これまでいくつか右手の爪に関する記事を書いてきましたが、今度は左手の爪についてです。あまり左手の爪に関して書かれていないことが多いですが、意外と左手の爪の長さも重要です。結論から言うと左手の爪はできるだけ短く切るべきですですが、例外もあります。
ギタリストの爪に関する記事は以下のまとめを参照ください:
左手の爪が長いと指先で弦を押さえられない
一番の理由は弦を押さえるときの問題です。
ギターの弦を押さえるときは原則として指先で抑えるべし、といわれています。
しかしながら、長い爪で弦を押さえると以下の写真のように爪が指板にあたって押さえられません(長い爪の例を示すために右手の指で押さえています):
こうなると指の腹で押さえざるを得ません。
ちょっとくらいなら伸びいていても良い?
右手の爪くらい伸ばすことはなくてもちょっとくらい伸ばしてもいいのでは?と思うかもしれませんが、ちょっと伸びた爪が問題になることもあります。
特に左手を大きく開くとき、左手の人差し指はフレットのぎりぎりを押さえることがよくあります。そうなると、人差し指の左側で指板を押さえようとしますが、この時にちょっと伸びた爪がフレットに当たります。
人差し指に限らず指を開くときにはこうなりがちです。
また、上昇スラーの時も爪がフレットに当たってうまく音を出せないことがあります。
特に難しい曲でこの問題が起きるので、ちょっと伸びたら切るべきです。
そもそもなぜ指先で弦を押さえなくてはならないのか?
では、そもそもなぜ指先で弦を押さえなくてはならないのでしょうか?
実験をすればすぐにわかります。まず、指先で床を押してみてください:
次に指の腹で床を押さえます:
指の腹で抑えた時は指先の関節(第1関節)が曲がってしまったのではないでしょうか?こうなると弦を押さえるための力が第1関節を曲げるために使われてしまい、弦をしっかり押さえられません。
力がうまく伝わらないということはより強い力が必要になり、脱力ができないばかりか故障の原因となります。
爪先と指先の間が長い人は例外
ただし、爪先(透明な部分の先端)と指先が長い人は例外です。
あまりにも爪先と指先の間が長いのに短くしてしまうと、弦を押さえるときに滑ってそこに弦が入りこんでしまうことがあります。
こうなると逆に肉の部分のせいで弦が押さえられなくなってしまいます。また、地味に痛いです。
爪がない部分の肉は動きやすく弦を押さえた時に動いて滑り落ちやすくなってしまいます。
どの程度伸ばすべきかは人それぞれですが、やみくもに短くするのは良くありません。弦が爪側に滑り落ちてしまう人は少し伸ばしてみてください。
私の場合、小指がこれにあてはまるのであえて少し伸ばしています。
スラーを弾くにはちょっと長いほうがいいという人も
また、下降スラー(プリングオフ)が苦手な人はちょっと伸ばしてみるのも手です。
下降スラーでは左手の指先で弦を弾いて音を出すわけですが、爪先(透明な部分の先端)と指先の間が長いと指先で弦をひっかける際にここが伸び、なかなか弦を弾けません。また、弾けても音が小さくなってしまいます。
少し爪を延ばして爪先と指先の間を短くすることで、下降スラーの際に適度に指に弦が引っかかるようになり、下降スラーがしやすくなります。
親指の爪は短いほうがいい
これまで説明してきたのは左手の人差し指、中指、薬指、小指の話ですが、親指に関しては常に短いほうがいいと思います。
クラシックギターの場合、左手の親指はネックの裏側に置きますが、このとき他の指ほど常に先端で押さえません他の指の押さえに合わせて柔軟に押さえ方を変えていくイメージです。
時には先端で押さえることもあるわけですが、この時に爪が長いとネックに爪が刺さります。
クラシックギターのネック及びその塗装は爪よりも弱いので爪でへこんでしまいます。
だからといって折れるということはないですが、爪の分だけ押さえる角度が思っていた角度から変わりますし、ネックも傷つくので、短くしておいた方がいいかと思います。
原則は短くだが、自分の爪の特徴にあわせて調整すべし
左手の爪の長さは原則としてはできるだけ短くすべきです。指先で弦を押さえるためにはどうしても長い爪は邪魔になります。
一方で、人それぞれで爪の個性があり、この原則が当てはまらない場合も多々あります。
まずは短くして試し、うまくいかない指があればその指の長さを1つ1つ調整していくのがいいかと思います。
左手の爪を深爪せずに切るには電動爪切り機を使うのも良いです。