸入してまで試してほしいかと言われると、正直ラベラ2001でも良いような気もします。
ただ、決して悪い弦はないですし、ペペ・ロメロが好きだったり、ペペ・ロメロジュニアの楽器を使ってたりするなら試しても良いかと思います。
私はペペ・ロメロ弦の他のものを試すかどうかは検討中です。カーボン弦とかあるみたいですが、どうしたものか。