クラシックギターには一定規模の中古市場があり、多くの中古ギターが売りに出ています。ギターを買い替える際に中古品を考えたことがある人も多いはずです。そんな中古ギターのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。また、中古ギターを買う際の注意点についてもあわせて考えてみます。
意外と長いクラシックギターの寿命
中古市場がにぎわっている理由の1つとして、意外とクラシックギターの寿命が長いという点が挙げられます。
バイオリンが300年以上の寿命があるのに対して、クラシックギターは一番古いものでも100年くらいの楽器しかない、という人もいますが、それは現在のクラシックギターの原型を作ったトーレスが100年ほど前の人だからです。それ以前のものは今とは少し形が違うもの(19世紀ギター)などになります。
トーレスの楽器は今でも現役でコンサート等に使われることがあり、クラシックギターの寿命が短いということはありません。もちろん、適切に扱われ、適宜修理を施しての話ではあります。
トーレスを買おうとすると相当高いので、現実的なところの楽器で考えればその年齢はトーレスよりもずっと若いはずなわけで、まだまだ現役である可能性はあります。
中古クラシックギターのメリット
まずはメリットについて考えます。
値段が安い
中古のクラシックギターを買うときの一番のメリットはここにあるかと思います。新品が手に入る楽器であれば、ほぼ間違いなく同じ楽器は中古で買った方が安いです。
誰それが使ったとかいうノベルティ的なものはクラシックギターではあまり聞いたことがありませんので、あまり気にしなくてもいいかと思います。
弾き込みがある程度終わっている可能性
クラシックギターはできたてが一番音がいいわけではありません。クラシックギター弾き込むことで音は良くなるといわれています。エージングともいわれるこの点については以下の記事を参照ください:
この弾き込みという作業は一般的には一般的には年単位でかかるといわれています。松の楽器だと10年は音が変わるとも。その変化を楽しむのもいいのですが、すぐにいい音で弾きたいのであればすでに弾き込まれた中古を買うのも1つの手です。
新品では入手できない楽器が手に入る
中古の楽器は昔に作られた楽器なので、今では手に入らない楽器が手に入ることがあります。
もっとも代表的なのが、すでに亡くなった製作家の楽器です。先に紹介したトーレスもそうなのですが、すでに亡くなった製作家の楽器は新品で手に入る可能性は0%です。一方、中古なら他の人が手放した楽器が手に入る可能性があります。
現在使われている木材よりも質のいい木が使われている可能性がある
木材資源の枯渇が叫ばれて久しい今日この頃ですが、これに伴って質のいいギター用の木材はどんどん手に入りづらくなっています。このため、このようなプロジェクトもあったりします:
今の木材の質が悪くなっているとすると、もしかすると昔の楽器の並の品質は、今の楽器の良の品質に相当するのかもしれません。
中古クラシックギターのデメリット
もちろん、デメリットもあります。
見た目が新品より悪い
中古は他の人が使ってきた楽器ですので、よほど大事に使っているか使わずにしまっておいたということがない限り見た目は新品より悪いです
楽器はそれそのものが芸術品という側面を持っていますので、見た目が悪い楽器は価値が下がります。このため、同じ楽器(というものは厳密にはないですが)であれば、見た目が悪いほうが値段は安いです。
見た目を気にしないのであればメリットであるともいえますが、せっかく買うなら見ていて気持ちい美しい楽器を買いたいのが人情ではないでしょうか。
寿命が短い可能性
中古の楽器は他の誰かが弾いてきた楽器なので、寿命が短い可能性があります。
ここでの寿命には2つあります。1つは物理的な寿命です。クラシックギターが寿命がそれなりにあるとはいえ、やはり年月とともに劣化していきます。このため、一般的に言えば中古の方が新品よりも寿命が短いといえます。
もう1つは音です。「楽器を弾きつぶす」というくらい、楽器は弾かれすぎると逆に音が悪くなるという話があります。特にプロが商売道具として使っていた楽器はかなり弾かれていて、弾きつぶされてしまっている可能性があります。
故障している可能性
年月が経っている楽器は力木のはがれや割れなどの故障が発生している可能性があります。
これは木材を使っている以上はある程度はしょうがないのですが、安いと思って買ったら故障していて余計にお金がかかるというケースもあります。
新品であれば保証してくれるのでしょうが、中古を保証してくれるかどうかは販売店次第です。
また、現在故障していなくても修理歴がある場合もあります。ちゃんと販売店が明らかにしてくれればいいのですが、そうとしらずに買ってしまうことも。。。
プレミア価格になっているものもある
マイナーなクラシックギターといえど、中にはプレミア価格になってしまっているようなものがあります。特に製作者が亡くなっているとか、歴史的価値があるものはそうなりやすいです。
自分が納得して買う分にはいいのですが、音がいい楽器を買いに行ったのに歴史的な価値がある楽器を交わされたのでは残念です。
中古のクラシックギターを買うときの注意点
それでは、中古のクラシックギターを買うときはどのような点に注意すればいいでしょうか?
信頼できる店で買う
新品のクラシックギター以上に中古を買うときは信頼できる店を選ぶべきです。
上で述べた通り中古のクラシックギターにはいろいろなデメリットがあります。それらをきちんと説明したうえで売ってくれる店ならいいのですが、何も説明せずに売ってくるような店もないですはないです。
たとえ少し高価になったとしても、信頼のできるクラシックギター専門店で買うことをお勧めします。
実店舗で実際に見て、試奏してから買う
最近はネットショップでなんでも変える時代になり、高価なクラシックギターの中古品もネットショップで買えてしまいます。
しかしながら、弾くためのクラシックギターを買うなら実際に見て、試奏してから買うべきです。上で紹介したようなリスクもありますし、新品以上に中古楽器の音はまちまちです。
興味のある楽器をネットで見つけたら取り置きをお願いして、実際に店にうかがってみるのがいいのではないでしょうか。
「安いから中古を買う」のではなく「これなら中古でも買いたい」ものを探す
新品の楽器と異なり、中古の楽器は弾き込みによって音が変化しづらく、すでに音が完成されていることが多いです。また、寿命や故障などで本来の音が出ていない可能性もあります。
最後に信用できるのは自分の感覚だけなので、買うときには「理想の音」「いい音」を明確にしてから買うべきです。いくら店員がこれは良い楽器ですといっても自分が納得していないのであれば買うべきではありません。
もちろんこれは新品の楽器でも同じことではあるのですが、中古の楽器は新品よりもリスクがあります。「安いから中古で買う」のではなく「これなら中古でも買いたい」と思えるような楽器を探すべきです。
よく、中古の方がお買い得だから、といって中古を買う人もいますが、そういう選び方はクラシックギターではしない方が良いのではないでしょうか。
目利きの人を連れて行く
自分自身が目利きであれば必要ないかもしれませんが、第3者的な視点はあった方が良いです。自分がすごくいいと思っていても、それを冷静な目で見ると問題がある場合もあります。
プロのギタリストの先生を連れていけると良いですが、アマチュアのギター仲間であっても十分です。プレミア価格のものを見破ったり、店員にそういう質問をするのは第3者の方がやりやすいかもしれません。
中古のクラシックギターはこわなくない、けど注意も必要
この記事で紹介したように、中古のクラシックギターにはいろいろなメリットがあり、新しいクラシックギターを買うなら候補にする価値のあるものです。一方でいろいろなデメリットもあり、そこを理解していないと後から問題になる可能性もあります。
新品だけで考えるよりも、選択肢の幅が広がるのは間違いありませんので、中古であれ新品であれ自分にとって最良の楽器が見つかると良いですね。