最近、割と新しめの弦ばかり張ってきたので昔ながらの弦を張ってみました。サバレスの白ラベルです。日本でも人気のあったサバレスのピンクラベルのローテンション版です。
以下の記事で本ブログの弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています
研摩弦の高音弦が特徴の520 Traditional Series
ピンクラベルも今回レビューする白ラベルも、どちらも研磨弦の高音弦が特徴です。どちらも520 Traditional Seriesと呼ばれる製品群に属しています。
サバレスの製品については以下の記事も参照ください:
昔はナイロン弦の精度が今よりも悪く、開放弦と12フレットを押さえた音がかなりずれているということもよくありました。これに対する伝統的な対応策が研磨弦です。
音のずれは弦の直径が一定でないのが原因なので、弦を研磨することで全長にわたって真円に近づけるのが研磨弦です。最近では研摩しなくても精度が上がってきたためか、新製品ではあまり見られなくなりました。
かなりテンションが低い520B
今回試す白ラベルはかなりテンションが低い弦です。メーカー公称で全弦で37.8kgしかなく、特に6弦は5.8kgしかありません
1弦 | 7.135002 |
2弦 | 5.697116 |
3弦 | 5.606397 |
4弦 | 7.325511 |
5弦 | 6.245962 |
6弦 | 5.805978 |
このためか日本ではあまり売られておらず、もっぱらミディアムテンションの520Rが売られているようです。
高音弦の端が太くなっている
では、まずはパッケージを開けていきます。
中はこんな感じです。ピンクラベルと同じく、1つ1つの弦が独立して包装されています。
紙の裏を見ると高音弦は研磨弦であることが明記されています。1つ1つにバーコードがついているので、バラ弦としても売ることを想定しているのでしょうね。
珍しいことに高音弦の端が焼かれて太くなっていました。このようにしてくれている弦はタイプはロイヤルクラシックスくらいしか知りません。なんで同じサバレスのニュークリスタルはしてくれないんでしょうね。
研磨弦ということでかなり不透明かと思いきや、意外と透明感もありました。上の写真の3弦が研磨弦、1,2弦が通常のナイロン弦です。言われてみると透明感が低いですが、言われないと見た目だけではわからないのではないでしょうか。
現代的な奏法だとノイズが大きいか
早速弾いてみた感想は、研磨弦は現代的な奏法だとノイズが大きすぎるかな、という点です。
現代の奏法は弦に対して斜めに爪を滑らせて引くわけですすが、この「滑らせる」時にどうしても研摩弦と爪の間にノイズが生まれます。
試しに弦に対してまっすぐアポヤンドで弾いてみたところ、ノイズが軽減されました。これもあって最近は研磨弦が敬遠されているのかもしれません。
音程に関してはさすが研磨弦、という感じでした。
音質的には素朴、19世紀ギターやリュートのようなイメージ
研摩弦のことは忘れると、全体的な音のイメージとしては「素朴」です。
テンションの低さもあいまって、19世紀ギターやリュートを弾いているような印象を受けました。
なんというか、全体的にコンプレッションがかかって中音が強調される感じです。低音にあまり芯を感じないのは最近はやりの弦とは対照的かな、と思います。
素朴ではあるのですが、研磨弦のせいで奏法によっては高音弦に甘さを感じません。ちょっと中途半端になっているような気もします。
人によってはあうかもしれないけど、万人向けではないかな
全体的な素朴な音は悪くないのですが、どうしても研摩弦が邪魔をしてきて、あまりいい印象を受けませんでした。研磨弦がなぜ流行らないのか分かった気がします。
最近の技術は向上しているのでしょうから、爪との間にノイズを生まないくらい細かい研摩とかできないものなのでしょうか。
とはいえ、昔ながらの弾き方をしていて、素朴な音を求めている人にはいいかもしれません。