普通のエレキギターにはナイロン弦は使えません。これはエレキギターのピックアップは磁気式で、磁気に反応しないナイロンでは音を拾えないためです。クラウドファンディングで登場した「ōPik」は光学式のピックアップのためナイロン弦も使えます。クラシックギター用ピックアップとしても面白そうに思います。
磁気で音を拾うエレキギターのピックアップ
普通エレキギターのピックアップというとこのようなものを想像するかと思います:
エレキギターには共鳴胴がなく、どのように弦の音をピックアップで拾っているのか不思議ではないでしょうか?
実はエレキギターは磁気を利用しています。通常のエレキギターは金属の弦を使いますが、金属弦は磁気に反応します。すると、弦を弾いた時の振動にあわせてにピックアップで検出される磁気が変化します。これにより振動しないボディにもかかわらずエレキギターの弦の音を拾っているわけです
ところが、磁気を利用するということは磁気を発生しない素材の弦は使えません。これが、共鳴胴を持つエレアコはナイロン弦タイプがあるのに、エレキギターはすべて金属弦である理由です。
光学式で弦の振動を拾う「ōPik」
そこで、エレキギターでもナイロン弦が使えるように磁気を使わない方式を採用したのが「ōPik」です。
具体的には光学式を採用しています。つまり光です。「ōPik」という名前自体光学(Optic)とピックをあわせた造語のようです。
弦を振動させると光を遮る/遮らないが交互に高速で起こります。これを検出することで、磁気の時と同じく、弦の振動が検出できるわけです。
実際にエレキギターにナイロン弦を使った場合の音はこちらで聴けます:
もちろん理論的にはどんな材質の弦でも使えるわけで、これまで以上にエレキギターの音作りの幅が広がりそうです。
クラシックギター用のピックアップとしてもいいのでは?
光学式ということは非接触式ということなので音を損なうことがありません。
ということは、うまくすればクラシックギター用のピックアップとしてもいいのではないでしょうか?現状は本体を埋め込まなくてはならないのでその分表面板に影響を与えそうですが、外付けとかにできればクリアできそうな気がします。
また、これとヤマハのCG-TAの表面板を電気で振動させる技術を使うと、ギタリストが弾いているのはエレキギター型のナイロン弦ギターだけど、別の場所にあるクラシックギターが鳴る、とかいうこともできそうです。
ピックアップの既成概念を壊してくれるこの「ōPik」、現在出資を募っているようですので興味がある方はぜひ。