冬に注意したいギターの管理

フェルナンデスのドクタードライ ギター用品

冬は人間にとってもつらい季節ですが、木でできているギターにとっても最も過酷な季節であるといわれています。自分のギターが正しく管理されているか確認をしましょう。

乾燥によって致命的な故障が起こりやすい冬

冬はギターにとって最も致命的な故障が起こりやすい季節だといわれています。

理由は「乾燥」です。

冬はただでさえ外気が乾燥しているうえに、エアコンなどの暖房を入れるとさらに室内は乾燥します。こうなると木でできている楽器は水分を放出し縮みます。これによりさまざまな不具合が起きます。

ネックが反る

一番多くおこるのはネックの反りです。これは指板に使われている黒檀とネックその物に使われているマホガニーなどの木の収縮率の違いによっておきます

詳細は以下の記事を参照ください:

クラシックギター専門店であるファナのHPによると、ネックの反りの修理は10,000円以上必要で1週間以上かかるそうです。修理方法によってはもっとかかります。

フレットが飛び出る

2番目はフレットが飛び出る現象です。

フレットは金属でできていますが指板は木のため、収縮率が違い、あまりにも乾燥するとあまり収縮しないフレットが指板から飛び出してしまいます

こうなると弾いていて指が痛いので修理しないといけません。

同じくファナのHPによると修理に6,000円以上、1週間以上必要だそうです。

ただし、単純に飛び出ただけなら加湿すれば戻る場合もあります。

詳細は以下の記事を参照ください。

表面板、裏板、側面板が割れる

これが最も致命的な不具合かと思います。

割れるといってもガラスが割れるようにバキバキになるわけではなく、木目に沿って細く線が入るイメージです。

音の変化に気づかない程度の場合もありますが、一度割れるとそこから割れが広がっていくので速めに対処することが必要です。

修理にはやはりそれなりの費用と期間が必要になります。ファナによると15,000円以上必要で、期間も2週間以上かかるそうです。

乾燥以外に結露も良くおこる

もう1つ、冬に見逃されがちな問題として結露があります。

寒いところから急に暖かいところにギターを持ち込んだ場合、空気中の水蒸気が冷たくなったギターで冷やされ、ギターの表面に水がつきます

厄介なことに、室内をしっかり加湿しているときほど結露がよくおこります

木でできているギターに水をつけてはいけないのは当然なのでよろしくありません。

冬のギターの守り方

では、どのようにして冬の間乾燥からギターを守るべきでしょうか?

室内で保管するときは保湿をしっかりする

まず、普段室内で保管しているときに保湿をしっかりします。

具体的には、まず、密閉度の高いケースに入れます。

室内と言えど、暖房の入り切り、窓の開け閉めで湿度は変化するので出しっぱなしではなくケースに入れておくことが望ましいです。また、密閉度の高いケースの方が湿度の変化には強いです。

ケースには保湿剤を入れ、かつ湿度計で管理を怠らない

さらにケースには保湿剤を入れておくと安心です。部屋はどうしても人間がいるときといない時で大きく湿度が変化するので。

私は冬の乾燥にも夏の湿気にも対応できる湿度調整剤を使っています。Dr DRYが安くて優秀です。

なお、乾燥しかできないタイプの湿度調整剤もあるので注意してください(たとえばドライフォルテ)。

他にも、水を直接入れて使うタイプの保湿剤もあります:

Oasis オアシス ギターヒューミディファイアー(加湿器) Guitar Humidifier OH-1
Oasis
Humigel高水性結晶粉末により水分がジェル化。ゆっくりと時間をかけて水分を発散します。ジェル状なので、水分がこぼれて楽器にかかる心配がありません。

こちらの方が塗装で守られていないホールの中を加湿できるので優秀です。

ただし、保湿剤を入れたからOK、と考えるのは逆に危険です。保湿剤は与えた水分以上の湿気を放出してくれません。このため、乾燥が続くと何の意味もなくってしまいます。必ずケース内に湿度計を入れて管理しましょう。40%~60%が理想的です。必要に応じて蒸気にあてたり水分を補給してあげたりしましょう。

ケースを開けなくても湿度が管理できる機器を使うと便利です:

こちらの楽器内部の湿度が測定できるものもおすすめです:

針が良ければこちらは国立博物館でも使われているのだとか:

目安だけでよければこちらがお安くて小さいです:

木製のハードケースに入れているから大丈夫、というわけではない

まことしやかに言われていることに、木製のハードケースは水分を吸ったり吐いたりするから乾燥しても安心、というものがありますが、これは嘘です。

木は吸った水分以上の水分を出せません。だからこそ木でできているギターが乾燥で壊れるわけです。

一時的に外に持ち出す際に周りが乾燥しているくらいなら耐えられるかもしれませんが、連続的に乾燥にさらされれば木製だろうがそうでなかろうが一緒です。

寒い外から暖かい室内にギターを持ち込んだらしばらくケースを開けずにおいておく

結露を防ぐには、ギターの表面温度が室内に近くなる必要があります。

このため、寒い外から暖かい室内にギターを持ち込んだらしばらく放置し、温度を近づけてやった方がいいです。

まだ露出している表面は良いですが、内部が結露したら拭きようがないので…。

愛するギターを守るためにもしっかり管理を

人間の病気と一緒でギターも油断するとあっという間に故障してしまいます。

そして故障を防ぐには普段からのケアが重要である点も一緒です。

しっかりと管理してあげましょう。

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