弦の感想:ハナバッハ 黒 + オーガスチン 赤(Hannabach MT + Augustine Red)

オーガスチン赤とハナバッハ黒の組み合わせ
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世の中には「定番の組み合わせ」と呼ばれるものがあり、クラシックギター弦も例外ではありません。昔から異なるメーカー同士の組み合わせとして人気が高いのがハナバッハ黒とオーガスチン赤の組み合わせ。ギターショップからの信頼が厚いこのセットをレビューしたいと思います。

多くのギターショップがおすすめする組み合わせ

昔から鉄板の組み合わせとして知られるのが以下のクラシックギター弦セットです:

  • 高音弦:ハナバッハ 黒
  • 低音弦:オーガスチン 赤

この組み合わせは昔から人気が高く、多くのギターショップが販売するギターのデフォルト弦として利用しています

たとえばメディア・カームでは90年代までこの組み合わせを在庫ギターに使っており、現在でも名器クラスの楽器に多く使っているとのことです。

また、ギターショップアウラも「アウラ推奨セット」としてこの組み合わせを販売していますし、私がフォルテ楽器で購入したハウザーIII世も最初はこの組み合わせでした。

ギターショップはいかに多くの人に楽器の音がよく弾きやすいと感じてもらえるかが勝負なので、いかにこの組み合わせが優れているのかがうかがえます。

落ち着きと荒さの絶妙なバランス

実際にこの組み合わせを使ってみたところ、確かに多くのギターショップで使われているだけのことはあると感じました。

高音弦のハナバッハはどちらかというと落ち着いた響きが特徴で、荒さや輝きよりはどっしりとした音が特徴です:

これに対してオーガスチンの赤はどちらかというと荒々しさや輝きを主体にした弦であり、ハナバッハとは異なる特徴を持っています:

ところが、高音弦をハナバッハ、低音弦をオーガスチンにするとお互いの悪いところを打ち消し合い、よいところが残ると感じました。

オーガスチンの荒々しすぎるところが抑えられ、輝きやスピード感が残ります。

また、オーガスチン赤の高音弦は音程が悪いものが多いとされていますが、ハナバッハに変えることで改善可能です(最近はオーガスチンもよくなった気がしますが)。

一方、ハナバッハの地味すぎるところがオーガスチンによって改善され、適度に華やかに。

まさに「マリアージュ」と呼ぶにふさわしい変化です。

テンションも高くなく、弾きやすさにも優れています

価格が高いのが難点

この組み合わせの欠点は価格です。

クラシックギター弦は一般的にセットで買ったほうが安く、バラ弦は高い傾向になります。

ハナバッハとオーガスチンの組み合わせはメーカー公式ではないため、バラ弦で買わざるをえず、残念ながら割高になってしまいます。

また、高音弦と低音弦の価格比はメーカーごとに異なるのですが、オーガスチンは低音弦が高く、ハナバッハは高音弦が高いのが特徴です。

定価を比べると以下のようになります:

高音弦3本のセット低音弦3本のセット
オーガスチン 赤792円1,958円
ハナバッハ 黒1,452円2,178円

ご覧の通り、オーガスチンの低音弦3本のセットは高音弦3本のセットの倍以上の価格ですが、ハナバッハは1.5倍程度でしかありません。

つまり、高音弦:ハナバッハ黒 + 低音弦:オーガスチン赤 の組み合わせは、お互いの高いほう同士を組み合わせたものということになります。

各ギターショップでもこの組み合わせは実売で2,000円以上で販売されており、ハナバッハのセットよりも少し安い程度の売価です。

どんなギターにでも合う弦を探しているならこの組み合わせ

ハナバッハ黒とオーガスチン赤の組み合わせは、お互いのよいところを高め、悪いところを打ち消す、素晴らしい組み合わせだと感じました。

各ギターショップが在庫ギターに使っているのも頷ける鉄板の組み合わせです。

バラ弦での購入になるため価格が割高なのが欠点ですが、バラ弦ですので、高音弦はたまにしか交換せず普段は低音弦のみ交換するようにすればランニングコストを抑えられるでしょう。

弦の選択に悩んだら試してみてください。

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