ギターは木でできているものなので湿度には敏感です。特に乾燥しすぎると板が割れてしまうことも。。。日本は四季を通じて湿度の変化が激しいので特に注意が必要です。目的に合った正しい湿度調整剤を選んで大事なギターを守りましょう。
正しい湿度管理のノウハウについてはこちらの記事を参照ください:
大きく分けて3種類ある湿度調整グッズ
ギター用の湿度調整剤は大きく分けて3種類あります。
加湿剤/加湿器
1つめは加湿剤あるいは加湿器です。
このタイプの湿度調整グッズは湿度が低いときに湿気を供給するためのものです。湿度が低くなりすぎると木が割れてしまいますので非常に重要です。
この手のグッズは湿度が低いときには役に立ちますが、湿度が高いときには役に立ちません。
除湿剤/除湿器
2つめは除湿剤あるいは除湿器です。
これはその名の通り湿度を除くためのもので、湿度が高すぎる場合に湿度を下げてくれます。湿度が高すぎると接着剤が緩くなったり、塗装に影響が出たりします。また、金属部分がさびることやカビが生えることもあります。
湿度が高いときには役に立ちますが、湿度が低いときに役に立ちません。
湿度調整剤/調整器
最後が湿度調整剤あるいは調整器と呼ばれているものです。
こちらは湿度を一定に保つように働き、湿度が高いときも低いときも働いてくれます。
ただし、湿度が高い/低い状態が長く続きすぎると調整ができなくなってしまいます。また、一般的には加湿/除湿専用のグッズに比べると効果が弱いです。
2種類のセットの仕方
また、セットの仕方でも2種類あります。
ギターケースに入れておくもの
1つめはギターケースのギターとケースの間などに放り込んでおくだけのものです。
このタイプのものは非常にお手軽です。ケースの中に放り込んでおくだけなのでギターの出し入れの際に特にやることはありません。
一方、ギターの湿度に影響されやすい場所を狙って置けなかったり、局所的に加湿/除湿されてしまう可能性もあります。
サウンドホールにセットするもの
もう1つはサウンドホールにセットしておくタイプのものです。
一番湿度の影響を受けるのは表面版と裏板なので、そこを狙ってサウンドホール内の湿度を調整してくれます。
このタイプは非常に効果的である一方、毎回ケースから出し入れするたびに付けたり外したりしなくてはならないのが面倒です。
人気のおすすめギター用湿度調整グッズ
この前提知識を元に人気のおすすめギター用湿度調整グッズを紹介します。
メーカー | 商品名 | タイプ | セット | コメント |
フェルナンデス | Dr. DRY | 湿度調整剤 | ケース | 人気があってお手軽な湿度調整剤 |
ダダリオ | Acoustic Guitar Humidifier GH | 加湿器 | サウンドホール | 水分を含ませたスポンジを入れてサウンドホール内にセット |
ダダリオ | Humidipak Maintain Kit PW-HPK-01 | 湿度調整剤 | ケースおよびサウンドホール | 値段は張るがケースにもサウンドホールにも使えて便利 |
オアシス | Guitar Humidifier OH-1 | 加湿器 | サウンドホール | 水を吸わせるとジェルになるためギターに水がこぼれない |
教育楽器 | ニューギターペット | 湿度調整剤 | ケースおよびサウンドホール | クラシックギターといえばこれ、という定番品 |
MUSIC WORKS | 調湿機能付き フレットガード (ギター向け) FD-02/BK | 湿度調整剤 | 指板 | 指板に置くというタイプの湿度調整剤 |
S.I.E. | ミュージックモイスチャー | 湿度調整剤 | ケース | 古美術品や骨董品の湿度調整に使われるモンモリロナイトを使用 |
教育楽器 | DRY FORTE(ドライフォルテ) | 除湿剤 | ケース | 珍しい除湿専用の湿度調整剤 |
Pedi | MAGIC DEHUMIDIFIER | 除湿剤 | ケース | 半永久的に使えて、環境と楽器にやさしい除湿剤 |
以下からそれぞれの詳細を紹介します。
フェルナンデス ドクタードライ (FERNANDES Dr.DRY)
楽器グッズで有名なフェルナンデスが出している湿度調整剤です。
私もこの湿度調整剤を使っています。
中にはシリカゲルが入っており、湿度が高いときも低いときも湿度を一定に保ってくれます。
割と安くてよく効くので重宝しますが、湿度が低い/高い日が続く季節は1週間に1度はDr. DRY自体を電子レンジに当てたり蒸気に当てたりして正常に湿度を調整してくれるようにメンテナンスが必要です。
また、1個ではとても足りず、4個~8個くらいケースの中に入れるのをお勧めします。
ダダリオ Acoustic Guitar Humidifier GH
こちらは加湿専用のグッズです。
