ギター弾きにとってギタースタンドは必ずしも必須ではありませんが、あると演奏や練習がはかどります。また、地面にベタ置きするよりも蹴ったり踏まれたりするリスクは下がるでしょう。ただ、ギタースタンドには倒れるという別のリスクも。その意味で安定性が大事なので、安定性で定評のあるHercules(ハーキュレス)の定番ギタースタンド “GS414B PLUS” を購入してみました。噂に違わぬ安定性と、AGSによる利便性が両立したまさに定番スタンドでした。

Herculesのギタースタンドについてはこちらの記事で選び方を解説しています:
必須ではないがあると便利なギタースタンド
ギタースタンドは必ずしもギターの演奏に必要なアイテムではありません。
演奏しないときはケースのなかに入れれば良いですし、なんならその辺に転がしておいても。
ただ、ちょっとトイレに行くとか、近くのものを取りに行くのにいちいちケースに入れるのは面倒ですし、その辺に転がしておくと蹴られたり踏まれたりといったリスクが生まれます。
そんなときギタースタンドを使えば、ケースに入れるよりも簡単に、その辺に転がしておくよりも安全にギターを避難可能。
また、部屋の温度や湿度をきちんと管理できればケースに入れずに常にスタンドに置いた状態で保管することも可能でしょう。
一方、ギタースタンドはギターという長い楽器を縦に保持する構造上、ギタースタンドが倒れる可能性が否定できません。その意味でギタースタンドを選ぶときは安定性が重要といえます。
これまでのギタースタンドの不満点
私はこれまで現代ギターのGGWS-1Sというギタースタンドを使ってきました:
このスタンドはこのスタンドでよかったのですが、不満も。
まず、ギターが手前に転倒するのを防止するすべがありません。
横と後ろには支えがあるのですが手前にないので、後ろから何かがぶつかったらギターが倒れる危険性があります。
また、本体自体が軽いというのも不満点の1つです。
これは善し悪しではあるのですが、軽いことによって倒れる危険性が高まります。
もう1つ、ギターを置く位置が低いので、置いたり取り出したりするのが意外と面倒というのも不満点の1つです。少し身体をかがめてどっこらしょとギターを扱うイメージでした。
このような不満点と、ギターを1本追加で買ったことから、新たなギタースタンドを探していました。
Herculesのギタースタンド “GS414B PLUS” を購入
いろいろと悩んだあげく、新たなギタースタンドとして、定番のHercules GS414B PLUSを購入しましたのでレビューしていきたいと思います。
Herculesの定番ギタースタンド
Herculesはさまざまなギタースタンドを販売していますが、そのなかでもGS414B PLUSは一番人気の定番品です。

Herculesの他のギタースタンドについてはこちらをご覧ください:
人気が高く、これを選んでおけば間違いないと言われています。
一方で、Hercules愛用者の多くはアコギやエレキの方々で、クラシックギターに関する情報があまりないのも事実。
特にHerculesの特徴であるオートグリップシステム(AGS)がクラシックギターでうまく動作するかは少し不安でした。
結論から言うと全く問題なく使えましたので、クラシックギターでもおすすめです。
Herculesは箱だって黄色と黒
GS414B PLUSの箱はこんな感じです:

Herculesといえば黄色と黒ですが、箱もしっかり黄色と黒になっています。
中には足部分と支柱部分が分解された形で収納されています:

手前にあるのはNINA(Narrow Instrument Neck Adjustment)と呼ばれるアタッチメントでこれを取り付けることで幅28mmまでのネックに対応できます。クラシックギターの場合はもっと太いので必要ありません。
1つ1つの部品が重厚で丁寧な作り
部品がこれだけしかないこともあり、組み立ては非常に簡単。
まずは譜面代のように足を広げます:

そして支柱を挿したら完成です:

上の写真を見るとわかりますが、使っているときに見えない場所まで丁寧に作られています。
また、1つ1つのパーツを持ったときの重厚感が半端なく、これは丈夫だと直感でわかるレベルです。
支柱は高さ調整が可能なのですが、ベース部分の上部にあるボタンを押しながら支柱を上下させるだけ:

ネジを緩めるなどの動作は必要ありません。
AGSはクラシックギターでも有用
Herculesの代名詞ともいえるAGSですが、クラシックギターでも非常に有用でした。
AGSの原理自体は非常に単純です。
上からネックを保持する部分を押すと支柱に対して保持する部分が下にスライドします。そして、スライドするとともにネックが前に飛び出さないよう腕が持ち上がるという仕組みです:

