クラシックギターを弾くために必要な技術は色々ありますが、紙やすりで爪を磨くのも立派な技術です。きれいに磨かれた爪でないと美しい音は出ません。しかしながら、多くのギタリストは正しい紙やすりの使い方をしているとは思えません。この記事では紙やすりを使って爪を磨くための方法とコツを紹介したいと思います。
ギタリストの爪に関する記事は以下のまとめを参照ください:
爪磨きの定番アイテム 紙やすり
クラシックギターを弾く人が爪を磨くために使っている道具の中で一番メジャーなのが紙やすりかと思います。
軽くて、安くて、きれいに磨ける、と3拍子揃っていることもあり何も考えずにこれを使っている人も多いかと思います。
特に一番人気なのがタミヤのフィニッシングペーパーです:
特に上の1200番、1500番、2000番がセットになった仕上げセットは爪に適した粗さとなっており人気です。
(追記):いつの間にか、Amazonがタミヤのフィニッシングペーパーを直接販売するようになっていました。かなり安く買えます。
実はコツがある紙やすりの使い方
しかしながら、多くのクラシックギター弾きは正しい紙やすりの使い方を知らずに爪を磨いているように思います。
紙やすりは木工やプラモデル、金属の磨きにも使われ、いろいろなノウハウが蓄積されています。
爪を磨くのにも役に立ちますので紹介したいと思います。
- 磨くときに力を入れすぎない
- 荒いものから初めて徐々に細かいものにする
- 2,3度折って使う
- 区別がつきやすいように工夫する
- 最終的な粗さはお好みで
磨くときに力を入れすぎない
まず最初に気を付けたいのが磨くときの力の入れ具合です。
中にはこれでもかと爪に紙やすりを押し付けて磨いている人がいますがそれはNGです。
力を入れすぎると以下のようなデメリットがあります。
- 爪の一部が大きく削れてむらができる
- 紙やすりの目の奥に削りかすが詰まる
- 紙やすりの台紙が破れる
1番目の滑らかにならないのは、力が入った場所ばかりが削れてそれ以外が削れないためです。大きく力を入れるとどうしても一点に力が加わり、その周辺に行くにしたがって力が弱くなります。そうすると、磨き方にむらができてしまいます。また、爪の表面もきれいになりません。
また、紙やすりの寿命が短くなる原因は目に削りかすが詰まるのと台紙が破れることですが、力を入れすぎるとどちらも起きやすくなります。
弱い力で何度もやすりがけすることで磨くようにしましょう。
いきなり細かい紙やすりを使わず、複数の紙やすりで徐々に細かくする
やすり掛けの基本は荒いものから細かいものまで徐々に変えていくことです。
やすり掛けは凹凸のある地面を平らにならす作業に例えられます。凹凸のサイズが大きいのに小さなシャベルやスコップでやったのではなかなか平らになりませんよね?しかも、むらもできてしまいます。
まずは大きな道具で大まかにならし、その後で小さい道具でやった方が高率も良いし最終的にきれいな仕上がりになります。
まずは金属やガラスのやすりで形を整えるかと思いますが、この時のやすりの粗さよりも少し細かい程度の粗さから始めるようにしてください。
爪に使う紙やすりは2000番~8000番程度までと思いますが、金属やガラスやすりの後にいきなりこの番手を使ってはいけません。
私の経験上は、荒い金属やすりなら800番、細かめの金属やすりやガラスやすりなら1200番あたりから始めるのがいいかと思います。
また、その意味で紙やすりをかける前の形を整えるやすりも重要です。お勧めはこちらのワタオカの爪やすりです。爪の細胞を壊さずに削れるというMade in Japanの逸品です:
2,3度折って使う
紙やすりで爪を磨くときは大きなサンドペーパーを切って細く小さくして使っていると思います。それでも磨けるのですが、もう一工夫するとさらに磨きやすくなります。
こんな感じで2,3度折って使ってみてください。
前の項で力を入れすぎている人が多いと書きましたが、その原因の一つは紙やすりの持ちづらさです。折らない状態だとあまりにも薄すぎて持ちづらいです。このため自然と力が入ってしまいます。
2,3度折ってやると持ちやすくなり、かつ弾力が生まれて力を受け流してくれます。また、丈夫になるので広い範囲も磨きやすいです。
2つ折りか3つ折りかは好みもありますが、磨く爪の形や長さによっても適したものが変わります。
2つ折りの場合は両面テープで張り付けてもいいでしょう。
ぜひ試してみてください。
区別がつきやすいように端に色を付ける、番号を書く、端を切る
爪磨きに使うような紙やすりは非常に細かいため、見た目や感触で細かさを判別するのが難しいです。
このため、複数の番手(粗さ)の紙やすりを使う人は区別のためにいちいち裏返して番手を確認する必要があります。
これは面倒ですし、上で推奨しているように折ってしまうとさらに見るのが面倒になります。
そこで、上の写真のように紙やすりの端に色を付けてやると判別しやすくなります。
または、もともとの番手表示が見づらいので、明るい色のペンで番号を書いてやるのも良いでしょう。
あとは端の切込みの形で判別するのもいいかと思います(切り込みなし、三角、四角とかで判別)。
最終的な粗さはお好みで
爪を磨くときの紙やすりの番手(粗さ)は一般的には1500番とか2000番が多いように思います。
しかしながら、世の中にはもっと細かいやすりも存在しています:
私の経験では細かいやすりで磨くほどギターの音がすっきりします。これが良い音なのかどうかは人それぞれです。
が、爪の形や使っているギターにもよりますので、一度試してみてもいいかと思います。
紙やすりを使うのが面倒な人はナノ技術応用の爪やすりを
結構工程が多くあって面倒だ、という人には形を整えるのと磨くのが一度にできる、ナノ技術応用の爪やすりがあります。
意外とリーズナブルなので、めんどくさがり屋な人はこちらを試してみてください。
正しく紙やすりを使って美しい音を
どれだけギターの腕を磨いても、どれだけ良いギターを使っても、どれだけ良い弦を使っても、爪がだめならいい音は出ません。
単純なようで奥が深いつめやすり、ぜひともこの記事を参考により良い爪を目指してみてください。