水分を含ませたスポンジを中に入れ、サウンドホールにこれをセットします。するとスポンジから湿気が放出され、ギターの内部の湿度を上げるという仕組みです。
こちらは加湿用としては強力なので冬など乾燥が続く季節には頼りになります。
一方、湿度をある値に保つような機能はないので、湿度が高い日に使うと湿度を上げすぎる可能性もあります。必ず湿度計と一緒に使いましょう。
ダダリオ Humidipak Maintain Kit PW-HPK-01
同じダダリオでもこちらは加湿も除湿もできる湿度調整剤です。
湿度を一定に保つ薬剤が入っており、1つをギターのボディーに、1つをネック置くことで2~6ヶ月の間湿度を保つとしています。
ギターの塗装に影響を与えないソフトポーチもついており、これに入れて使うことでサウンドホール内に入れておくことも可能です。これによりより効率的な湿度調整ができます。
Dr. DRYなどに比べると値段が高いのが難点ですが、それだけあってなかなか強力な湿度調整剤です。
オアシス Guitar Humidifier OH-1
色々とギター用の便利グッズを販売しているオアシスの加湿器です。
本体内に水を入れると薬剤がジェルになり、そこから徐々に放湿していきます。ジェルのためたとえ倒したとしても水がギターにかかることがありません。大体2~4週間持つそうです。
セット方法もサウンドホールに弦に引っかける形で置くだけなのでお手軽です。
こちらもやはり湿度を一定に保つようなものではないので湿度計での湿度管理が必要です。
追記:オアシスの加湿器についてまとめてみました
教育楽器 ニューギターペット
なんとなくレトロな見た目と相まってクラシックギターといえばこれという湿度調整剤です。
ケースの中に入れるか、弦とサウンドホールの間に挟んで使います。
定番だけあって使っている人も多いのですが、こちらもやはりあまり強力なものではないので複数個ケース内に入れておく必要があります。
MUSIC WORKS 調湿機能付き フレットガード (ギター向け) FD-02/BK
ケースの中に湿度調整剤を置くようなスペースがなかったり、サウンドホールには置きたくないという人でも使える湿度調整剤です。
この見た目でわかるとおり、指板において使う湿度調整剤です。本来の目的は指板と弦の間におくことで弦とフレットが直接触れて摩耗するのを防ぐためのグッズです。それにどうせなら湿度調整剤も付けたらどうか、というわけで湿度調整効果も加わっています。
弦のところに置いてあるので弦の錆防止効果も期待できます。
ギター出し入れの時に外したり付けたりは少し面倒かもしれません。
S.I.E. ミュージックモイスチャー
古美術品や骨董品の保湿にも使われるというモンモリロナイトを使用した湿度調整剤です。
シリカゲルを使用した安い湿度調整剤に比べると値が張りますが、それだけあって湿度の調整の速度は速いです。
ただし、やはり無限に湿度を吸ったり吐いたりできるわけではないので、季節に応じて乾燥させたり上記を当てたりする必要があります。
また、私も使っていたのですが、モンモリロナイトの細かい粉が出てきてケース内にたまることもあるのがちょっと気になりました。
教育楽器 DRY FORTE (ドライフォルテ)
これくらいしか見かけたことのない、乾燥専用の除湿剤です。
海外はどちらかというと乾燥する方が多く、湿度が高すぎるという状態はギターが流行っている国ではあまりないのかもしれません。
日本の場合は下手をすると一年中しけっている家もありますので、このドライフォルテが効果的な家もあるかと思います。
乾燥剤といっても適正な湿度まで湿度を吸った後は除湿を止めます。また、中を見ると湿度を吸った薬剤がジェル状になっているのが見え、交換時期が簡単にわかります。
乾燥剤なのでやはり乾燥している時期には役に立たないのと、電子レンジや日光で再利用ができないのが難点です。
Pedi MAGIC DEHUMIDIFIER
新しく登場した除湿剤です。
一番の特徴は、半永久的に使えるという点。電子レンジで温めると湿度を放出することができ、何度でも復活させられます。
また、廃棄した際に自然に還る物質でできており、環境にやさしいのもうれしいですね。
ただし、除湿剤のため乾燥には役に立たないです。
詳細はこちらの記事を参照ください:
湿度計も使おう
単に湿度調整グッズをケースに放り込んでいればいいというものではありません。
それによって湿度がきちんと理想的な範囲に保たれているか確認することが重要です。
私は、楽器の内部の湿度が測定できる湿度計を使っています:
アナログ式のものでもいいので、測定を怠らないようにしましょう。
正しく湿度調整グッズを選んでギターを快適な環境におこう
湿度によるギターへのダメージは大きく、修理するのにも結構なお金がかかってしまいますし、心理的なダメージも大きいです。
こちらの記事で紹介したような湿度調整グッズを正しく選び、ギターにとって快適な湿度に保ってあげるようにしましょう。