実際にクラシックギターをAGSに乗せるとこんな感じです:

ネックよりも少し太いヘッド部分がAGSに乗っかり、それによって保持する部分が押し下げられ、腕が展開されます。
たったこれだけのことなのですが非常に使いやすく、さすがは定番と言われるだけのことはあると完動しました。
ちなみにネックやヘッドが当たる部分は柔らかいSFFに守られており、ガンガンぶつかるということはありません。
ギターをAGSにかけて力を抜くと、ギターの下部が足部分についているSFFに接し、安定します:

横から見るとGS414B PLUS自体が少し後ろに傾いているのがわかり、ギターの重さをうまく利用してバランスを取って安定性を高めています:

ちょっとやそっと触っただけではびくともせず、非常に安定性が高いです。
高さがちょうど良い
GS414B PLUSが非常に使いやすいと感じたのは、AGSに加えて高さ調整ができるという点です。
座った状態でギターを置いたり取り出したりするのにちょうど良い高さに調整できますので、身をかがめたり、あるいは立ったりする必要がありません。
これらの特徴から、こんな感じで気軽かつ手軽にギターを置いたり取り出したりできます:

重さと大きさは安定性とのトレードオフ
GS414B PLUSにも弱点はあります。
まず、重さが1.8kgあるという点。
これはしっかりとした材料と作りで作ると仕方ないところではあります。
一般的なクラシックギターよりも重いので、車など出ない限り外に持ち出して使うのは現実的ではありません。
また、サイズの大きさも欠点の1つです。
これまで使っていた現代ギターのスタンドと比べるとこれくらいの差があります:

足を広げたときに専有する面積が広く、もちろんこのために安定性が高いのですが、ギタースタンドを置くための場所がある程度必要です。
使っていないときは押し入れなどに入れておきたいという方も、たたまないとなかなかしまうのは難しいかもしれません。
ヘッドが小さい楽器も注意
もう1つの注意点は、ネックとヘッドの幅の差がほとんどない楽器の場合AGSに引っかからない可能性があるという点です。
上で説明したとおり、AGSはヘッド部分の出っ張りを利用して動作します。逆にいえば、ネックとヘッドの幅の差が無い場合、どこにも引っかからないためギターが保持できません。
とはいえ、私が使っているハウザー2世は比較的ヘッドがシンプルな楽器ですが、問題なく使えました:
ネックとヘッドの幅の差が無い楽器は少なくともクラシックギターでは見たことがないのでほとんどのケースでは大丈夫だと思います。
逆にネックの幅が広すぎる楽器はAGSにはまらないので使えません。とはいえ、公称で52mmまで対応とされており、私の52mmの楽器で試すと目測でまだ0.5mmくらいは余裕がありました。
こちらも極端な楽器出ない限りは気にしなくても良いかと思います。
GS405Bも検討の余地あり
Herculesスタンドの選び方の記事でも書きましたが、私はGS414B PLUSを買うべきかGS405Bを買うべきか最後まで悩みました。
GS405Bは上の写真でもわかるとおり普通のギタースタンドの構造となっており、AGSなどのHerculesらしさはありません。
ただ、重心はGS414B PLUSよりも低そうですし、ギターをしたから支えているので安心感もあります。
ギターを掛けたり取り出したりする際の利便性はGS414B PLUSのほうが良いかと思いますが、安定性を重視したい場合や、ネックやヘッドの幅に不安がある場合はGS405Bのほうが良いかもしれません。
良いギタースタンドは演奏や練習を助ける
ギタースタンドをGS414B PLUSに変えた結果、私は演奏や練習が楽になりました。
これまでのギタースタンドだと意識しない部分でストレスになっていたことが消え、身体にも心にも優しくなったように思います。
また、安定性が高くなったのでギターをスタンドに掛けた状態で気軽にトイレなどに行けるようになりました。これまではケースに入れておくかどうか迷っていたので、これも良い変化です。
一般的なギタースタンドに比べれば高価ですが、作りがよくて長持ちしそうですし、持ち出すようなものではないので壊れる機会も少なそうです。
ギター修理代を節約すると思って、Herculesのスタンドを買ってみてはいかがでしょうか?